アカトマトガエル

カエル類

アカトマトガエルは、その名のとおり、まっ赤なトマトのような色をしたカエルです。アフリカのマダガスカルだけにすむ固有種で、外敵におそわれると体をぷうっとふくらませ、皮膚から白いネバネバした液を出して身を守ります。あざやかな赤色と、ユニークな防御のしかたで人気のカエルです。

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分類と学名

分類階層

  • 界:動物界 Animalia
  • 門:脊索動物門 Chordata
  • 綱:両生綱 Amphibia
  • 目:無尾目(むびもく) Anura
  • 科:ヒメアマガエル科 Microhylidae
  • 属:トマトガエル属(ディスコフス属) Dyscophus
  • 種:アカトマトガエル Dyscophus antongilii

和名・英名

  • 和名:アカトマトガエル
  • 英名:Tomato frog

名前の由来

名前は、まん丸でまっ赤な姿が、まるでトマトのように見えることから付けられました。英語でも「Tomato frog(トマトのカエル)」と、そのままの名前で呼ばれています。見た目そっくりの分かりやすい名前が、世界じゅうで親しまれています。

大きさ・分布などの基本データ

大きさメス 最大10cm・オス 6〜7cmほど(メスが大きい)
分類ヒメアマガエル科 トマトガエル属
分布マダガスカル北東部(アントンギル湾のまわり)だけ(固有種)
生息環境熱帯雨林の周りの湿った低地(二次林や畑の近くにも)
食べ物アリ・甲虫・クモ・ミミズなど(肉食)
寿命飼育下で6〜10年ほど
保全状況IUCN:軽度懸念(LC)※CITES附属書II

トマトそっくりの真っ赤な体

メスは真っ赤で大きい

アカトマトガエルは、赤や橙(だいだい)色の、あざやかな体をしています。じつは、真っ赤で目立つのはメスのほうです。メスは最大10cmほどまで大きくなりますが、オスは6〜7cmと小さめで、色もややくすんでいます。体はまん丸でふっくらとし、目は大きく、金属のような光沢(こうたく)があります。

まん丸で真っ赤なアカトマトガエル
まん丸で真っ赤な体つき(Franco Andreone, CC BY-SA 2.5, via Wikimedia Commons

赤い色は「危険」の合図

この目立つ赤色には、意味があります。「わたしは危険だぞ」と、敵に知らせる警告の色(警告色)なのです。あざやかな色をあえて見せることで、「食べても嫌な思いをするぞ」と伝えています。ヤドクガエルの派手な色と同じ、身を守るための作戦です。

ふくらんで、白いネバネバで身を守る

体をふくらませて威嚇する

アカトマトガエルは、あまりすばやく動くカエルではありません。跳びはねるより、腹ばいでのそのそ這うように歩きます。そのぶん、身を守るためのユニークな方法を持っています。敵に近づかれると、まず体をぷうっと大きくふくらませ、実際よりも大きく見せて威嚇します。

マダガスカルの野生のアカトマトガエル
マダガスカル・マロアンツェトラの野生個体(Frank Vassen, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons

白いネバネバした液を出す

それでも敵が口にくわえると、皮膚から白いネバネバした液を出します。この液はねばついていて、敵の口や目をふさいでしまいます。びっくりした敵は、たまらずカエルを放してしまうのです。まさに「くっつけて、にげる」という作戦です。

人がさわるときの注意

この白い液には、弱い毒がふくまれています。人がさわった場合、まれにアレルギー(皮膚のかゆみやかぶれ)を起こすことがあります。命に関わるほど強いものではありませんが、目や口などの粘膜(ねんまく)につくとよくないので、さわったあとは手をよく洗うことが大切です。

マダガスカルでの暮らし

島の北東だけにすむ

アカトマトガエルがすむのは、マダガスカル島の北東部、アントンギル湾のまわりだけです。熱帯雨林の周りの、湿った低地を好みます。夜行性で、昼は落ち葉や土の中にかくれ、夜になると地面を歩いて虫をさがします。動く獲物を見つけると、ねばつく舌をさっとのばして、すばやく捕まえます。たくさんの虫を食べて数を調整する一方で、自分もヘビや大きな鳥に食べられます。森の食物連鎖の中間をつなぐ、大切な役目を持っているのです。

土にもぐるアカトマトガエル
土にもぐって身をかくす(David J. Stang, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

雨季に繁殖する

繁殖は、マダガスカルの雨季(11月〜4月)に行われます。大雨のあとにできた一時的な水たまりが、産卵の場所になります。オスは低くて鼻にかかったような声で鳴き、メスをよびます。相手が見つかると、オスがメスの背中に乗る「抱接(ほうせつ)」の姿勢をとり、産卵をうながします。メスは一度に1,000〜1,500個もの卵を、水面にまとめて産みます。オタマジャクシは30〜45日ほどで変態し、小さな子ガエルになります。生まれたばかりの子は色が淡く、育つにつれて、だんだん赤くなっていきます。

保全と飼育

「絶滅危惧」から見直された

アカトマトガエルは、すむ場所がとても狭いため、以前は絶滅が心配される種とされていました。国際取引を規制するワシントン条約(CITES)でも、かつてはもっとも厳しい附属書Iに指定されていた時期があります。その後、くわしく調べ直した結果、思っていたより数は保たれているとわかりました。今はIUCNレッドリストで「軽度懸念(LC)」とされています。

とはいえ、安心はできません。マダガスカルでは森林の伐採や湿地の埋め立てが進んでおり、狭い地域にしかいないこのカエルにとって、生息地の減少は今も大きな脅威です。現在もCITES附属書IIで、国際取引には規制が続いています。

ペットとして飼えるの?

あざやかな見た目とおとなしい性質から、アカトマトガエルは観賞用として人気があり、日本でも飼われています。今出回っている個体の多くは、野生で捕られたものではなく、飼育下で繁殖させた個体(CB)です。飼うときは、湿度と温度の管理や、もぐれる土を用意することが大切です。ストレスを与えない環境づくりが、元気に長生きさせるコツです。

知っておきたい豆知識

そっくりな「ヒメトマトガエル」

アカトマトガエルには、とてもよく似た近縁種の「ヒメトマトガエル(Dyscophus guineti)」がいます。見た目がそっくりで、昔は同じ種とされたこともありました。今では、遺伝子や生息地の違いから別の種とされています。じつは、ペットとして出回っているトマトガエルの多くは、このヒメトマトガエルのほうだといわれています。

マダガスカルだけの仲間

トマトガエル属(Dyscophus)は、マダガスカルにしかいない仲間です。長いあいだ島の中で独自に進化してきた、マダガスカルの自然を象徴する生きものの一つといえます。ほかの生きものとおなじように、この島の豊かな自然が守られてこそ、赤いカエルたちも生きていけるのです。

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参考

  • IUCN Red List: Dyscophus antongilii(軽度懸念LC)
  • Wikipedia「Tomato frog」(英語版・防御の分泌物/雌雄差/近縁種)
  • AmphibiaWeb「Dyscophus antongilii」

画像出典

アイキャッチ画像: Marius Burger, パブリックドメイン, via Wikimedia Commons

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