ジェンツーペンギン

海鳥類

ジェンツーペンギンは、頭の上をはちまきのように横切る白い帯と、あざやかなオレンジ色のくちばしが目印のペンギンです。実は、水の中を泳ぐ速さはペンギンの仲間でいちばん。日本の水族館でもよく飼育されていて、会いやすい人気者です。

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分類と学名

分類階層

  • 界:動物界 Animalia
  • 門:脊索動物門 Chordata
  • 綱:鳥綱 Aves
  • 目:ペンギン目 Sphenisciformes
  • 科:ペンギン科 Spheniscidae
  • 属:アデリーペンギン属 Pygoscelis
  • 種:ジェンツーペンギン Pygoscelis papua

和名・英名

  • 和名:ジェンツーペンギン
  • 英名:Gentoo penguin

名前の由来がおもしろい

「ジェンツー(gentoo)」という名前の由来は、実ははっきりしていません。頭の白い模様をターバンに見立てた、という説などが伝わっています。さらにおもしろいのが学名です。種名の「papua(パプア)」は、発見者のフォースターがこのペンギンをニューギニア(パプア)にすむと勘違いしてつけたもの。でも実際には、ニューギニアにペンギンは一羽もいません。世界一周をした博物学者の、うっかりが残ってしまった名前なのです。ちなみに属名のPygoscelisは「尻に尾」という意味で、歩くときに左右へ揺れる長い尾にちなみます。

大きさ・分布などの基本データ

大きさ体長 約70〜90cm・体重 約5〜8.5kg(大型)
分布南極半島とまわりの亜南極の島々
生息環境氷におおわれない海岸の草地や岩場
食べ物オキアミ・小魚・イカ(海の中で捕る)
寿命野生でおよそ15〜20年
保全状況IUCN:軽度懸念(LC)

頭の白い帯とオレンジのくちばし

白い帯・橙のくちばし・いちばん長い尾

頭の白い帯とオレンジのくちばし

ジェンツーペンギンの体長は70〜90cm、体重は5〜8.5kgほどで、コウテイペンギンとキングペンギンに次ぐ3番目に大きなペンギンです。いちばんの目印は、頭の上を左右につなぐように走る白い帯。そして、はっとするほどあざやかなオレンジ色のくちばしです。

ジェンツーペンギンの顔
頭の白い帯とオレンジのくちばし・足がよくわかる(Liam Quinn, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons

足のオレンジと、いちばん長い尾

足の水かきも、うすいピンクからオレンジ色をしています。もうひとつの特徴が尾で、ペンギンの仲間の中でいちばん長く、歩くときに左右へほうきのようにゆれます。

そっくりな3種の見分け方

ジェンツーペンギンは、同じアデリーペンギン属のアデリーペンギン・ヒゲペンギンとよく似ています。見分けるコツは顔です。アデリーは目のまわりの白い輪、ヒゲはあごの下の黒い帯、そしてジェンツーは頭の上の白い帯とオレンジのくちばしが目印になります。顔とくちばしの色を見れば、3種を見分けられます。

ペンギン界いちばんの泳ぎ手

時速35kmの最速スイマー

ジェンツーペンギンは、水の中を泳ぐ速さがペンギンの仲間でいちばんです。その最高速度は時速35kmにもなり、これは人が全力で走るよりずっと速いスピードです。流線型のスマートな体と、力強い翼(フリッパー)で水をかいて、まるで水中を飛ぶように進みます。この速さは、天敵からにげるときや、すばやい魚を追いかけるときに役立ちます。目も水の中の生活に合わせてできていて、緑や青といった水中の色によく反応します。そのぶん陸の上では、少しぼやけて見えるといわれています。

「Gentoo Linux」の名の由来にも

ちなみに、コンピューターの世界で使われる「Gentoo Linux(ジェントゥー・リナックス)」という基本ソフトは、この最速ペンギンにちなんで名づけられました。速さを大切にするソフトだから、というのが理由だそうです。ジェンツーの泳ぎの速さは、こんなところでも知られているのです。

南極周辺での暮らしと子育て

石を積んだ巣と「石どろぼう」

ジェンツーペンギンは、氷にとざされない海岸の草地や岩場に巣を作ります。巣は小石をぐるりと丸く積み上げたもので、高さ20cm・直径25cmほどになることもあります。石は卵を地面のしめり気から守る大切な材料です。そのため、となりの巣からこっそり石をぬすむ「石どろぼう」がよく起こり、はげしいけんかにもなります。いっぽうで、オスがメスに気に入った石をプレゼントして求婚することもあります。ジェンツーにとって、小石はとても特別なものなのです。

石の巣で卵を抱くジェンツーペンギン
小石を積んだ巣と卵。長い尾も見える(W. Bulach, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

2個の卵とヒナの成長

ふつう2個の卵を産み、オスとメスが毎日交代で温めます。卵は34〜36日でかえります。生まれたヒナは灰色や茶色の綿毛におおわれ、しばらく親に守られて育ちます。その後は、ヒナどうしが集まった「クレイシュ」という群れをつくり、親が交代で海から餌を運んできます。生まれて80〜100日ほどで大人の羽に生えかわり、はじめての海へと巣立っていきます。

ジェンツーペンギンのヒナ
綿毛におおわれた幼鳥。白い帯が出てきている(Jens Bludau, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

食べもの・天敵と保全

食べものと天敵

ジェンツーペンギンの主な食べものは、オキアミなどの甲殻類や小魚、イカです。その時どきにたくさんいる獲物をじょうずに食べる、柔軟な食生活をしています。海での天敵はヒョウアザラシ・シャチ・アシカで、陸ではヒナや卵をねらうトウゾクカモメやオオフルマカモメが天敵です。海の魚は塩からいので、目の上にある「塩類腺」という器官で、体にたまった塩をくちばしの先から外へ出しています。

数と保全・会える場所

ジェンツーペンギンはIUCNレッドリストで「軽度懸念(LC)」とされ、いまのところ絶滅の心配は小さい種です。地球温暖化で氷がとける南極半島では、これまですめなかった南の地域に新しくコロニーを広げる動きも見られます。ただしサウスジョージア島の一部のように、25年で個体数が3分の1に減った場所もあり、地域によって明暗が分かれています。日本では海遊館(大阪)や長崎ペンギン水族館、名古屋港水族館など、多くの水族館で会うことができます。人なつっこく好奇心が強い性格で、来館者の人気を集めています。

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参考

  • IUCN Red List: Pygoscelis papua(軽度懸念LC・個体数傾向stable/南方への分布拡大)
  • Animal Diversity Web「Pygoscelis papua」(水中に特化した視覚=緑・青によく反応し陸では低下/なわばり性・鳴き声/野生平均13歳・1年目の生存率は3〜5割)
  • Wikipedia「Gentoo penguin」英語版(Names=gentoo語源とpapua命名の誤り/Description=最速36km/h・最も長い尾/Breeding=石の巣・2卵・クレイシュ/Predators・Physiology=塩類腺)

画像出典

アイキャッチ画像: Godot13, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

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