ゴリラ【総合】

霊長類(サル・ヒト)

ゴリラは、アフリカの森にすむ、今いるサルの仲間で最大の動物です。強そうな見た目とは違い、主に植物を食べ、背中が銀色のオス「シルバーバック」が群れを率います。人間に近い動物としても知られ、大きくニシゴリラとヒガシゴリラの2種に分けられます。

スポンサーリンク

分類と学名

分類階層

  • 界:動物界 Animalia
  • 門:脊索動物門 Chordata
  • 綱:哺乳綱 Mammalia
  • 目:霊長目(れいちょうもく)Primates
  • 科:ヒト科 Hominidae
  • 属:ゴリラ属 Gorilla
  • 種:ニシゴリラ Gorilla gorilla/ヒガシゴリラ Gorilla beringei

和名・英名

  • 和名:ゴリラ
  • 英名:Gorilla

別名・名前の由来

「ゴリラ」という名前は、大昔にアフリカの西岸を旅した探検家が出会った、毛深い生きものの呼び名からきているといわれます。ただし、その正体がサルだったのか人だったのかは、今もはっきりしません。動物園でよく見られるのはニシゴリラの一種「ニシローランドゴリラ」で、学名は Gorilla gorilla gorilla と同じ言葉が3つ重なります。ゴリラはヒト科という、人間やチンパンジー、オランウータンと同じグループに入ります。

大きさ・分布などの基本データ

大きさオス(シルバーバック)体重 約136〜227kg・立つと1.7m前後/メス 約70〜110kg。両腕を広げると2.3〜2.6mにもなる
分布アフリカ中部の熱帯林。コンゴ川をはさんで東西の2種に分かれる
生息環境低地の森や湿地林から、標高4300mほどの山地の森まで
食べもの植物が中心(葉・茎・果実)。ときにアリなどもとる
寿命野生で 約35〜40年/飼育下では50年を超えることもある
保全状況IUCN:ニシゴリラ・ヒガシゴリラともに CR(深刻な絶滅の危機)。マウンテンゴリラは EN

世界でいちばん大きなサル

森の中の野生のマウンテンゴリラ
野生のマウンテンゴリラ(Giles Laurent, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons)

立てば大人の背たけ

ゴリラは、今いるサルの仲間の中でいちばん大きな種です。大きなオスは体重が200kgを超え、立ち上がると身長は1.7m前後になります。両腕を左右に広げると、その幅は2.6mに達することもあります。分厚い胸や太い腕は、大人の力士を思わせるほどです。メスはひとまわり小さく、体重は70〜110kgほどです。

人間ととても近い仲間

ゴリラのDNAは、人間のものと約98%が同じとされます。同じヒト科のチンパンジーとくらべると、ゴリラは体が大きく、おもに地上で暮らします。チンパンジーは小がらで、木の上で活発に動き、道具をよく使います。かしこさや感情の豊かさは、どちらもよく似ています。

ゴリラの種類

ゴリラは大きく「ニシゴリラ」と「ヒガシゴリラ」の2種に分けられ、それぞれがさらに2つのグループ(亜種)に分かれます。アフリカ中部を流れるコンゴ川をはさんで、西と東にすみ分けています。

ニシゴリラ(西にすむ仲間)

アフリカ西部の低地の森にすむグループです。

  • ニシローランドゴリラ……動物園でよく見られるのがこの仲間です。ゴリラの中で最も数が多く、体の毛はやや茶色みをおびます。
  • クロスリバーゴリラ……ナイジェリアとカメルーンの国境あたりだけにすむ、最も希少なグループです。数百頭ほどしか残っていないとされます。

ヒガシゴリラ(東にすむ仲間)

アフリカ中部から東部の森にすむグループで、体が大きく黒っぽいのが特徴です。

  • マウンテンゴリラ……標高の高い山地の森にすみ、寒さに備えて毛が長く厚くなっています。約1000頭まで数を戻しました。
  • ヒガシローランドゴリラ(グラウアーゴリラ)……コンゴ民主共和国にすむ、ゴリラで最も大きな亜種です。近年、数を大きく減らしています。

シルバーバックが率いる群れ

身を寄せ合うマウンテンゴリラの群れ
家族で身を寄せ合うマウンテンゴリラの群れ(Diego Delso, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons)

背中が銀色のリーダー

ゴリラは、10頭前後の群れをつくって暮らします。群れを率いるのは、たいてい1頭の大人のオスです。オスは12歳ごろになると、背中の毛が銀色に変わります。この銀色の背中から、リーダーのオスは「シルバーバック」と呼ばれます。シルバーバックは群れのどこへ行くかを決め、仲間のけんかをおさめ、外敵から家族を守ります。まだ背中が黒い若いオスは「ブラックバック」と呼ばれ、リーダーを助ける役目をします。

子育てと成長

メスは10〜12歳ごろから子を産みます。おなかの中で子を育てる期間は8か月半ほどで、ふつう1頭を産みます。次の子を産むまでには4年ほどあくため、数はゆっくりとしか増えません。生まれた赤ちゃんは母親にしっかりしがみつき、数年のあいだ守られて育ちます。子どもたちは、群れの中で遊びながら暮らし方を覚えていきます。

胸をたたく「ドラミング」

大きなあくびをするマウンテンゴリラ
大きなあくびをするマウンテンゴリラ。犬歯は大きいが、ふだんは植物を食べる(Charles J. Sharp, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons)

グーではなくパーでたたく

手のひらでポコポコと

ゴリラといえば、両手で胸をたたく「ドラミング」が有名です。このとき、手はグーではなくパー(開いた手)にしています。手のひらを軽くくぼませて胸をたたくと、「ポコポコ」とよく響く音が出ます。げんこつでなぐるような動きとは異なります。

力の大きさを伝える合図

ドラミングは、自分の力や体の大きさを相手に伝える合図です。体が大きいゴリラほど、低くよく響く音を出せます。これは、相手をおどしながらも、本気の戦いを避けるための知恵でもあります。オスがメスの気を引くときや、群れどうしが出会ったときによく見られます。

強い力と、おだやかな性格

植物の根を食べるマウンテンゴリラ
植物の根を食べるメスのマウンテンゴリラ(Charles J. Sharp, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons)

力はとても強い

ゴリラの力の強さは、昔からよく話題になります。握力は数百kgにもなるといわれますが、正確に測った記録は少なく、はっきりした数字は分かっていません。それでも、太い枝を軽々と曲げるほどの力があるのは確かです。よく「ライオンとどちらが強いか」も話題になります。けれども、ゴリラがすむのは森、ライオンがすむのは草原です。野生で出会うことはなく、くらべるのは難しい相手どうしです。

おだやかな菜食家

強そうな見た目とは反対に、ゴリラの性格はとてもおだやかです。食べるものの多くは葉や茎、果実などの植物で、肉をおそって食べることはありません。ふだんはシャイで、あらそいを好みません。胸をたたくドラミングも、本気のけんかをせずにすませるための合図です。人がむやみに近づいたり、目をじっと見つめたりしなければ、自分から襲ってくることはめったにありません。

豆知識

マウンテンゴリラの茶色い目のアップ
人によく似た茶色の目(Charles J. Sharp, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons)

血液型はほとんどB型

ゴリラの血液型を調べると、そのほとんどがB型だと知られています。人間のようにA型やO型が多く混じることはなく、B型にかたよっています。同じヒト科でも、種によって血液型のかたよりは異なります。

鼻のしわが「指紋」がわり

ゴリラの鼻の上には、細かいしわのもようがあります。このもようは1頭ずつ違うため、研究者は「鼻紋(びもん)」と呼んで個体を見分けます。人間の指紋のように、一生ほとんど変わりません。遠くから群れを観察するときの、大切な手がかりになっています。

手話をおぼえたゴリラ

アメリカで育った「ココ」という名前のメスのゴリラは、人の手話をたくさん覚えたことで知られます。1000をこえる手のサインを使い分け、うれしい・悲しいといった気持ちも表したと報告されています。ゴリラの学習する力を示す例として、世界的に知られました。

絶滅の危機

2歳のマウンテンゴリラの子ども
2歳のマウンテンゴリラの子ども(Charles J. Sharp, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons)

なぜ数を減らしたのか

大きくて強そうなゴリラですが、数を大きく減らし、絶滅の危機にあります。ニシゴリラもヒガシゴリラも、IUCNのレッドリストで最も危険度の高いCR(深刻な危機)に分けられています。原因は、森の伐採による住みかの消失や、肉を目当てにした密猟です。人間によく似ているため、エボラ出血熱などの感染症で一度に多くが命を落とすこともあります。

回復のきざしもある

いっぽうで、回復した例もあります。数百頭まで減っていたマウンテンゴリラは、保護活動によって近年は約1000頭まで数を戻しました。人の暮らしと森を守る取り組みが、ゴリラの保全を支えています。

参考

  • IUCN Red List:Gorilla gorillaGorilla beringei(CR・分布と脅威)
  • Wikipedia(英語版)「Gorilla」(分類・社会構造・ドラミング・知能・DNA)
  • WWF「Gorilla」(生態・保全の現状とマウンテンゴリラの回復)

画像出典

アイキャッチ画像: Charles J. Sharp, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons(本文中の写真は各キャプションに出典を記載)

タイトルとURLをコピーしました