コアラ

有袋類

コアラは、オーストラリアの東部にすむ有袋類です。名前や見た目に反して、クマの仲間ではありません。ユーカリの葉だけを主食にし、1日の大半を木の上で眠ってすごします。

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分類と学名

分類階層

  • 界:動物界 Animalia
  • 門:脊索動物門 Chordata
  • 綱:哺乳綱 Mammalia
  • 目:双前歯目(そうぜんしもく)Diprotodontia
  • 科:コアラ科 Phascolarctidae
  • 属:コアラ属 Phascolarctos
  • 種:コアラ Phascolarctos cinereus

和名・英名

  • 和名:コアラ
  • 英名:Koala

名前の由来

「コアラ」という名前は、オーストラリアの先住民の言葉で「水を飲まない」という意味からきているとされます。コアラは、必要な水分の多くをユーカリの葉から取るため、川や池の水を飲むことがほとんどありません。英語の Koala も、この呼び名がそのまま広まったものです。

大きさ・分布などの基本データ

大きさ体長 約60〜85cm・体重 約4〜15kg(南にすむものほど大きい)
分布オーストラリアの東部から南東部
生息環境ユーカリの生えた森
食べものほぼユーカリの葉のみ
寿命野生で13〜18年ほど
保全状況IUCN: VU(危急)。オーストラリアの一部の州では絶滅危惧種に指定

クマではなく有袋類

コアラの顔のアップ
丸い耳と大きな鼻を持つコアラの顔(Diego Delso, CC BY 3.0, via Wikimedia Commons)

コアラは「コアラベア」と呼ばれることもありますが、クマの仲間ではありません。カンガルーと同じ有袋類で、メスはお腹の袋の中で子を育てます。有袋類は、赤ちゃんがとても小さいうちに生まれ、袋の中で大きくなるのが特徴です。コアラは一生のほとんどをユーカリの木の上ですごし、地面におりるのは、別の木へ移るときくらいです。太い前足とするどいツメで、木の幹をしっかりつかんで登ります。それぞれが決まった範囲の木々を自分の行動圏とし、ふだんは1頭で暮らします。仲間とすごす時間は、1日のうちごくわずかしかありません。

ユーカリだけを食べる

ユーカリの葉を食べるコアラ
主食のユーカリの葉を食べるコアラ(Johannes Maximilian, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons)

毒のある葉を食べられる体

毒を分解する特別な体

ユーカリの葉には毒があり、多くの動物は食べられません。栄養も少なく、消化もしにくい葉です。コアラは、肝臓でこの毒を分解できる特別な体を持っています。さらに、おなかには「盲腸(もうちょう)」という長い消化器官があり、その長さは2mにもなります。かたい葉を微生物の力でゆっくり分解し、少ない栄養を取り出します。ほかの動物が食べない葉を選んだことで、コアラはえさを奪い合わずにすんでいます。

30種ほどを選んで食べる

ユーカリには600種以上がありますが、コアラが食べるのはそのうち30種ほどです。同じユーカリでも、育った地域によって好みが分かれます。1日に食べる葉の量は約400gで、鼻でにおいをかいで新しい葉を選びます。枝から切り取って平らな場所に置いた葉は、うまく食べられないことも知られています。

1日20時間眠る理由

木の上で眠るコアラ
木のまたにもたれて眠るコアラ(Guillaume Blanchard, CC BY-SA 1.0, via Wikimedia Commons)

コアラは、1日に20時間ほども眠ります。これは、なまけているからではありません。主食のユーカリの葉は栄養が少なく、毒の分解にもエネルギーがかかります。そこで、動く時間をできるだけ減らし、エネルギーを節約しています。体の中で使うエネルギーの量も、同じくらいの大きさの動物の半分ほどしかありません。長い睡眠は、栄養の乏しい葉だけで生きるための工夫です。

袋の中の赤ちゃん

背中に赤ちゃんを乗せたコアラ
大きくなった子を背中に乗せた母コアラ(Benjamint444, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons)

大豆ほどの大きさで生まれる

コアラの赤ちゃんは、妊娠から35日ほどで生まれます。生まれたときの体重は0.5gにも満たず、大きさは大豆ほどしかありません。目も耳もできあがっていない小さな赤ちゃんが、自力で母親の袋までよじ登り、その中で育ちます。袋の入り口が下向き(後ろ向き)についているのも、コアラの特徴です。

母の「パップ」で育つ

袋から出るころ、赤ちゃんは母親の「パップ」と呼ばれる特別なふんを食べます。これは、かたいユーカリを分解する腸内の微生物を、母から受けつぐためです。この微生物がいないと、コアラはユーカリを消化できません。赤ちゃんは、こうして毒の葉を食べる準備をととのえてから、大人の食事へと移っていきます。

体のつくり

木を登るコアラ
木の幹をつかんで登るコアラ(Diliff, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons)

木登りに向いた手

コアラの前足には、親指のように開く指が2本あります。この手で枝をはさむように握り、木の上でも安定してすごせます。指先の「指紋」は、人間の指紋にとてもよく似ています。動物の中でも、これほど人に近い指紋を持つ例はまれです。

においと鳴き声

オスのコアラは、胸に「におい腺」を持ちます。この分泌物を木にこすりつけて、自分のなわばりを示します。体には、主食のユーカリの香りがしみついています。また、オスは「ボォー」という低くひびく声で鳴きます。この声で、メスをよんだり、ほかのオスをけん制したりします。見た目のかわいらしさとは違う、太く大きな声です。

天敵と、減りゆく数

野生の天敵

野生のコアラをおそう天敵には、ディンゴ(野生のイヌ)やニシキヘビ、大型の猛禽(もうきん)などがいます。とくに子どもがねらわれやすい相手です。しかし、今のコアラにとって大きな脅威は、むしろ人の暮らしに関わるものです。森林の開発ですみかが減り、道路では車にひかれ、飼い犬におそわれる事故もあとを絶ちません。

人の暮らしと、大きな山火事

さらに、クラミジアという病気の流行も、多くのコアラを苦しめています。2019年から2020年にかけての大規模な森林火災も、たくさんの命をうばいました。動きがゆっくりで、燃えやすいユーカリの森にすむコアラは、火災の被害を受けやすい動物です。20世紀のはじめには数百万頭がいたとされますが、毛皮を目当てにした狩りや開発で激減しました。近年の20年ほどでも、およそ18万頭から9万頭へと数を減らしたと報告されています。オーストラリアの一部の州では、絶滅危惧種に指定されています。

参考

  • Wikipedia(英語版)「Koala」(分類・食性・消化・繁殖・保全)
  • IUCN Red List:Phascolarctos cinereus(VU・分布と脅威)
  • Australian Koala Foundation(生態・個体数・保全の現状)

画像出典

アイキャッチ画像: Till Niermann, CC BY 3.0, via Wikimedia Commons(本文中の写真は各キャプションに出典を記載)

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