ツノガエルは、南米にすむ、丸い体と大きな口が特徴のカエルです。その大きな口から「パックマンガエル」とも呼ばれ、あまり動かず飼いやすいことから、ペットとして高い人気があります。口に入るものは何でも飲み込む大食いとしても知られます。
分類と学名
分類階層
- 界:動物界 Animalia
- 門:脊索動物門 Chordata
- 綱:両生綱 Amphibia
- 目:無尾目 Anura
- 科:ツノガエル科 Ceratophryidae
- 属:ツノガエル属 Ceratophrys
和名・英名
- 和名:ツノガエル(科・属の仲間の総称)
- 英名:Horned frog/Pacman frog
大きさ・分布などの基本データ
| 別名 | パックマンガエル |
|---|---|
| 大きさ | 体長 約8〜16cm(種や性別で差・メスが大きい) |
| 体重 | 大きいもので約0.5kgになることも |
| 分布 | 南米(アルゼンチン・ブラジル・パラグアイなど) |
| 生息環境 | 草原や森林の地表 |
| 寿命 | 飼育下で10年以上 |
| 主な仲間 | クランウェルツノガエル/ベルツノガエル/ファンタジーツノガエル 等 |
ツノガエルとは
パックマンみたいな大きな口
体は丸くずんぐりしていて、口が顔の半分近くを占めます。目の上には、名前の由来になった小さな角のような突起があります。この大きな口がゲームの「パックマン」に似ていることから、英語では Pacman frog(パックマンガエル)と呼ばれています。後ろ足には水かきがほとんどなく、泳ぎは苦手です。水の中より、地面でじっと過ごすカエルなのです。
待ち伏せの大食い
ツノガエルは、自分から追いかけず、じっと待って獲物が近づいた瞬間に飛びつく「待ち伏せ型」のハンターです。食欲はおうせいで、虫・小魚・ほかのカエル・ネズミ・小鳥・トカゲまで、口に入るものは何でも狙います。野生の成体では、食べる量の半分ほどが脊椎動物だという報告もあります。ずんぐりした体には脂肪をため込み、餌の少ない乾季をしのぎます。
暮らしと一生
夜、待ち伏せてじっと待つ
ツノガエルは夜行性で、日中は湿った土や落ち葉にもぐって過ごします。休むときも、まぶたを開けたままじっとしています。体の色は落ち葉や土にとけこむ保護色で、半分うまったまま獲物を待ち、近づいた瞬間に飛びついて捕らえます。
乾季は「繭」に包まれて眠る
すむ地域には、雨の少ない乾季があります。暑さや乾燥がきびしくなると、ツノガエルは皮膚を何層にも厚くして体を「繭(まゆ)」のように包み、土の中で眠って乗り切ります。これを夏眠(かみん)といいます。この眠りは、雨季がくるまで数か月続くこともあります。やがて雨が戻って環境がよくなると、自分の足で皮をはがし、多くはその皮を食べてしまいます。
水中に2000個もの卵
繁殖は水の中で行われます。メスは一度に、なんと2000個ほどもの卵を産みます。オスは前足にある「婚姻瘤(こんいんりゅう)」でメスをしっかりつかんで、卵を受精させます。卵は2週間ほどでオタマジャクシになり、やがて小さなツノガエルへと育っていきます。ちなみにオスとメスは見分けにくく、オスののどが黒っぽいことなどが手がかりになります。
いろいろなツノガエル(種類)
定番はクランウェルツノガエル
ペットとして最も多く飼われているのが、クランウェルツノガエルです。丈夫で飼いやすく、色変わり(モルフ)が豊富なことでも人気があります。緑や茶色のほか、黄色っぽい「アプリコット」や白っぽいアルビノなど、見た目のバリエーションが楽しめます。飼い方や生態は、下のページで詳しく紹介しています。

大きくなるベルツノガエル、交雑のファンタジー
ベルツノガエル(アルゼンチンツノガエル)は、鮮やかな緑に赤い模様が入る、大型の種類です。大きなメスは体長16cmほどにもなります。また、種類どうしをかけ合わせた「ファンタジーツノガエル」も、丈夫で色が美しいことから人気があります。まずは飼いやすいクランウェルから、という人が多いようです。
アルゼンチンの野生や、緑の大型のベルツノガエルについては、下のページでくわしく紹介しています。

ペットとしてのツノガエル
動かないから飼いやすい
ツノガエルは一日の大半を、湿らせた床材にもぐって、じっと過ごします。あまり動き回らないぶん、広いスペースがいらず、カエルの中では飼いやすい部類とされています。温度や湿度の管理は必要ですが、飼育下では10年以上生きることもあります。床材には、飲み込むと危険な砂利は使わず、湿らせた土などを用います。
餌は「動くもの」、でもマウスばかりは危険
餌は、コオロギなどの生きた虫が基本です。あげる回数は、子どものうちは1〜2日に1回、大きくなったら4〜7日に1回ほどが目安です。子どものうちはカルシウムをまぶしたコオロギを与え、骨の病気を防ぎます。大きく育ったらミミズや、ときどき小さなマウスも食べます。ただし、マウスばかりを与えると太りすぎてしまい、目が見えなくなったり命を落としたりすることが分かっています。栄養のかたよりには注意が必要です。
いっしょに飼えない理由
ツノガエルは、なんと共食いをします。相手が自分より大きくても、口に入ると思えば飛びついてしまうのです。そのため、基本的に1匹ずつ分けて飼います。「動くものは獲物」という本能は、仲間に対しても変わりません。
意外な豆知識
噛む力は見た目以上
大きな口には、あごの上下に骨のような小さな出っぱりがあり、くわえた獲物を逃しません。大きな個体に噛まれると、かなり痛く、手当てが必要になることもあります。ときには、自分より大きな相手に飛びかかっていくことさえある、強気なカエルです。ただし「くわえたら放さない」しくみのせいで、大きすぎる獲物をのどに詰まらせてしまうこともあります。
意外とよく鳴く
おっとりした見た目のわりに、ツノガエルはよく鳴きます。飼っていると鳴き声を聞くことがあり、オスだけでなくメスも鳴くことがあるようです。動かないカエルの、意外な一面です。
カエルという生き物そのものについてはカエルのページもどうぞ。
参考
- AmphibiaWeb:ツノガエル科 Ceratophryidae の解説(待ち伏せ型・食性)
- Zoobrary:クランウェルツノガエル 種解説(学名の由来・見分け)
- Wikipedia(英語版)”Ceratophrys”/”Argentine horned frog”


