マゼランペンギン

海鳥類

マゼランペンギンは、南アメリカのパタゴニア地方にすむペンギンです。胸にある2本の黒い帯が、いちばんの目印。名前は、世界一周をなしとげた探検家マゼランにちなんでいます。巣穴を掘って暮らし、毎年同じ相手と再会する、絆の深いペンギンでもあります。

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分類と学名

分類階層

  • 界:動物界 Animalia
  • 門:脊索動物門 Chordata
  • 綱:鳥綱 Aves
  • 目:ペンギン目 Sphenisciformes
  • 科:ペンギン科 Spheniscidae
  • 属:フンボルトペンギン属 Spheniscus
  • 種:マゼランペンギン Spheniscus magellanicus

和名・英名

  • 和名:マゼランペンギン
  • 英名:Magellanic penguin

名前の由来

マゼランペンギンの名前は、ポルトガルの探検家フェルディナンド・マゼランにちなみます。1520年、世界一周の航海のとちゅうで南アメリカの南端を通ったマゼランたちが、このペンギンを見つけたことに由来します。すぐそばには「マゼラン海峡」という海の通り道もあり、地名にも名前が残っています。ちなみに、フンボルトペンギン属の中では、マゼランペンギンがいちばん数の多い種です。

大きさ・分布などの基本データ

大きさ体長 約61〜76cm・体重 約2.7〜6.5kg(中型)
分布南アメリカ南部(アルゼンチン・チリ)・フォークランド諸島
生息環境温帯の海岸の草地・岩場(巣穴)と、まわりの海
食べ物カタクチイワシなどの小魚・イカ・オキアミ・クラゲ
寿命野生でおよそ20〜25年(飼育下で30年以上の例も)
保全状況IUCN:軽度懸念(LC・減少傾向)

胸の2本の黒い帯が目印

2本の帯とピンクの模様

マゼランペンギンの体は、背中が黒く、おなかが白色です。いちばんの特徴は、頭と胸のあいだにある2本の黒い帯です。とくに下の帯は、逆さのU字のような形をしています。顔は黒く、目のうしろから白い線がぐるりと取り囲みます。繁殖の時期には、目のまわりにピンク色の模様があらわれます。子どもや若い個体は、背中が青みがかった灰色で、大人になるにつれてはっきりとした黒色に変わっていきます。マゼランペンギンは長生きで知られ、アメリカの動物園では40歳まで生きた個体もいました。

マゼランペンギンの2本の帯
頭と胸のあいだにある2本の黒い帯。目のまわりのピンクも見える(Polinova, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

ケープ・フンボルトとの見分け方

マゼランペンギンは、同じフンボルトペンギン属のケープペンギンやフンボルトペンギンととてもよく似ています。いちばんの見分け方は、胸の帯の数です。ケープペンギンとフンボルトペンギンは帯が1本ですが、マゼランペンギンは帯が2本あります。胸に黒い線が2本あれば、それがマゼランペンギンです。3種はすむ場所も違い、マゼランは南アメリカの南部・フンボルトはその北側・ケープはアフリカにすんでいます。

巣穴を掘り、毎年同じ相手と

石を掘った巣と大コロニー

巣とプンタトンボの大コロニー

マゼランペンギンは、地面に穴を掘ったり、しげみの下を利用したりして巣をつくります。繁殖の季節になると、海岸に大きなコロニー(集団繁殖地)ができます。アルゼンチンの「プンタトンボ」は、世界でも指おりの大コロニーとして知られています。

2個の卵を、2羽そろって育てる

ふつう2個の卵を産み、オスとメスが10〜15日ずつ交代で温めます。卵は39〜42日でかえります。ほかのペンギンは1羽しか育たないことも多いのですが、マゼランペンギンは2羽のヒナをそろって育て上げることがよくあります。

毎年同じ相手との深い絆

おどろくのはその絆の深さで、マゼランペンギンは毎年、同じ相手とつがいになります。オスは前の年の巣穴にもどってパートナーを待ち、メスは相手の鳴き声だけで、たくさんの仲間の中から自分の相手を見つけ出します。求愛のときには、オスがメスのまわりをぐるぐると歩き回り、翼でやさしく軽くたたきます。つがいになったあとも、たがいに羽づくろいをしあって、きずなを深めていきます。

巣穴で休むマゼランペンギン
地面に掘った巣穴の中で過ごす。毎年同じ巣穴にもどる(Polinova, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

冬は北へ渡る旅

子育ての季節が終わると、マゼランペンギンは冬のあいだ、あたたかい北の海をめざして旅に出ます。ブラジルやペルーの沖まで、はるばる泳いでいくのです。その旅の距離は、片道で1000kmをこえることもあります。えさの豊かな海を長く旅できることも、この種の数が多い理由の一つと考えられています。2016年には、ブラジルの漁師に助けられた1羽のマゼランペンギンが毎年その漁師に会いに帰ってくるという物語が話題になり、のちに映画にもなりました。日本では、東京のすみだ水族館がマゼランペンギンで有名です。たくさんの個体が飼育され、その関係をまとめた「相関図」も人気を集めています。

食べもの・天敵と保全

食べものと天敵

マゼランペンギンの食べものは、カタクチイワシなどの小魚やイカ・オキアミです。じつはクラゲも、好んで食べることが分かってきました。餌をさがすときは、水深20〜50mほどまでもぐります。海での天敵はアシカやヒョウアザラシ、陸ではヒナをねらうトウゾクカモメなどです。さらにパタゴニアでは、ネコの仲間のピューマにおそわれることもあります。えさが豊かな海にすむため、種全体としては数が多く、IUCNレッドリストでは「軽度懸念(LC)」とされています。

つがいのマゼランペンギン
パタゴニアの茂みのそばにたたずむ2羽。プンタトンボにて(Ankara / 99of9, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

数の変化と、油流出などの脅威

ただし、その数は少しずつ減っています。いちばんの心配は、海に流れ出る油です。アルゼンチンの沖では、船から流れた油によって、毎年多くのマゼランペンギンが命を落としています。また、地球温暖化で魚のいる場所が変わって親鳥が遠くまで泳がなければならなくなるなど、新しい問題も起きています。多くの人に親しまれるいっぽうで、その数を守る取り組みが各地で続けられています。

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参考

  • IUCN Red List: Spheniscus magellanicus(軽度懸念LC・減少傾向)
  • Animal Diversity Web「Spheniscus magellanicus」(求愛=オスがメスの周りを歩き翼で軽くたたく・羽づくろいで絆/メスは相手の声を聞き分け・ヒナも親の声を識別/鳴き分け4種)
  • Wikipedia「Magellanic penguin」英語版(名前=マゼランが1520年発見/胸の帯は2本/プンタトンボの大コロニー・巣穴/毎年同じ相手・鳴き声で識別/クラゲも食べる/油流出が最大の脅威/天敵ピューマ)

画像出典

アイキャッチ画像: Charles J. Sharp, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

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