カエル【総合】

カエル類

カエルは、水辺と陸をいったりきたりして暮らす両生類のなかまです。世界に7,000種以上、日本にも40種以上が知られています。おたまじゃくしから姿を変える「変態」や、種によってさまざまな鳴き声・毒・子育てで知られる、両生類のなかでもとくに多様なグループです。

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分類と学名

分類階層

  • 界:動物界 Animalia
  • 門:脊索動物門 Chordata
  • 綱:両生綱 Amphibia
  • 目:無尾目 Anura

「カエル=無尾目」とは

カエルの仲間は、分類では「無尾目(Anura)」と呼ばれます。「無尾」はその名のとおり、大人になると尾がなくなることをさす名前です。両生類の中では最も種類が多いグループで、世界に7,000種以上が知られています。南極をのぞくすべての大陸に、姿を変えながら広がっています。

大きさ・分布などの基本データ

種数世界に7,000種以上(日本に40種以上)
大きさ体長 約1cm〜30cm(種による)
分布南極をのぞくすべての大陸
生息環境水辺・森・草地・地中・樹上など
食べ物昆虫・クモ・小動物(肉食)
繁殖水中に産卵→オタマジャクシ→変態(種により多様)

カエルってどんな動物?

ジャンプの名人

カエルの一番の特徴は、長い後ろ足を使ったジャンプです。胴は短く、後ろ足がよく発達しており、体をバネのようにして跳びます。指先は種によって違い、水をかく「水かき」を持つものや、木の枝や葉に張り付く「吸盤」を持つものがいます。この足の違いが、水中・地上・樹上といったそれぞれの暮らしに合っています。

皮膚で呼吸する

カエルの皮膚はとても薄く、水も酸素も通します。そのため肺だけでなく皮膚からも酸素を取り入れる「皮膚呼吸」ができます。皮膚がいつも湿っている必要があるのは、このためです。皮膚からは粘液や毒が出る種もいて、乾燥を防いだり、身を守ったりする働きを担っています。

鳴いて仲間をよぶ

多くのカエルは、のどにある「鳴き袋」をふくらませて鳴きます。特にオスは、繁殖期にメスをよぶために鳴きます。「ケロケロ」「ゲコゲコ」など、鳴き声は種によってまったく違い、種類を見分ける大切な手がかりにもなります。

おたまじゃくしから変わる

卵からカエルになるまで

カエルは、卵→オタマジャクシ→カエル、という大きな「変態」をします。多くの種は水中に卵を産み、オスがメスの背中に乗る「抱接」の姿勢で受精します。卵からかえったオタマジャクシは、えらと尾を持ち、水の中で暮らします。やがて足が生え、尾が消えていきます。肺ができて、陸で暮らせるカエルへと姿を変えていきます。

卵やオタマジャクシは、魚や虫にたくさん食べられます。そのため多くのカエルは、一度にたくさんの卵を産んで、少しでも多くを生き残らせる戦略をとります。

変わった子育てをする種も

両生類の多くは子育てをしませんが、カエルには例外もいます。背中の皮膚に卵を埋め込むコモリガエル、木の枝に泡の巣を作る種、口の中で子を育てる種など、繁殖のしかたはとても多彩です。オタマジャクシを経ずに、いきなり小ガエルが生まれる種もいます。両生類のなかでもカエルは、繁殖戦略の幅が特に広いグループです。

暮らしと生態系での役割

身を守るいろいろな作戦

カエルは多くの動物にねらわれるため、身を守る作戦も種ごとに違います。落ち葉や緑に溶け込む擬態、あざやかな色で「毒があるぞ」と知らせる警告色、体をふくらませて大きく見せる方法などがあります。ぴょんと跳んですばやく逃げるのも、有効な身の守り方の一つです。

食べて、食べられて

カエルは肉食で、粘り気のある舌をさっと伸ばして昆虫やクモなどを捕まえます。一方でヘビ・サギ・タヌキなど多くの動物にとって重要な食べものでもあります。虫を食べ、鳥やヘビに食べられる、という食物連鎖の中間をつなぐ生態系の重要な要素です。皮膚が敏感で環境の変化に弱いため、自然の健康をはかる「指標生物」としても注目されています。

近年は、環境の変化や「ツボカビ症」という病気などで、世界各地でカエルが減っています。身近な生きものであるだけに、地域の環境変化を映し出す姿として観察が続いています。

カエルの分類群と代表種

カエルはたくさんの「科」に分かれています。ここでは主なグループを、科ごとに紹介します。記事のあるものにはブログカードを添えています。

アカガエル科

世界に広く分布する、いかにも「カエルらしい」なかまです。日本の山や田んぼにすむニホンアカガエル、水田の主役だったトノサマガエル、北米からきた外来種のウシガエルもこの科に入ります。

ニホンアカガエル
ニホンアカガエルは、日本だけにすむ、赤茶色の中くらいのカエルです。いちばんの特徴は、多くのカエルがまだ冬眠している真冬の1月ごろに、日本でいちばん早く産卵すること。しかも、卵を産み終えると、そのまま春までもう一度眠ってしまいます。里山の水田...
トノサマガエル
トノサマガエルは、体長6〜9cmほどの水田や池のカエルで、日本人に親しまれてきた「殿様」の名で知られる大型のカエルです。背中に黒い斑紋と一本の白または黄色の線を持ち、種小名 nigromaculatus は「黒い斑紋の」の意味です。かつては...
ウシガエル
ウシガエルは、北アメリカ生まれの大型のカエルです。「ブォーブォー」と、まるで牛のような低い声で鳴くことから、この名前がつきました。もともとは食用として日本に持ちこまれましたが、逃げ出して野生化し、今では法律で厳しく管理される「特定外来生物」...
ツチガエル
ツチガエルは、日本の水田・湿地・渓流など水辺全般に暮らす小型のカエルです。背中に並ぶ大小のイボ状突起から「イボガエル」の俗称でも知られ、灰褐色の体色と地味な佇まいで水辺に溶け込みます。低く小さな「ギュー・ギュー」という鳴き声や、幼生(オタマ...

アマガエル科

指先に吸盤を持ち、木や葉の上で暮らす樹上性のなかまです。日本でいちばん身近なニホンアマガエルが代表で、雨が近づくと鳴く「雨鳴き」で知られます。

ニホンアマガエル
ニホンアマガエルは、日本でいちばん身近な小さな緑のカエルです。指先の吸盤で木や草、ガラスの壁まで登り、まわりに合わせて体の色を緑や灰色に変えます。雨が近づくと鳴きだす習性から「雨蛙(あまがえる)」の名がつきました。皮膚には弱い毒があり、目や...

ヒキガエル科

「ガマガエル」とも呼ばれる、ずんぐりした陸生のなかまです。皮膚に毒腺(耳腺)を持ち、跳ねずに歩くのが特徴。日本ではアズマヒキガエルが代表です。

アズマヒキガエル
アズマヒキガエルは、東日本の野山や庭先でよく見られる、大きくてイボだらけのカエルです。「ガマガエル」の名でも親しまれ、跳ねるよりも、のっそりと歩くのが特徴です。耳のうしろには毒を出す大きな腺があり、身を守っています。春になると、たくさんの個...

アオガエル科

主にアジア・アフリカにすむ樹上性のなかまです。泡の巣を作って産卵する種が多く、日本では木の上に泡の巣を作るモリアオガエルが知られています。

モリアオガエル
モリアオガエルは、日本の森にすむ、あざやかな緑色のカエルです。木の枝に泡でつくった白い卵のかたまりをぶら下げ、かえったオタマジャクシが雨で下の水面へ落ちていく、という変わった繁殖で知られます。一部の繁殖地は、国の天然記念物にも指定されていま...

ヌマガエル科

水辺に強い、地上性のなかまです。田んぼや池でよく見られ、泳ぎも跳躍も得意。日本ではヌマガエルが代表です。

ヌマガエル
ヌマガエルは、西日本の水田でいちばんよく見かける、小さな茶色いカエルです。背中のまん中に、白い線がすっと1本入る個体がいるのが特徴です。もともとは南のあたたかい地方のカエルですが、近ごろは北の関東地方などにも広がっています。田んぼの地面をぴ...

ヤドクガエル科

中南米の熱帯雨林にすむ、あざやかな色の毒ガエルたちです。派手な色は「危険」を知らせる警告色。詳しくは各ハブページに整理しています。

ヤドクガエル【総合】
ヤドクガエルは、中南米の熱帯林にすむ、色あざやかな小さなカエルの仲間です。目を引く派手な色は「毒があるぞ」という警告で、皮膚から出す毒で身を守ります。青いコバルトヤドクガエルをはじめ、赤・黄・緑と、種によって色とりどりです。分類と学名分類階...

ツノガエル科

南米にすむ、大きな口で丸のみにする待ち伏せ型のなかまです。ペットとしても人気の「パックマンガエル」。詳しくは各ハブページに整理しています。

ツノガエル【総合】
ツノガエルは、南米にすむ、丸い体と大きな口が特徴のカエルです。その大きな口から「パックマンガエル」とも呼ばれ、あまり動かず飼いやすいことから、ペットとして高い人気があります。口に入るものは何でも飲み込む大食いとしても知られます。分類と学名分...

ピパ科

一生を水中で過ごす、平たい体のなかまです。背中の皮膚に卵を埋め込んで育てる、コモリガエル(ピパ)の変わった子育てで有名です。

コモリガエル
コモリガエルは、南米の水の中にすむ、平べったい体のカエルです。メスが背中の皮ふで卵を育て、子ガエルが背中から次々と出てくるという、驚きの子育てで知られます。分類と学名分類階層界:動物界 Animalia門:脊索動物門 Chordata綱:両...

スズガエル科

背中は地味でも、おなかに赤い警告色を持つなかまです。おどろくと体を反らせて、赤い腹を見せて身を守ります。チョウセンスズガエルが代表です。

チョウセンスズガエル
チョウセンスズガエルは、東アジアにすむ小さなカエルです。背中は緑色に黒いまだらですが、おなかは目のさめるような真っ赤。敵におそわれると、体を反り返らせてこの赤いおなかを見せ、「毒があるぞ」と警告します。オスの鳴き声が鈴(すず)の音に似ている...

フクラガエル科

アフリカ南部の地中性のなかまです。おこるとまん丸にふくらむ、怒り顔のアメフクラガエルがよく知られています。

アメフクラガエル
アメフクラガエルは、アフリカ南部にすむ、まんまるでずんぐりした小さなカエルです。跳ぶことも泳ぐこともできず、一生のほとんどを土の中で過ごします。おこったような丸い顔と、危険が近づくと体を風船のようにふくらませる姿が愛らしく、日本でもペットと...

ヒメアマガエル科

体が小さく、口も小さいなかまで、アリなど小さな虫を食べます。世界の熱帯に広く分布し、マダガスカルの真っ赤なアカトマトガエルもこの科です。

アカトマトガエル
アカトマトガエルは、その名のとおり、まっ赤なトマトのような色をしたカエルです。アフリカのマダガスカルだけにすむ固有種で、外敵におそわれると体をぷうっとふくらませ、皮膚から白いネバネバした液を出して身を守ります。あざやかな赤色と、ユニークな防...

まだまだいる、世界のカエル

世界にはほかにも個性ゆたかな科がたくさんあります。ここでは代表的な科をいくつか取り上げます。

ゴライアスガエル科

アフリカにすむ、世界最大のカエル「ゴライアスガエル」を含む科です。体長は30cmを超え、体重は3kg近くにもなります。

アマガエルモドキ科(ガラスガエル)

中南米にすむ、おなかの皮膚がとうめいで内臓が透けて見える「ガラスガエル」のなかまです。心臓が動くようすまで見えることもあります。

コノハガエル科

アジアにすむ、枯れ葉そっくりに擬態するなかまです。落ち葉の中にまぎれて、獲物を待ち伏せします。

ミミナシガエル科

ヨーロッパなどにすむ古いグループで、オスが卵を後ろ足に巻きつけて運び、守る変わった子育てで知られます。

オガエル科

北米の冷たい渓流にすむ、原始的なグループです。オスが「尾」のような器官を持ち、流れの速い水の中でも受精できる作りが特徴です。

このほかにもオーストラリアのカメガエル科やインドのインドハナガエル科など、世界には数十もの科があります。

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参考

  • AmphibiaWeb(世界の両生類データベース・種数)
  • Wikipedia「Frog」「無尾目」(分類・変態・分布)
  • IUCN Red List(両生類の保全状況・ツボカビ症)

画像出典

アイキャッチ画像: 池田正樹 (masaki ikeda), CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

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