ベルツノガエルは、南米アルゼンチンの草原にすむ、緑色の大型のツノガエルです。別名を「アルゼンチンツノガエル」といいます。地面に半分うまってじっと待ち、通りかかった獲物を、カエルでも鳥でも丸のみにする大食いのハンターです。ペットのツノガエルの原点の一つですが、野生では数が減ってきています。
分類と学名
分類階層
- 界:動物界 Animalia
- 門:脊索動物門 Chordata
- 綱:両生綱 Amphibia
- 目:無尾目 Anura
- 科:ツノガエル科 Ceratophryidae
- 属:ツノガエル属 Ceratophrys
- 種:ベルツノガエル Ceratophrys ornata
和名・英名
- 和名:ベルツノガエル(別名:アルゼンチンツノガエル)
- 英名:Argentine horned frog
別名・学名の由来
「ベル」という名前は、このカエルに最初に学名をつけた、19世紀のイギリスの動物学者トーマス・ベルにちなみます。別名の「アルゼンチンツノガエル」は、おもな分布地のアルゼンチンにちなみます。種小名の ornata は「かざられた」という意味で、緑色に暗い模様が入った、はでな体の色を表しています。同じツノガエルのなかまには、ペットとして定番のクランウェルツノガエルがいます。
大きさ・分布などの基本データ
| 大きさ | 体長 オス約10cm/メス約12〜16cm(大型・メスが大きい) |
|---|---|
| 分布 | 南米(アルゼンチン・ウルグアイ・ブラジル南部) |
| 生息環境 | パンパと呼ばれる草原の水辺 |
| 食べもの | カエル・鳥・ネズミ・虫など(肉食・待ち伏せ) |
| 保全状況 | IUCN: NT(準絶滅危惧)。野生では減少傾向 |
| 主な仲間 | クランウェルツノガエル/アマゾンツノガエル 等 |
見た目

緑に暗い模様の、大きな体
体はまるくずんぐりしていて、口が顔の半分近くを占めます。体の色は、あざやかな緑色や緑がかった褐色で、暗い緑や茶色の模様が入ります。この模様が、草の中にひそむときのすぐれた保護色になります。目の上には、名前の由来になった小さな角のような突起があります。ただしベルツノガエルのものは、あまり大きくありません。メスは大きいもので体長16cm近くになることもあり、ツノガエルのなかまでも大型です。
くらしと生態
草原の地面で待ち伏せる

半身をうめて、じっと待つ
ベルツノガエルは、自分から獲物を追いかけたりはしません。地面に体の半分をうめ、土や草にまぎれて、じっと動かずに待ちます。そして、獲物が目の前を通りかかった瞬間に、大きな口でパクッととびつくのです。この「待ち伏せ型」の狩りは、あまり動かずにすむため、体力を使わないすぐれたやり方です。また、暑さや寒さがきびしい時期には、皮ふを何層にも厚くして体を「繭(まゆ)」のように包みます。そして土の中で、じっと眠ってやり過ごすのです。雨が戻って環境がよくなると、自分の足でその皮をはがして、ふたたび活動をはじめます。
カエルまで丸のみにする
食欲はおうせいで、口に入るものなら何でもねらいます。おどろくことに、ウルグアイでの調べでは、胃の中身のおよそ8割をほかのカエルが占めていました。残りは小鳥やネズミ、まれにヘビなどで、まさに「動くものはごちそう」といったところです。自分より大きな相手にも、ためらわずとびつくことがあります。大きな口と強いあごで、獲物をがっちりくわえて放しません。
音を出すオタマジャクシ
ベルツノガエルの繁殖は、夏の雨のあとに池などで行われます。メスは一度に200〜1000個もの卵を産み、かえったオタマジャクシは20〜32日ほどで小さなカエルへ変態します。じつはこのオタマジャクシには、とてもめずらしい特徴があります。なんと、音を出すのです。攻撃されると、はやいものでは生まれて3日目から、水の中で音を発することが確認されています。無脊椎動物もふくめて、幼生(子ども)が音で情報を伝える例は、世界で初めての報告でした。この音には、おたがいを食べてしまう「共食い」を防ぐはたらきがあるのではないか、とも考えられています。
野生では数が減っている
ペットとしておなじみのベルツノガエルですが、生まれ故郷のアルゼンチンなどでは、野生の数が減ってきています。原因は、すみかの草原が農地などに変えられること・土や水のよごれ・ペット用に野生個体がつかまえられることなどです。IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストでは、「準絶滅危惧(NT)」という、少し心配な状態に分類されています。ペットとしてたくさん殖やされていても、それがそのまま野生の数を守ることにはつながりません。ケースの中で見かける身近なカエルにも、野生ではきびしい現実があるのです。
ペットとしてのベルツノガエル
ベルツノガエルはペットとして飼われますが、出回っている個体には、じつはある事情があります。売られている「ベルツノガエル」の多くは、近い仲間のクランウェルツノガエルなどとかけ合わされた雑種で、純粋なベルツノガエルはあまり流通していません。純血として売られていても、見た目だけで見分けるのはほぼ不可能とされています。いろいろな種をかけ合わせた個体は、「ファンタジーツノガエル」などの名前で売られています。飼い方そのものは、クランウェルツノガエルとほとんど同じです。くわしくはクランウェルツノガエルのページや、ツノガエルのページを参考にしてください。
意外な豆知識
じつは、けっこう鳴く
おっとりした見た目のわりに、ベルツノガエルはよく鳴くカエルです。繁殖期のオスがメスを呼ぶだけでなく、びっくりしたときやいやがっているときにも、「ギャッ」と声を出します。飼っていると、さわろうとしたときなどに鳴くことがあり、これは「いやだ」という気持ちのあらわれと考えられています。動かないカエルの、意外とにぎやかな一面です。
カエルという生き物そのものについてはカエルのページもどうぞ。
参考
- IUCN Red List:Ceratophrys ornata の評価(保全状況・減少傾向)
- Wikipedia(日本語版)「ベルツノガエル」(形態・生態・幼生の発音・雑種)
- AmphibiaWeb:Ceratophrys ornata の解説(分布・食性・繁殖)
画像出典
サムネイル画像: Adrian Pingstone (Arpingstone), Public domain, via Wikimedia Commons

