ゾウは、陸上でいちばん大きな動物です。長い鼻を手のように使い、大きな耳と牙を持ちます。アフリカにすむアフリカゾウと、アジアにすむアジアゾウの、大きく2種類が知られています。
分類と学名
分類階層
- 界:動物界 Animalia
- 門:脊索動物門 Chordata
- 綱:哺乳綱 Mammalia
- 目:長鼻目(ちょうびもく)Proboscidea
- 科:ゾウ科 Elephantidae
- 属:アフリカゾウ属 Loxodonta/アジアゾウ属 Elephas
- 種:アフリカゾウ Loxodonta africana/アジアゾウ Elephas maximus
和名・英名
- 和名:ゾウ(象)
- 英名:Elephant
別名・学名の由来
ゾウの仲間は「長鼻目」というグループに入ります。読んで字のごとく、長い鼻が最大の特徴です。アフリカゾウの属名 Loxodonta は「斜めの歯」という意味で、すりつぶすための奥歯にある、ななめのかみ合わせ模様にちなみます。なお、絶滅したマンモスは、アフリカゾウよりもアジアゾウに近い仲間だと考えられています。
大きさ・分布などの基本データ
| 大きさ | 肩の高さ 約3〜3.4m、体重 約5〜7トン(アフリカゾウ。最大級は約10トン) |
|---|---|
| 分布 | アフリカ(サハラ以南)とアジア(インド〜東南アジア) |
| 生息環境 | サバンナ・森林・湿地・農地など |
| 食べもの | 草・葉・木の皮・果実など(草食)。1日に約150kgの植物と約230Lの水 |
| 寿命 | 60〜70年ほど |
| 保全状況 | アフリカゾウ・アジアゾウとも IUCN: EN(絶滅危惧) |
陸上でいちばん大きな動物

体重は5トンをこえる
いちばん大きいアフリカゾウは、体重が5〜7トンにもなります。これは軽自動車6〜7台分ほどの重さです。肩の高さは3mを超え、大人の身長のおよそ2倍です。これまでに記録された最大の個体は、肩の高さ約4m・体重約10トンだったといわれます。陸上に生きる今の動物のなかで、いちばん大きな体を持ちます。
大きな体を支えるしくみ
この重い体を支えるため、ゾウの足は柱のように太くなっています。かかとの下には厚い脂肪のクッションがあり、つま先立ちに近い姿勢で立っています。皮ふには細かいひび割れがたくさんあり、そこに水をためて、暑い日に体を冷やすのに役立てています。あれだけ大きいのに、足音を立てずに静かに歩けます。
器用な鼻と、大きな牙と耳

鼻は「もう一本の手」
水を飲み、食べ物をつかむ
ゾウの長い鼻は、鼻と上くちびるが一つになったものです。においをかぐだけでなく、水を吸い上げて口に運んだり、木の枝や草をつかんで引きよせたりします。あの重い体を洗うシャワーにもなり、あいさつや道具のようにも使う、とても器用な器官です。
鼻先の「指」で小さなものもつまむ
鼻の先には、指のように動く小さな突起があります。アフリカゾウはこの突起が2つ、アジアゾウは1つです。この「指」を使えば、地面の小さな木の実を一粒つまむような細かい作業までできます。力も器用さも兼ねそなえた、生きものの中でもめずらしい鼻です。
一生のび続ける牙
ゾウの牙は、大きくのびた前歯(切歯)です。牙は一生のび続けます。木の皮をはいだり、地面を掘って水を探したり、オスどうしの力くらべに使ったりします。アフリカゾウはオスもメスも立派な牙を持ちます。この牙が「象牙(ぞうげ)」として高く売れるために、ゾウは長く密猟の標的にされてきました。
大きな耳で体を冷やす
ゾウの大きな耳は、体温を下げるためのしくみでもあります。耳をパタパタとあおぐと、風が起きます。さらに耳の裏側には血管が広がっていて、そこを流れる血液が外の風で冷やされ、体全体の熱をにがします。暑いサバンナで暮らすアフリカゾウの耳がとくに大きいのは、このためだと考えられています。
アフリカゾウとアジアゾウの見分け方

見た目の違い6つ
「ゾウ」とひとくちに言っても、アフリカゾウとアジアゾウでは見た目がけっこう違います。次の6つを見ると、どちらかがすぐに分かります。
| 見るところ | アフリカゾウ | アジアゾウ |
|---|---|---|
| 耳 | 大きい(肩まで覆うほど) | 小さめ |
| 背中 | 真ん中がくぼむ | 丸く盛り上がる |
| 鼻の先 | 突起が2つ | 突起が1つ |
| 牙 | オスもメスも目立つ | おもにオス(メスは目立たない) |
| 頭の形 | 丸い | こぶが2つに見える |
| 体の大きさ | より大きい | ひとまわり小さい |
いちばんの近道は耳
いちばん分かりやすいのは耳の大きさです。耳が肩を覆うほど大きければアフリカゾウ、こぶりならアジアゾウと見当がつきます。動物園でどちらのゾウか迷ったときは、まず耳に注目すると見分けやすくなります。
家族で暮らす、かしこい動物

群れのリーダーは年長のメス
ゾウは、メスと子どもたちが集まった群れで暮らします。群れを率いるのは、いちばん年上で経験豊かなメスです。どこに水場があるか、どの道が安全かといった知識を頼りに、群れ全体を導きます。オスは大人になると群れをはなれ、1頭またはオスだけの小さな集まりで過ごします。繁殖期のオスは「マスト」と呼ばれる気の荒い状態になることが知られています。
妊娠22か月は哺乳類でいちばん長い
ゾウのお腹に赤ちゃんがいる期間は、およそ22か月です。これは哺乳類のなかでもっとも長い妊娠期間です。生まれてくる赤ちゃんは、ふつう1頭だけです。体重はそれでも100kgほどあり、群れのみんなに見守られながら育ちます。時間をかけて、一頭をじっくり育てます。
高い知能と豊かな心
ゾウは、動物のなかでもとくに賢いことで知られます。大きな脳を持ち、水場やなかまの場所をよく覚えています。鏡にうつった姿を自分だと分かる数少ない動物でもあります。さらに、死んだなかまのそばを離れずにたたずむなど、悲しんでいるように見える行動も報告されています。
天敵はほとんどいない
大人のゾウには、天敵と呼べる動物がほとんどいません。あまりに大きく力が強いので、サバンナの王者ライオンでさえ、健康な大人のゾウには手を出せません。ただし、生まれて間もない子ゾウは別です。群れではぐれた子どもは、ライオンの群れやハイエナ、水辺ではワニにねらわれることがあります。そしてゾウにとって最大の脅威は、人間です。

象牙のために数を減らしている

アフリカゾウは、2021年からIUCNレッドリストで「絶滅危惧(EN)」に指定されています。いちばんの原因は、象牙を目的とした密猟です。ある報告では、2003年から2015年のあいだに、29か国で14,606頭ものアフリカゾウが違法に殺されたとされます。さらに、畑や町が広がって暮らす場所が減っていることも、数を減らす大きな理由です。今は国際的な取り決めで象牙の取引が禁止され、各地で保護の取り組みが進められています。アジアゾウもまた、生息地の減少などで数を減らしています。
会える場所
日本でも、上野動物園をはじめ多くの動物園でゾウに会えます。展示されているのはアジアゾウが多いですが、アフリカゾウを飼育している園もあります。アジアゾウは力が強く人になれやすいことから、昔から乗り物や重い荷物を運ぶ働き手として、人とともに暮らしてきました。その付き合いは、四千年以上前の古代文明までさかのぼるといわれます。
参考
- IUCN Red List:Loxodonta africana(2021年・EN)/Elephas maximus(EN)の評価
- Wikipedia(英語版)「African bush elephant」(大きさ・耳・鼻・妊娠期間・密猟の統計)
- Wikipedia(英語版)「Asian elephant」(見分け・分布・使役の歴史・マンモスとの近縁)
画像出典
アイキャッチ画像: Diego Delso, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons(本文中の写真は各キャプションに出典を記載)


