クランウェルツノガエル

カエル類

クランウェルツノガエルは、南米にすむツノガエルの一種です。丈夫で色変わり(モルフ)が豊富なことから、ペットのカエルの中でも一番人気といえる存在です。大きな口で何でも飲み込む「パックマンガエル」の代表格でもあります。

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分類と学名

分類階層

  • 界:動物界 Animalia
  • 門:脊索動物門 Chordata
  • 綱:両生綱 Amphibia
  • 目:無尾目 Anura
  • 科:ツノガエル科 Ceratophryidae
  • 属:ツノガエル属 Ceratophrys
  • 種:クランウェルツノガエル Ceratophrys cranwelli

和名・英名

  • 和名:クランウェルツノガエル
  • 英名:Cranwell’s horned frog(Pacman frog)

別名と名前の由来

南米のグランチャコ地方にすむことから、英語では Chacoan horned frog(チャコツノガエル)とも呼ばれます。属名の Ceratophrys は、ギリシャ語の「角(keras)」と「まゆ(ophrys)」を合わせた言葉で、目の上の角のような突起を表しています。種小名の cranwelli は、この仲間を研究したホルヘ・クランウェル(Jorge Cranwell)にちなんだ名前で、和名の「クランウェル」もここからきています。

大きさ・分布などの基本データ

大きさ体長 約8〜13cm(メスが大きい)
体重大きいもので約0.5kgになることも
分布南米グランチャコ地方(アルゼンチン・ボリビア・パラグアイ・ブラジル)
生息環境雨の少ない乾いた地域の地表
寿命飼育下で10年以上
活動夜行性
保全状況分布の南部では個体数の減少が指摘される(IUCN評価あり)

見た目・見分け方

大きな口とずんぐりした体

体は丸くずんぐりしていて、口が顔の半分近くを占めます。目の上には、名前の由来になった小さな角のような突起があります。大きく育つと体重は0.5kg近くにもなり、カエルとしてはかなりの重量級です。手のひらいっぱいほどの大きさで、持つと見た目よりずしりと重みを感じます。後ろ足には水かきがほとんどなく、泳ぎは苦手で、水の中よりも地面で過ごします。

色変わり(モルフ)が豊富

野生のクランウェルツノガエルは、緑や茶色の体で、落ち葉や土にとけこむ保護色をしています。一方でペットとして殖やされた個体には、黄色っぽい「アプリコット」・白っぽいアルビノ・あざやかなグリーンなど、色のバリエーションが豊富です。この色変わりの多さも、人気の理由のひとつです。

淡いアプリコット色のアルビノのクランウェルツノガエル
アルビノの個体。lienyuan lee, CC BY 3.0, via Wikimedia Commons

ベルツノガエルとの見分け

よく似た仲間に、ベルツノガエル(アルゼンチンツノガエル)がいます。ベルツノガエルは、より鮮やかな緑に赤い模様が入り、体も大きくなります。見分けのポイントは、顔の先(吻端)と角。クランウェルツノガエルのほうが、鼻先が少し前に突き出し、目の上の角のような突起もはっきりしています。丈夫で飼いやすいことから、入門用として選ばれることが多いのはクランウェルのほうです。

緑色に模様のあるベルツノガエル
ベルツノガエル(比較)。Photo by David J. Stang, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

くらしと生態

夜、待ち伏せてじっと待つ

クランウェルツノガエルは夜行性で、日中は湿った土にもぐって過ごします。休むときも、まぶたを開けたままじっとしています。保護色の体で半分うまったまま獲物を待ち、近づいた瞬間にベタつく舌で一気に捕らえます。ふだんはほとんど動きませんが、獲物をねらうときは、体の何倍もの距離を跳んで飛びつくこともあります。食欲はおうせいで、虫やほかのカエル、小さなネズミまで飲み込みます。

乾季は「繭」に包まれて眠る

すむグランチャコ地方には、雨の少ない乾季があります。暑さや乾燥がきびしくなると、皮膚を何層にも厚くして体を「繭(まゆ)」のように包み、土の中で眠って乗り切ります。これを夏眠(かみん)といいます。雨が戻ると、自分の足で皮をはがし、多くはその皮を食べてしまいます。

繁殖と成長

繁殖は、雨季に水辺で行われます。メスは一度に2000〜4000個もの卵を水中に産み、卵はオタマジャクシを経て、数か月で小さなツノガエルへと育ちます。飼育下でも、雨を再現した環境をつくることで繁殖させることができます。

飼い方(ペットとして)

すみか ― 湿らせた床材にもぐる

飼育には、もぐれるように湿らせた床材(土やヤシガラなど)を敷きます。砂利は使いません。まちがえて飲み込むと、おなかに詰まって命に関わることがあるためです。あまり動き回らないので広い容器はいりませんが、温度と湿度の管理は必要です。また、体を浸せる浅い水入れも用意します。カエルは皮膚から水を吸うので、きれいな水は欠かせません。紫外線ライトは必ずしも必要ありませんが、あるとカルシウムの吸収を助けるとされます。

餌と、あげる回数

餌は、コオロギなどの生きた虫が基本です。あげる回数は、子どものうちは1〜2日に1回、大きくなったら4〜7日に1回ほどが目安です。子どものうちはカルシウムをまぶしたコオロギを与えて、骨の病気を防ぎます。大きく育ったらミミズや小魚、ときどき小さなマウスも食べます。ただし、マウスばかりを与えると太りすぎてしまい、目が見えなくなることもあるので注意します。

いっしょに飼えない理由

クランウェルツノガエルは、共食いをします。相手が自分より大きくても、口に入ると思えば飛びついてしまうのです。そのため、基本的に1匹ずつ分けて飼います。「動くものは獲物」という本能は、仲間に対しても変わりません。

気をつけたい病気

とくに多いのが、床材などをまちがえて飲み込む「誤飲」です。おなかに詰まると、食欲がなくなり、ひどいと命に関わります。また、栄養のかたよりや太りすぎからも体調をくずします。もし長く目を閉じたままだったり、目がにごって見えたりするときは、餌や環境を見直すサインです。

意外な豆知識

目を開けたまま眠る

クランウェルツノガエルは、まぶたを開けたまま休みます。ほとんど動かずにじっとしているので、はじめて飼う人は「生きているのかな?」と心配になることもあるほどです。動かないのは、待ち伏せのハンターならではの省エネなのです。

噛む力は哺乳類なみ

大きな個体の噛む力は、哺乳類の肉食動物にも負けないほど強いことが分かっています。あごには歯のような小さな出っぱりがあり、くわえた獲物を逃しません。そのため、大きすぎる獲物をのどに詰まらせてしまうこともあります。飼うときに指を餌とまちがえて噛まれると、かなり痛いので注意が必要です。

ツノガエルの仲間全体については、ツノガエルのページで紹介しています。カエルという生き物そのものについてはカエルのページもどうぞ。

参考

  • IUCN Red List:Ceratophrys cranwelli(Cranwell’s Horned Frog)の評価(分布・脅威・保全状況)
  • AmphibiaWeb:ツノガエル科 Ceratophryidae の解説(待ち伏せ型・食性など)
  • Zoobrary:クランウェルツノガエル(Ceratophrys cranwelli)種解説(学名の由来・見分け)
  • Wikipedia(英語版・日本語版)”Ceratophrys cranwelli”/GBIF(分類)

画像出典

アイキャッチ画像: Pablo H Capovilla, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

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