アオウミガメ

カメ類

アオウミガメは、あたたかい海にすむ大型のウミガメです。おとなになると海草を食べる、めずらしい草食のカメ。名前の「アオ」は甲羅の色ではなく、体の中にある緑色の脂肪から来ています。沖縄や小笠原の海でよく見られ、日本にもなじみの深いウミガメです。

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分類と学名

分類階層

  • 界:動物界 Animalia
  • 門:脊索動物門 Chordata
  • 綱:爬虫綱 Reptilia
  • 目:カメ目 Testudines
  • 科:ウミガメ科 Cheloniidae
  • 属:アオウミガメ属 Chelonia
  • 種:アオウミガメ Chelonia mydas

和名・英名

  • 和名:アオウミガメ(青海亀)
  • 英名:Green sea turtle(green turtle)
  • ハワイ語名:ホヌ(honu)=幸運と長生きの象徴

大きさ・分布などの基本データ

大きさ甲長 約80〜120cm・体重 約70〜190kg(ウミガメで2番目に大きい)
分布世界の熱帯・亜熱帯の海(日本では沖縄・小笠原など)
生息環境浅い海の藻場・サンゴ礁と、産卵する砂浜
食べ物おとなは海草・海藻(子どもはクラゲなども食べる雑食)
寿命野生で最長80〜90年ほど(成熟までに数十年)
保全状況IUCN:軽度懸念(LC・2025年評価)/ワシントン条約で保護

名前は「緑の脂肪」から

甲羅ではなく、脂肪が緑色

「アオウミガメ」という名前ですが、甲羅は青くも緑でもなく、じつはオリーブ色から黒っぽい色をしています。では、どこが緑なのでしょうか。答えは体の中。甲羅の下、内臓と甲羅のあいだにたまる脂肪が、緑がかった色をしているのです。英語の「green turtle(緑のカメ)」も、この脂肪の色に由来します。見た目の色ではなく、体の中の色で名づけられた、めずらしいカメなのです。

砂浜のアオウミガメの甲羅
甲羅はオリーブ〜黒っぽい色。「アオ」は体の中の脂肪の色に由来する(Brocken Inaglory, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

おとなは海草を食べる、草食のウミガメ

脂肪が緑になるのには、食べ物が関係しています。アオウミガメは、おとなになると海の底に生える海草や海藻を食べる、草食のウミガメです。じつは、大きくなってから草食になるウミガメは、この種だけ。浅い海の「藻場」にすみ、のこぎりのようにギザギザしたくちばしで、海草をむしり取って食べます。子どものうちはクラゲや小さな生きものも食べる雑食ですが、成長するにつれて草食へと変わっていきます。

見た目とアカウミガメとの見分け方

大きな体と、まるいくちばし

アオウミガメは甲長が80〜120cmほど、体重は70〜190kgにもなり、オサガメに次いで2番目に大きなウミガメです。頭は小さめで、くちばしは短く、先が曲がっていません。前あしのひれには、ふつうツメが1つあります。ほかのウミガメと同じように、頭や手足を甲羅の中に引っこめることはできません。

アオウミガメの顔
小さめの頭と、先の曲がらないまるいくちばし。前あしのツメは1つ(Brocken Inaglory, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

アカウミガメ・タイマイとの見分け方

よく似たなかまとは、頭と口の形で見分けられます。アカウミガメは頭が大きく、貝などをかみくだく肉食で、名前のとおり甲羅が赤茶色です。タイマイは、鳥のくちばしのように先が曲がった口で、サンゴのカイメンを食べます。いっぽうアオウミガメは、頭が小さめでくちばしがまるく、海草を食べる草食です。頭の大きさとくちばしの形を見れば、区別しやすくなります。

体と生態のふしぎ

甲羅の正体と、肩甲骨のひみつ

ウミガメの甲羅は、じつは背骨とあばら骨(肋骨)が大きく広がり、皮ふの下の骨と一体になったものです。だから、頭や手足を中に引っこめることができません。さらにおどろくのが肩の骨です。ふつうの動物は肩甲骨があばら骨の外側にありますが、カメの仲間だけは肩甲骨があばら骨(=甲羅)の内側におさまっています。体のつくりからしても、とても変わった生きものなのです。ちなみにアオウミガメは魚ではなく、肺で呼吸する爬虫類です。甲羅にはフジツボやコバンザメがつくこともあり、魚に体をきれいに掃除してもらう姿も見られます。

地球の磁場で方角を知る

アオウミガメは、広い海を長い距離にわたって旅します。1日に20〜90kmも泳ぐことがあり、遠くはなれた餌場と産卵地のあいだを行き来します。まよわず進めるのは、地球の磁場(磁気)を感じ取り、方角を知る力があるからだと考えられています。生まれた浜へ帰って産卵できるのも、この力のおかげとされています。ふだんは群れをつくらず、単独で暮らすことが多いカメです。

アオウミガメの一生

生まれた浜へ帰って産卵する

ふるさとの浜へもどり、夜に産卵

アオウミガメのメスは、産卵の季節になると、生まれた浜の近くにもどってくると考えられています。夜の砂浜に上陸し、後ろあしで穴を掘って、一度にたくさんの卵を産みます。産み終えると砂をかけて隠し、そのまま海へ帰っていきます。

砂の温度で決まる、赤ちゃんの性別

卵は砂の中で、およそ2か月かけてかえります。このとき、卵のまわりの砂の温度で、赤ちゃんがオスになるかメスになるかが決まります。あたたかいとメスが、すずしいとオスが多く生まれます。生まれた赤ちゃんは、いっせいに砂から出て夜の海をめざします。

アオウミガメの赤ちゃん
砂から出て海をめざす赤ちゃんガメ(ハワイ)(National Marine Sanctuaries, Public domain, via Wikimedia Commons

90年生きることも・ゆっくり育つ

海に入った赤ちゃんは、しばらく外洋をただよいながら育ちます。おとなになるまでには数十年もかかり、とてもゆっくりと成長する生きものです。野生では、長いもので80〜90年も生きると考えられています。長い時間をかけて大きくなり、長生きすることが、ハワイで幸運と長寿の象徴とされる理由にもなっています。

日本で会えるアオウミガメ

沖縄・小笠原の海と産卵地

アオウミガメは、日本のあたたかい海にもすんでいます。とくに沖縄や小笠原諸島の海では、藻場で海草を食べる姿がよく見られます。屋久島や南西諸島などの砂浜は、大切な産卵地にもなっています。海で泳ぐ姿は、シュノーケリングやダイビングの人気者です。沖縄の美ら海水族館などでも、その大きな姿を間近に見ることができます。

減った歴史と、いま守ること

食用や乱獲で、大きく減った過去

アオウミガメは、肉や緑色の脂肪が食用にされ、昔は世界中で数多くとられてきました。日本でも、一部の島では食べる文化がありました。こうした乱獲や、産卵する砂浜が減ったことなどで、その数は大きく減ってしまいました。現在は各国で保護され、日本でもむやみにとることは禁じられています。

回復のきざしと、これからの課題

保護の取り組みが実を結び、アオウミガメは世界全体では数が回復しつつあります。IUCNレッドリストでも、2025年に「軽度懸念(LC)」と評価が見直されました。とはいえ、まだ安心はできません。漁の網にかかる混獲・海に流れ出るプラスチックごみ・砂浜の温度を上げる気候変動など、新しい問題も残っています。海のごみを減らすことや、産卵地をそっと見守ることが、アオウミガメを守る力になります。

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参考

  • IUCN Red List: Chelonia mydas(2025年評価で軽度懸念LC/CITES附属書I)
  • Animal Diversity Web「Chelonia mydas」(成熟に27〜50年・のこぎり状のくちばしで海草を食べる/緑色の皮下脂肪が名の由来)
  • Wikipedia「Green sea turtle」英語版(名は緑の脂肪=海草食に由来/おとなで唯一の草食ウミガメ/2番目に大きい・最長90年/アカ・タイマイとの区別/ハワイ名ホヌ)

画像出典

アイキャッチ画像: Anna Varona, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons

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