ウーパールーパーは、メキシコの湖にすむ両生類です。ふさふさのエラを生やした子どもの姿のまま大人になり、一生を水の中で過ごします。切れた手足をもとどおりに再生する、おどろきの力でも知られます。
分類と学名
分類階層
- 界:動物界 Animalia
- 門:脊索動物門 Chordata
- 綱:両生綱 Amphibia
- 目:有尾目 Urodela
- 科:トラフサンショウウオ科 Ambystomatidae
- 属:トラフサンショウウオ属 Ambystoma
- 種:メキシコサラマンダー Ambystoma mexicanum
和名・英名
- 和名:メキシコサラマンダー(メキシコサンショウウオ)
- 英名:Axolotl(アホロートル)
別名・学名の由来
「ウーパールーパー」という名前は、日本で作られた呼び名です。1985年ごろ、テレビCMに登場して大ブームになり、この愛らしい名前が一気に広まりました。正式な和名はメキシコサラマンダーといいます。英語名の「アホロートル(axolotl)」は、メキシコの古い言葉ナワトル語で「水の犬」「水の怪物」などを意味し、アステカの神ショロトルにちなむとされます。
大きさ・分布などの基本データ
| 大きさ | 全長 約15〜30cm(大きいもので45cmほど) |
|---|---|
| 分布 | メキシコ(メキシコシティのソチミルコ湖など)の固有種 |
| 生息環境 | 標高の高い、水草の茂る冷たい淡水の湖や水路 |
| 食べもの | 肉食(ミミズ・水生昆虫・小魚・エビなど) |
| 寿命 | 10〜15年ほど |
| 保全状況 | IUCN: CR(近絶滅種)。野生には50〜1,000匹ほど |
一生「子どものまま」で暮らす

エラを残したまま大人になる
ふつうの両生類は、オタマジャクシのような子ども時代を水の中で過ごします。やがて「変態」してエラを失い、陸で暮らすようになります。ところがウーパールーパーは、大人になってもエラを残したまま、一生を水の中で過ごします。このように、子どもの特徴を残したまま大人になることを「幼形成熟(ネオテニー)」と呼びます。頭の後ろから生えたふさふさは、水中で呼吸するためのエラです。まぶたのない大きな目や、あどけない表情も、子どものころの姿をそのまま残したものです。
「変態」もできる
ふだんは変態しないウーパールーパーですが、変態する力を失ったわけではありません。甲状腺(こうじょうせん)ホルモンやヨウ素をあたえると、エラが消えて、陸で暮らすサラマンダーの姿に変身します。近い仲間であるトラフサンショウウオに、よく似た姿になります。ただし、変態させると自慢の再生力がおとろえ、寿命も縮んでしまうと考えられています。自然の状態では、まず変態しません。
切れた手足がまた生える ―驚異の再生力

手足も、心臓や脳の一部も
ウーパールーパーの最大の特徴は、その再生力です。多くの動物は傷が治るとき傷あとが残りますが、ウーパールーパーは傷あとを残さず、失った部分をまるごと作り直せます。切れた手足やしっぽは、数か月かけて元どおりに生えてきます。それだけでなく、目や心臓の一部、さらには脳の一部まで再生できるといわれます。ほかの個体から移植された手足や目さえ受け入れて、ふつうに使えるようにしてしまうほどです。この力にひかれ、世界中の研究者が再生医療のヒントを求めて研究を続けています。
高い再生力
傷口にできる「再生の芽」
手足が切れると、まず傷口が皮ふでふさがれます。つづいて、その下に「ブラステマ(再生芽)」と呼ばれる細胞のかたまりができます。この再生芽の細胞が増えながら形を整え、骨や筋肉、神経をそなえた新しい手足へと育っていきます。傷あとをつくらないことが、うまく再生するためのカギだと考えられています。
巨大なゲノムにひそむ秘密
2018年、ウーパールーパーの全遺伝情報(ゲノム)が解読されました。その長さは約320億塩基対で、ヒトの10倍ほど、当時解読された動物の中で最大でした。この巨大なゲノムの中に、手足を再生するためのしくみが隠されていると分かってきています。小さな体に、生きものの大きな謎がつまっています。
いろいろな色の種類

ペットとしておなじみのピンク色は、自然の色ではありません。野生のウーパールーパーは、黒っぽい茶色に金色の斑点が入った、地味な色合いをしています。飼育の中で生まれたさまざまな色変わりが、今のカラフルな人気を支えています。おもな色は次のとおりです。
- リューシスティック:うすいピンク色の体に黒い目(いちばん定番のタイプ)
- アルビノ:白~うすいピンクの体に赤い目
- ブラック(メラノイド):金色の斑点のない、黒っぽい体
- 野生型:黒茶色に金色の斑点
野生ではほとんど絶滅しかけている

これだけペットとして親しまれているウーパールーパーですが、野生ではほとんど絶滅しかけています。もともとはメキシコシティのあたりに広がる湖にすむ固有種でした。しかし都市の開発で湖の多くが干上がり、すみかが大きく減ってしまいました。さらに、放流されたティラピアやコイといった魚に食べられ、数を減らしました。今、野生に残るのは50〜1,000匹ほどと考えられ、IUCNレッドリストでもっとも危険度の高い「近絶滅種(CR)」に指定されています。世界中の水槽の中にはたくさんいる一方で、故郷の湖からは消えかけています。
飼い方のポイント

水温は低めに、単独が安心
ウーパールーパーは、冷たい水にすむ生きものです。高い水温が苦手なので、夏場は水温が上がりすぎないよう気をつけます。えさは専用のフードのほか、赤虫やミミズなどを食べます。注意したいのは、おたがいをつつき合ったり、共食いしたりすることがある点です。とくに小さいうちや、体の大きさが違う個体どうしでは起こりやすいので、基本は1匹ずつ飼うと安心です。
見た目より繊細な生きもの
のんびりした見た目とは違い、ウーパールーパーは水の状態に敏感です。水がよごれたり水温が高すぎたりすると、体調をくずしてしまいます。飼育では、こまめな水かえと夏の水温管理が必要になります。また、細かい砂利をえさと一緒に飲みこむ事故もあるため、床材にも注意がいります。手軽に見えて、ていねいな世話を要する相手です。
会える場所と豆知識
ウーパールーパーは、日本各地の水族館やアクアショップで会えます。ゆらゆらとエラを揺らし、ときどき水面に上がって空気を吸う姿は、見ていてあきません。人気は生きものの世界だけにとどまらず、ゲーム「マインクラフト」にもかわいいキャラクターとして登場しています。いっぽうで、日本には食用に養殖されたものを唐揚げなどにして出すお店もあり、意外な一面も持っています。
参考
- IUCN Red List:Ambystoma mexicanum(CR・野生個体数と脅威)
- Wikipedia(英語版)「Axolotl」(幼形成熟・再生・変態・分布・ゲノム)
- AmphibiaWeb:Ambystoma mexicanum(形態・生態)
画像出典
アイキャッチ画像: Ruben Undheim, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons(本文中の写真は各キャプションに出典を記載)


