ニホンアカガエル

カエル類

ニホンアカガエルは、日本だけにすむ、赤茶色の中くらいのカエルです。いちばんの特徴は、多くのカエルがまだ冬眠している真冬の1月ごろに、日本でいちばん早く産卵すること。しかも、卵を産み終えると、そのまま春までもう一度眠ってしまいます。里山の水田にすむ身近なカエルですが、近年は数を大きく減らしています。

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分類と学名

分類階層

  • 界:動物界 Animalia
  • 門:脊索動物門 Chordata
  • 綱:両生綱 Amphibia
  • 目:無尾目 Anura
  • 科:アカガエル科 Ranidae
  • 属:アカガエル属 Rana
  • 種:ニホンアカガエル Rana japonica

和名・英名

  • 和名:ニホンアカガエル(日本赤蛙)
  • 英名:Japanese brown frog

別名・学名の由来

和名の「赤蛙」は、体が赤褐色(赤茶色)をしていることにちなみます。種小名の japonica は「日本の」という意味で、その名のとおり日本だけにすむ固有種です。同じ赤茶色のなかまにヤマアカガエルやタゴガエルがいて、まとめて「アカガエル」と呼ばれることもあります。

大きさ・分布などの基本データ

大きさ体長 3〜7.5cm(メスが大きい)
分布日本固有種。本州(岩手・秋田以南)〜九州
生息環境平地・丘陵の草地や森林、水田・湿地
食べもの昆虫やクモなど(肉食)
産卵期1〜3月(早いと12月)。日本のカエルで最も早い部類
寿命3〜5年ほど

見た目と見分け方

赤茶色の体に、背中のまっすぐな筋が通ったニホンアカガエル
背中を通る、まっすぐ平行な二本の筋(背側線)。ノボホショコロトソ, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons

赤茶色の体と、まっすぐな背中の筋

体長は3〜7.5cmほどで、体の色は名前のとおり赤褐色(赤茶色)です。背中には、左右に一対の細い筋(背側線)が通っています。この筋が、目のうしろから腰まで、ほぼまっすぐ平行にのびているのがニホンアカガエルの特徴です。すっきりとした体つきで、地面をよく跳ねて動きます。

ヤマアカガエル・タゴガエルとの見分け

よく似たなかまに、ヤマアカガエルとタゴガエルがいます。見分けのいちばんの手がかりは、背中の筋です。ニホンアカガエルの筋はまっすぐなのに対して、ヤマアカガエルの筋は、目のうしろで「くの字」に外側へ曲がります。すむ場所にも違いがあり、ニホンアカガエルは平地の水田や草地に、ヤマアカガエルはおもに山あいにすみます。タゴガエルは体が小さめで、渓流ぞいの石の下などにくらします。姿を見せないまま、石の下や地面の中から「グッグッ」と鳴くので、声で存在に気づくことも多いカエルです。

くらしと生態

ふだんは地上でひとりぐらし

ニホンアカガエルは、ふだんは草むらや森林、丘陵地などの地上でくらします。群れをつくらず、単独で生活する一匹狼です。昆虫やクモなどをつかまえて食べ、寒くなると土や落ち葉の下にもぐって冬眠します。ただし、冬でも暖かい日には出てきて活動することがあります。この寒さへの強さが、次に紹介する「早すぎる産卵」につながっています。

冬に産卵して、また眠る

産卵期に水辺にあらわれたニホンアカガエル
産卵期に水辺にあらわれたニホンアカガエル(島根県)。ノボホショコロトソ, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons

日本でいちばん早い産卵

ニホンアカガエルの産卵は、とても早い時期に始まります。多くのカエルがまだ冬眠している1月から、早いときには12月のうちに、水田や湿地へ集まって卵を産みます。日本のカエルのなかでも、いちばん早い部類です。一度に産む卵は500〜3000個ほどで、まとまった球状のかたまり(卵塊)になります。産卵期のオスは、水の中で「キョキョキョ」と低い声で鳴きます。卵からかえったオタマジャクシは、背中に一対の黒い斑点があるのが特徴です。冷たい冬の水の中でゆっくりと育ち、春が深まるころにはカエルの姿へと変わっていきます。

産んだら、また春まで眠る

おどろくのはここからです。ニホンアカガエルは真冬に産卵をすませると、そのまま活動を続けるのではなく、もう一度冬眠に戻ります。斜面の林の落ち葉などにもぐり、暖かくなる5月ごろまで、ふたたび眠って過ごすのです。冬眠のとちゅうに一度だけ起きて産卵し、また眠る、という変わった一年を送ります。まるで「二度寝」をするようなカエルなのです。親ガエルが林でぐっすり眠っているあいだに、水の中では卵やオタマジャクシがすくすくと育っていく、というわけです。

里山とともに減るカエル

ニホンアカガエルは、里山の水田やそのまわりの環境と、とても深く結びついて生きています。冬に卵を産むための水田、夏を過ごす草地や林、その両方がそろってはじめて生きていけるのです。ところが近年、水路がコンクリートで固められたり、冬に水田の水が抜かれて乾いたりしています。こうした変化で、大切なすみかが失われてきました。ニホンアカガエルはその影響をとても強く受けるため、各地で数を減らしています。冬の田んぼに産みつけられた卵塊は見つけやすいので、その数を数えて生息のようすを見守る取り組みも、各地で続けられています。同じ場所でも、山あいにすむヤマアカガエルばかりが目立つようになってきました。ニホンアカガエルがすめるかどうかは、その里山が豊かかどうかを教えてくれる「ものさし」でもあるのです。

意外な豆知識

かつては食べられていた

今では意外に思うかもしれませんが、ニホンアカガエルは、かつて一部の地方で食用にされていました。よく似たヤマアカガエルとともに、その肉は鶏肉のような味がすると言われます。薬になると考えられて食べられることもありました。身近なカエルが、昔は人の食べものでもあったのです。

「アカガエルのなかま」は意外と多い

ニホンアカガエルが属する「アカガエル科」は、じつは日本のカエルの多くをふくむ大きなグループです。田んぼのトノサマガエルやトウキョウダルマガエル、山のヤマアカガエルやタゴガエルも、みんなアカガエル科のなかまです。さらに、外来種のウシガエルもこの科にふくまれます。赤いカエルばかりというわけではなく、姿も色もさまざまです。「アカガエル」という名前は、あくまでこのニホンアカガエルたちの体の色からついたものなのです。

カエルという生き物そのものについてはカエルのページもどうぞ。

参考

  • IUCN Red List:Rana japonica の評価(保全状況・分布)
  • Wikipedia(日本語版)「ニホンアカガエル」(形態・生態・産卵・生息数の減少)
  • AmphibiaWeb:アカガエル科 Ranidae/Rana の解説

画像出典

サムネイル画像: Σ64, CC BY 3.0, via Wikimedia Commons

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