オサガメ

カメ類

オサガメは、世界でいちばん大きなカメです。大きい個体は体重900kgをこえ、まるで小さなボートのよう。ほかのウミガメとちがって甲羅がかたい骨ではなく、革のようにしなやかなのも大きな特徴です。深さ1,000mをこえる深海まで潜り、大好物のクラゲを追って世界の海をめぐります。冷たい海でも泳げる、爬虫類とは思えないカメです。

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分類と学名

分類階層

  • 界:動物界 Animalia
  • 門:脊索動物門 Chordata
  • 綱:爬虫綱 Reptilia
  • 目:カメ目 Testudines
  • 科:オサガメ科 Dermochelyidae
  • 属:オサガメ属 Dermochelys
  • 種:オサガメ Dermochelys coriacea

和名・英名

  • 和名:オサガメ(長亀)
  • 英名:Leatherback sea turtle(レザーバック・シータートル)

名前の由来

英名のLeatherback(レザーバック)は、「革(leather)の背中」という意味です。ほかのウミガメのような、かたいうろこの甲羅ではなく、革のようなしなやかな皮ふでおおわれていることからついた名前です。和名の「オサガメ」は漢字で「長亀」と書きます。由来には諸説あり、背中にならぶ筋(うね)を、機織りの道具「筬(おさ)」に見立てたとする説などが知られています。ほかのウミガメとは科からして違う、特別なグループのカメです。

大きさ・分布などの基本データ

大きさ全長 約1.8〜2.2m・体重 約250〜700kg(記録では約916kg)
分布世界中のあたたかい海〜冷たい海まで(カメで最も広い分布)
生息環境外洋を広く回遊。深海まで潜る。産卵は熱帯の砂浜
食べ物おもにクラゲ(ゼリー状の生きもの)
寿命野生でおよそ数十年と考えられている
保全状況IUCN:危急(VU)/ワシントン条約 附属書I

世界でいちばん大きなカメ

砂浜で産卵する巨大なオサガメ
産卵のため上陸した巨体。黒い体に白い斑点が散る(Unknown author, Public domain, via Wikimedia Commons

体重900kgをこえる記録も

オサガメは、いま生きているカメの中で世界最大です。全長はふつう1.8〜2.2mほど、体重は250〜700kgもあります。これまでで最大の記録は、イギリスの海岸で見つかった個体で、体重はなんと約916kg。ワニをのぞけば、地球でいちばん重い爬虫類でもあります。生まれたときは甲羅6cmほどの小さな赤ちゃんですが、大好物のクラゲを食べてぐんぐん育ちます。

甲羅が骨ではなく、革のよう

オサガメのいちばんの特徴は、甲羅です。ほかのウミガメはかたい骨の甲羅とうろこを持ちますが、オサガメだけは、かたいうろこがありません。かわりに、細かい骨のかけらがモザイクのように散らばった、しなやかな革のような皮ふでおおわれています。背中には、頭からしっぽへとのびる7本のはっきりした筋(うね)があります。この平たくてしなやかな体が、深く潜ったり速く泳いだりするのに役立っています。

深海までもぐる、すごいダイバー

深さ1,000mをこえて潜る

オサガメは、海の生きものの中でもとくに深く潜れることで知られています。記録では、なんと水深1,280mまで潜ったことがあります。これはクジラの仲間にもひけをとらない深さです。ふだんの潜水は数分ほどですが、ときには30〜70分ももぐり続けることがあります。大きな前あしを鳥の翼のように動かし、力強く海の中を進みます。

体のふしぎ ― 温かい体と、速い泳ぎ

冷たい海でも泳げる、あたたかい体

ふつう爬虫類は、まわりが寒くなると体も冷えて動けなくなります。ところがオサガメは、自分の体温を高く保てる、めずらしい爬虫類です。大きな体と分厚い脂肪、そして熱をにがさない血管のしくみのおかげで、冷たい海でも元気に泳げます。だから、カナダやスコットランドのような寒い海まで足をのばせるのです。

泳ぐ速さは、爬虫類でいちばん

広い海を旅するオサガメは、泳ぎの名手でもあります。記録では最高で時速35kmに達し、これは爬虫類でいちばんの速さです。1年に1万kmをこえる長い旅をする個体もいます。カメの中でもっとも広い範囲にすむウミガメなのです。

クラゲ専門の、ふしぎな口

オサガメの頭と口のアップ
やわらかいクラゲをとらえる大きな口。のどの奥には後ろ向きのトゲが並ぶ(Ghofar Ismail Putra, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

のどの奥に、後ろ向きのトゲがびっしり

オサガメの主食は、つるつるすべるクラゲです。にげやすいクラゲをのがさないため、口からのど(食道)にかけて、後ろ向きのするどいトゲがびっしりと並んでいます。このトゲがひっかかりになって、飲みこんだクラゲが口からもどってしまうのを防ぐのです。「オサガメの口の中」を見ると、まるで洞くつのようで、思わずびっくりします。やわらかい獲物を食べるための、みごとな仕組みです。

ビニール袋を、クラゲとまちがえる

クラゲばかり食べるオサガメには、こまった問題があります。海にただようビニール袋を、クラゲとまちがえて食べてしまうのです。ビニールはおなかにつまって消化できず、命を落とす原因になります。オサガメは、海のクラゲが増えすぎないようにおさえる大切な役目もになっています。海にごみを出さないことが、この大きなカメを守ることにつながります。

産卵と、数を減らす理由

砂浜の巣に産みつけられたオサガメの卵
砂浜の巣に産みつけられた卵。1回に80〜100個ほど産む(Bernard DUPONT, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons

熱帯の砂浜で卵を産む

メスは2〜3年に一度、熱帯の砂浜にもどって産卵します。夜に上陸し、うしろあしで深さ70cmほどの穴を掘って、1回に80〜100個ほどの卵を産みます。中米のコスタリカや西アフリカ、東南アジアの浜がおもな産卵地です。卵は約60日でかえり、赤ちゃんガメは夜のうちに砂から出て、いっせいに海をめざします。無事に大人になれるのは、ほんのわずかです。

「危急(VU)」に指定されている

オサガメは、IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストで「危急(VU)」に指定されています。とくに太平洋にすむ集団は数が激しく減り、深刻な状態です。原因は、産卵地の開発・卵の盗掘・漁の網にかかる混獲・ビニールごみの誤食などです。長い距離を旅するため、世界中の国が協力して守る必要があります。ワシントン条約でも、もっとも厳しい附属書Iに入っています。

日本で会える?

オサガメは世界中の海にすんでいて、日本の近海にも黒潮に乗ってときどきやってきます。ただし、とても広い海を泳ぎ回るうえ、水族館で飼うのもむずかしいカメです。そのため、生きた姿を見られる機会はほとんどありません。日本の海でふだん見られるウミガメは、アオウミガメ・アカウミガメ・タイマイなどです。世界最大のカメ、オサガメは、めったに会えない海の主のような存在です。

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参考

  • IUCN Red List「Dermochelys coriacea」(危急VU・太平洋の一部個体群は深刻な危機・ワシントン条約附属書I)
  • NOAA Fisheries「Leatherback Turtle」(世界最大のウミガメ/深く潜る・広く回遊/おもにクラゲなどのゼリー状の生きものを食べる/混獲や海洋ごみが脅威)
  • Wikipedia「Leatherback sea turtle」英語版(現生最大のカメでワニ以外で最も重い爬虫類・記録約916kg/甲羅は骨でなく革状で骨片がモザイク状・背に7本の筋/記録1,280mの深海潜水・爬虫類で最速35km/h/体温を保つしくみで冷水域まで分布/のど(食道)に後ろ向きのトゲ)

画像出典

アイキャッチ画像: Rabon David, U.S. Fish and Wildlife Service, Public domain, via Wikimedia Commons

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