ライオンは、アフリカの草原にすむ大型のネコのなかまです。ネコの仲間でただ一種、「プライド」と呼ばれる群れをつくって暮らします。オスの立派なたてがみと堂々とした姿から、「百獣の王」と呼ばれてきました。
分類と学名
分類階層
- 界:動物界 Animalia
- 門:脊索動物門 Chordata
- 綱:哺乳綱 Mammalia
- 目:食肉目 Carnivora
- 科:ネコ科 Felidae
- 属:ヒョウ属 Panthera
- 種:ライオン Panthera leo
和名・英名
- 和名:ライオン
- 英名:Lion
別名・学名の由来
ライオンは、トラ・ヒョウ・ジャガーと同じ「ヒョウ属」のなかまです。ネコ科ではトラに次いで2番目に大きい種で、古くから「百獣の王」として、力や勇気の象徴にされてきました。国旗や紋章にライオンが使われるのも、この王者のイメージからです。
大きさ・分布などの基本データ
| 大きさ | 体長 オス1.8〜2.1m・メス1.6〜1.8m、体重 オス180〜225kg・メス120〜145kg |
|---|---|
| 分布 | サハラ以南のアフリカ。インドのギル森にアジアライオンがわずかに残る |
| 生息環境 | サバンナ(草原)や疎林 |
| 食べもの | ヌー・シマウマ・スイギュウなど(肉食) |
| 寿命 | 野生でおよそ12〜17年 |
| 保全状況 | IUCN:危急(VU) |
群れで暮らすただ一種のネコ
ネコの仲間は、トラもヒョウも、ふだんは1頭で暮らす単独のハンターです。その中でライオンだけが、群れをつくって暮らします。この群れは「プライド」と呼ばれます。集団で暮らすことが、ライオンの生き方を大きく特徴づけています。
プライドのしくみ

プライドは、血のつながったメスたちと子ども、そして少数のオスからなる群れです。平均するとおよそ15頭、多いときには30頭にもなります。メスは生まれた群れに一生とどまることが多く、群れの中心です。オスは数年でよそのプライドへ移っていきます。
狩るのはメス、守るのはオス

意外に思われますが、狩りの主役はメスです。メスたちは力を合わせ、獲物を追いこんで仕留めます。1頭で狩るより、協力したほうが成功しやすいためです。いっぽうオスは、大きな体とたてがみをいかして、縄張りとプライドをよそのオスから守る役目を担います。役割を分け合うことも、群れならではの強みです。
どうやって狩るのか
そっと近づいて一気に
ライオンは、明け方や夜に狩りをします。速く走れるのは短い距離だけで、時速50〜60kmを数十秒しか続けられません。そこで草むらに身をひそめ、獲物にそっと近づいてから、一気に飛びかかります。
みんなで追いこむ
メスたちは左右に散り、獲物を囲むように追いこみます。1頭が飛びかかって組みふせ、のどにかみついて仕留めます。数頭で連携するからこそ、自分より大きな獲物もたおせます。
オスだけのたてがみ
ライオンといえば、オスの立派なたてがみです。たてがみがあるのはオスだけで、メスにはありません。このたてがみは、ただの飾りではなく、そのオスの強さや健康を映す「看板」の役目をしています。

濃いたてがみは強さの証
たてがみの色が濃く量が多いオスほど、健康で強いことが分かっています。色の濃さは、オスらしさをつくるホルモンの量とも関わります。メスは濃いたてがみのオスを好み、他のオスもそうした相手との争いをさけがちです。たてがみは、戦わずに強さを伝える手段でもあるのです。
暑さには少し不利
ただし、濃くて長いたてがみには弱点もあります。熱がこもりやすく、暑い地域では体温が上がりやすくなるのです。強さの証と引きかえに、暑さには少し不利になる。たてがみは、よいことばかりではない特徴でもあります。
「百獣の王」の実像
大人に天敵はいない、でも
大人のライオンには、自然界にほとんど天敵がいません。まさに草原の頂点に立つ動物です。しかし、その多くは人間との衝突や、ほかのライオンとの争いで命を落とします。王者にも、安全な一生が約束されているわけではありません。
ハイエナはライバル
同じ草原にすむハイエナは、ライオンのライバルです。食べる獲物が重なるため、たがいに獲物を奪い合います。ある地域では、ライオンがしとめた獲物の6割以上をハイエナが横取りしているという調査もあります。堂々とした王者も、日々こうしたせめぎ合いの中で暮らしています。

8km届く咆哮

ライオンの咆哮(ほうこう)は、なんと8km先まで届きます。おもに夜に吼え、「ここは自分の縄張りだ」とまわりに知らせます。プライドの仲間どうしが、たがいの居場所を確かめ合う合図にもなります。あの迫力ある声は、広い草原で暮らすための大切な道具です。
ライオンとトラ、どっちが強い?
「百獣の王」ライオンと、最大のネコであるトラ。どちらが強いのかは、昔からよく話題になります。
体が大きいのはトラ
まず体の大きさをくらべると、ネコ科でいちばん大きいのはトラです。ライオンはそれに次ぐ2番目で、大きなトラのほうが重くなります。単純な体格だけを見れば、トラに分があります。
決着はつかない
ただし、強さは体の大きさだけでは決まりません。ライオンは群れで協力するのが得意で、トラは1頭で戦う力にすぐれます。すむ場所もちがい、野生で出会うこともありません。結局のところ「どちらが強い」に決まった答えはない、というのが正直なところです。

子育てと群れの厳しさ
みんなで育てる

メスは約110日の妊娠ののち、1〜4頭の子を産みます。プライドのメスたちは出産の時期をそろえ、たがいの子にも乳をやって、みんなで子どもを育てます。子ライオンは生まれて1週間ほどで目が開き、群れに守られながら育っていきます。共同の子育ては、群れで暮らすライオンならではの姿です。
新しいオスによる子殺し
群れには、厳しい一面もあります。よそから来たオスがプライドを乗っ取ると、前のオスとの間に生まれた子を殺してしまうことがあるのです。子どもがいる間はメスが次の子を産まないため、新しいオスは自分の子を早く残そうとします。むごく見えますが、これも野生のライオンの現実です。
オスの過酷な一生
群れの厳しさは、子どもだけのものではありません。オスは2〜3歳になると、生まれたプライドから追い出されます。その後は兄弟や仲間と「連合」を組んで放浪し、力をつけて、よそのプライドの乗っ取りをねらいます。うまく乗っ取れても、その王座は長くは続きません。やがて自分より若く強いオスに敗れ、群れを追われます。オスの一生は、戦いの連続です。
ライオンの意外な素顔
1日のほとんどは休んでいる
力強いイメージのライオンですが、1日の大半はのんびり過ごします。休んだり眠ったりする時間は、1日に20時間近くにもなります。狩りや移動に使うのは、そのうちのわずかな時間だけです。栄養のかたまりである肉をまとめて食べ、あとはできるだけ体を休める。これも、大きな体を養うための省エネの暮らし方です。
白いライオン
ごくまれに、体が白いライオンが生まれることがあります。「ホワイトライオン」と呼ばれ、南アフリカの一部で知られてきました。これは、色をつくるはたらきが弱まって生まれた変わり種です。美しく人気がありますが、野生では体の色が目立ってしまい、狩りや身を守るうえでは不利になります。
数が減っている
百獣の王ライオンも、数を減らしています。20世紀の後半に3〜5割減ったとされ、1990年代からもさらに約4割減りました。原因は、開発による生息地の減少や、家畜を守ろうとする人との衝突などです。今ではIUCNレッドリストで「危急(VU)」に分類されています。
とくにアジアにすむアジアライオンは、かつて西アジアからインドに広く分布していましたが、今はインドのギル森にわずかに残るだけです。草原の王を守れるかどうかは、人の側の取り組みにかかっています。
※ IUCNレッドリストとは、世界の野生生物の絶滅の危険度を評価した国際的なリストです。危険度の高い順に、絶滅危惧(CR・EN・VU)などの区分があります。

参考
- Wikipedia(英語版)「Lion」(社会構造・たてがみ・繁殖・保全の各節)
- African Wildlife Foundation「Lion」(生態・保全)
- Smithsonian’s National Zoo「Lion」(プライド・子育て)
画像出典
アイキャッチ画像:Giles Laurent, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons(16:9にトリミングして使用)。本文中の画像は各キャプションに出典を記載しています。


