アメフクラガエル

カエル類

アメフクラガエルは、アフリカ南部にすむ、まんまるでずんぐりした小さなカエルです。跳ぶことも泳ぐこともできず、一生のほとんどを土の中で過ごします。おこったような丸い顔と、危険が近づくと体を風船のようにふくらませる姿が愛らしく、日本でもペットとして人気があります。名前の「フクラ」は、この「ふくらむ」しぐさに由来します。

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分類と学名

分類階層

  • 界:動物界 Animalia
  • 門:脊索動物門 Chordata
  • 綱:両生綱 Amphibia
  • 目:無尾目 Anura
  • 科:フクラガエル科 Brevicipitidae
  • 属:フクラガエル属 Breviceps
  • 種:アメフクラガエル Breviceps adspersus

和名・英名

  • 和名:アメフクラガエル
  • 英名:Common rain frog/Bushveld rain frog

別名・学名の由来

和名の「アメフクラガエル」は、雨(あめ)のあとに地上へ出てくることと、体をふくらませる習性からきています。英語の rain frog(雨のカエル)も同じ由来です。属名の Breviceps は「短い頭」という意味で、顔が平らでずんぐりした姿をよく表しています。同じフクラガエルのなかまには、SNSで人気のサバクアメガエルなどもいます。

大きさ・分布などの基本データ

大きさオス 3〜4.7cm/メス 4〜6cm(メスが大きい)
分布アフリカ南部(南アフリカ・ナミビア・ボツワナなど)
生息環境温暖な森林や草原の地中
食べものシロアリ・アリなどの小さな虫(肉食)
保全状況IUCN: LC(軽度懸念)。数は安定している
特技体をふくらませる・うしろ足で穴を掘る

見た目

まんまるでずんぐりした体の、アメフクラガエル
まんまるな体と、おこったような顔つき。Bernard DUPONT, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons

まんまるで、おこった顔

体長は4〜6cmほどで、体はボールのようにまんまるです。顔は平らで、口をへの字に結んだような、いつもおこっているような表情をしています。体の色は茶色で、背中には明るい黄橙色の斑と、暗い横しまが入ります。手足は短くてずんぐりしているため、ほかの多くのカエルとちがって、跳ぶことも泳ぐこともできません。この愛らしくもふしぎな姿が、人気の理由です。

うしろ足のスコップで穴を掘る

跳べないアメフクラガエルの得意技は、穴掘りです。うしろ足のかかとには、かたくてじょうぶな出っぱりがあり、これをスコップのように使って土を掘ります。しかも、ほかの多くのカエルが前に進みながら掘るのに対して、アメフクラガエルはお尻から後ろ向きに土へもぐっていきます。深いときには地下50cmほどまで掘り進み、その中でくらします。地中でくらすカエルらしい、丸くてずんぐりした体つきなのです。

くらしと生態

雨のあとだけ地上に出る

アメフクラガエルがすむアフリカ南部には、雨の降らない乾いた季節があります。その間、このカエルは土の中の穴にこもって、じっと過ごします。地上に出てくるのは、雨が降ったあとの夜だけ。地上でシロアリやアリなどの小さな虫を食べ、繁殖の相手をさがします。用が済むと、また土の中へもぐっていきます。一年の多くを地面の下で過ごす、なかなか姿を見せないカエルなのです。

雨のあと、地面に出てきた丸いアメフクラガエル
雨のあと、地面に出てきたアメフクラガエル。suncana, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons

ふくらんで身を守る

アメフクラガエルには、大きなツメも強い毒もありません。そのかわり、身を守る方法があります。敵におそわれて穴から引っぱり出されそうになると、体いっぱいに空気を吸いこんで、風船のようにパンパンにふくらむのです。こうして体を大きく丸くすることで、敵に食べられにくくし、穴の中ではつっかえて引き抜かれないようにするのです。このとき「キュー」とも「ピーッ」とも聞こえる、かわいらしい声で鳴くこともあります。名前の「フクラ」は、まさにこのしぐさから来ています。

変わった繁殖と子育て

オスは「のり」でメスにくっつく

アメフクラガエルは、オスよりメスのほうが大きなカエルです。ふつうのカエルはオスがメスの背中にしっかりしがみついて交尾しますが、アメフクラガエルのオスは体が小さく、丸いメスをうまく抱えられません。そこでオスは、背中や腕の皮ふから「のり」のようなねばねばした液を出し、メスの背中に体を接着させてしまいます。くっついたペアは、そのまま後ろ向きに土へもぐり、地下にメスが掘った部屋を目ざします。

卵から直接、子ガエルがかえる

地下の部屋にたどり着くと、メスはそこで卵を産みます。おどろくのはここからです。多くのカエルの卵は水の中でオタマジャクシになりますが、アメフクラガエルの卵は水を必要としません。じめじめした土の中で育ち、オタマジャクシの時期をとばして、卵からじかに小さな子ガエルがかえります。泳ぐ水がない乾いた土地で生きるための、みごとな工夫といえます。

ペットとしても人気

いつも土の中 ―「潜らない」ときは要注意

アメフクラガエルは、その愛らしい姿から、日本でもペットとして飼われています。ただし、もともと一日の大半を土の中で過ごす生きものです。飼育下でも、しめらせた床材にもぐって、姿を見せないのがふつうの状態です。「なかなか出てこない」のは、元気な証拠でもあります。逆に、もぐらずに地表に出っぱなしのときは、床材が合わない・体調がよくないなどのサインかもしれません。環境を見直す目安になります。

食べるのは、生きた小さな虫

野生ではシロアリやアリを食べているように、飼育下でも生きた小さな虫を食べます。コオロギやレッドローチ(小型のゴキブリの一種)といった生き餌が中心です。動かないものにはあまり反応しないため、虫以外のものを食べさせるのは簡単ではありません。口も体も小さいので、餌の大きさにも気をつけます。乾燥に弱いので、土の湿り気を保つことも大切です。

意外な豆知識

「世界一かわいい鳴き声」で有名な親戚

アメフクラガエルと同じフクラガエルのなかまに、サバクアメガエル(サバクフクラガエル)がいます。おこったような顔でふくらみ、「キュッ」とおもちゃのような声で鳴く動画がSNSで広まり、「世界一かわいい鳴き声」として一躍有名になりました。丸い体・おこり顔・ふくらんで鳴くしぐさは、アメフクラガエルにも共通するフクラガエルのなかまの魅力です。

ほとんど水に入らないカエル

「カエル=水辺」というイメージがありますが、アメフクラガエルは一生のあいだ、ほとんど水の中に入りません。泳げないうえに、卵も土の中で育つため、池や川がなくても生きていけます。乾いた大地で、地面の下を主なすみかに選んだ、カエルのなかでもかなり変わり者なのです。

カエルという生き物そのものについてはカエルのページもどうぞ。

参考

  • IUCN Red List:Breviceps adspersus の評価(保全状況・分布)
  • Wikipedia(英語版・日本語版)「Breviceps adspersus/アメフクラガエル」(形態・地中生活・接着交尾・直接発生)
  • AmphibiaWeb/Amphibian Species of the World(AMNH):フクラガエル科 Brevicipitidae の解説

画像出典

サムネイル画像: Ken Kneidel, CC0, via Wikimedia Commons

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