ウシガエル

カエル類

ウシガエルは、北アメリカ生まれの大型のカエルです。「ブォーブォー」と、まるで牛のような低い声で鳴くことから、この名前がつきました。もともとは食用として日本に持ちこまれましたが、逃げ出して野生化し、今では法律で厳しく管理される「特定外来生物」です。口に入るものは何でも食べる大食いで、日本のもとの生きものたちをおびやかしています。

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分類と学名

分類階層

  • 界:動物界 Animalia
  • 門:脊索動物門 Chordata
  • 綱:両生綱 Amphibia
  • 目:無尾目 Anura
  • 科:アカガエル科 Ranidae
  • 属:アメリカアカガエル属 Lithobates(旧アカガエル属 Rana)
  • 種:ウシガエル Lithobates catesbeianus

和名・英名

  • 和名:ウシガエル(牛蛙)
  • 別名:食用ガエル
  • 英名:American bullfrog(アメリカの牛ガエル)

別名・学名の由来

和名の「牛蛙」も、英名の bullfrog(bull=雄牛)も、牛のように低くひびく鳴き声からつけられました。別名の「食用ガエル」は、後ろ足を食べるために世界各地で養殖されてきたことにちなみます。種小名の catesbeianus は、18世紀の博物学者カテスビーにちなんだ名前です。以前はアカガエル属にふくまれていましたが、今では北アメリカのなかまとともに、アメリカアカガエル属という別のグループに分けられています。

大きさ・分布などの基本データ

大きさ体長 11〜18cm、体重500〜600g(大型)
原産地北アメリカ
日本での分布北海道〜南西諸島(外来種として定着)
生息環境池・沼・川・湿地などの水辺(水生)
食べもの口に入るあらゆる動物(肉食・大食い)
法的な扱い特定外来生物(飼育・運搬・放出は原則禁止)

見た目

大きな鼓膜が目立つ、大型のウシガエル
がっしりした大型のウシガエル。lwolfartist, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons

大きな体と、大きな鼓膜

体長は11〜18cmと、日本で見られるカエルのなかでもとくに大型です。オスの背中は暗い緑色、メスは褐色で、どちらもおなかは白い色をしています。いちばんの目印は、目のうしろにある大きな鼓膜(こまく)です。とくにオスの鼓膜は、目の直径の2倍近くもある大きさで、遠くからでもよく目立ちます。がっしりした体で、ふだんは水の中から目と鼻先だけを出して、あたりをうかがっています。

くらしと生態

「ブォー」と牛のように鳴く

ウシガエルの鳴き声は、「ブォー、ブォー」と牛のように低くひびきます。この声こそが、和名や英名(bullfrog)のもとになりました。とくに繁殖期の声はとても大きく、数キロメートルはなれた場所まで聞こえることもあります。夜の池でいっせいに鳴かれると、その音は「うるさい」と感じるほどで、騒音として問題になることさえあります。夜行性で警戒心が強く、昼間は岸辺のしげみや土管などにひそんでいます。

口に入るものは何でも食べる

睡蓮の葉の上にいるウシガエル
睡蓮の葉の上のウシガエル(奈良・依水園)。Syrio, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

ウシガエルは、とてつもない大食いです。昆虫やザリガニはもちろん、魚・ほかのカエル・ヘビなどの小さな爬虫類・小鳥・ネズミまで、口に入る動物なら何でも食べてしまいます。ときには、自分より小さいウシガエルを共食いすることさえあります。目の前に落ちてきたものは、死んだ虫でも食べます。この見境のない食欲こそが、次に紹介する「日本の生きものへの影響」の大きな理由なのです。

大きなオタマジャクシで冬をこす

繁殖期は5月から9月ごろで、メスは水面にういた寒天のような卵のかたまりを産みます。その数は、一度に数千から数万個にもなります。かえったオタマジャクシは、他のカエルのように夏のうちにカエルへ変わるのではなく、大きなオタマジャクシのまま冬をこします。そして翌年の夏に、ようやくカエルの姿へ変態します。ウシガエルのオタマジャクシは10cm近くにもなることがあり、その大きさもなかなかの迫力です。

食用ガエルとしての歴史

「食用ガエル」として海を渡った

1918年、17匹が横浜港に

ウシガエルが日本にやってきたのは、1918年ごろのことです。動物学者の渡瀬庄三郎が、食用にするためアメリカから17匹を持ち帰り、横浜港にとうちゃくしました。当時の国は、まずしい農村の副業として、ウシガエルの養殖をすすめました。後ろ足の肉は鶏肉のササミのような味で、フライなどにして食べられたのです。

餌としてやってきたアメリカザリガニ

じつは、いまや日本じゅうにいるアメリカザリガニも、このウシガエルと深い関わりがあります。アメリカザリガニは、養殖するウシガエルの餌にするために、アメリカから持ちこまれた生きものなのです。食べる側のカエルと、食べられる側のザリガニ。その両方が、今では日本を代表する外来種になってしまいました。

食べられずに、野生に広がった

ところが日本では、カエルを食べる習慣が根づきませんでした。やがて食材としての人気もおとろえ、養殖はふるわなくなります。すると、必要とされなくなったウシガエルたちが養殖場から逃げ出したり放されたりして、日本各地の水辺に広がっていきました。こうして、食べるために連れてこられたカエルが、日本の自然の中でどんどん数を増やしていったのです。

特定外来生物 ― 見つけても飼えない

野生に広がったウシガエルは、大食いの力で日本のもとの昆虫・魚・カエルなどをどんどん食べてしまいます。そのため生態系への被害が大きく、ウシガエルは2006年に「特定外来生物」に指定されました。これは、日本の自然に害をおよぼす外来種を、法律で管理するしくみです。特定外来生物に指定されると、生きたまま飼うこと・運ぶこと・野外に放すことなどが、原則として禁止されます。もし池でウシガエルを見つけても、つかまえて生きたまま持ち帰ることはできません。見つけたら、そっと観察するだけにしましょう。

意外な豆知識

世界の侵略的外来種ワースト100

ウシガエルは、世界じゅうで生態系に大きな影響をあたえている外来種です。国際的な自然保護の団体は、とくに問題の大きい外来種をまとめた「世界の侵略的外来種ワースト100」というリストをつくっています。ウシガエルは、そのリストにも選ばれています。日本だけでなく、ヨーロッパや南米など、世界のあちこちで困りものになっているのです。もともとの北アメリカでは、ふつうに見られるカエルの一つにすぎません。

「ニャー」と鳴く個体もいる

ふつうは「ブォー」と鳴くウシガエルですが、まれに、まるで猫のように「ニャー」と鳴く個体がいることが知られています。水族館で公開されたり、テレビ番組でとりあげられたりして、話題になったこともあります。牛のような声で有名なカエルが、ときどき猫の鳴きまねのような声を出すというのは、なんともふしぎな話です。

カエルという生き物そのものについてはカエルのページもどうぞ。

参考

  • Wikipedia(日本語版)「ウシガエル」(形態・生態・移入の歴史・法規制)
  • 環境省:特定外来生物「ウシガエル」(外来生物法による規制)
  • IUCN Red List/Amphibian Species of the World(AMNH):Lithobates catesbeianus(分類・分布)

画像出典

サムネイル画像: Cephas, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

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