チーター

食肉目(ネコ・イヌ・クマ)

チーターは、アフリカの草原にすむネコの仲間です。陸上でもっとも速く走る動物として知られ、獲物を追って一気に走りぬきます。ただし、その速さとひきかえに、力強さでは大型のネコにおよびません。

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分類と学名

分類階層

  • 界:動物界 Animalia
  • 門:脊索動物門 Chordata
  • 綱:哺乳綱 Mammalia
  • 目:食肉目 Carnivora
  • 科:ネコ科 Felidae
  • 属:チーター属 Acinonyx
  • 種:チーター Acinonyx jubatus

和名・英名

  • 和名:チーター
  • 英名:Cheetah

別名・学名の由来

英名の Cheetah は、インドの言葉で「斑点のあるもの」を意味する言葉からきています。属名の Acinonyx は、ギリシャ語の「動かない爪」に由来します。チーターの爪は、ほかのネコのように引っこまないためです。昔は人になれやすいことから「狩猟ヒョウ」と呼ばれ、狩りに使われました。名前にヒョウとつくものの、チーターに近い仲間はライオンやヒョウではありません。アメリカ大陸にすむピューマに近いと考えられています。

大きさ・分布などの基本データ

大きさ頭胴長 約1.1〜1.5m、肩の高さ 約67〜94cm、体重 約21〜65kg(性別や地域で差が大きい)
分布アフリカ(ほかにイランにわずかに残る)
生息環境サバンナ・草原・半砂漠
食べもの肉食(インパラやガゼルなど、中型のシカ・レイヨウが中心)
寿命10〜15年ほど
保全状況IUCN: VU(危急)。野生は約6,500頭。イランのアジアチーターはCR

陸上でいちばん速く走る

草原を低い姿勢で進むチーター
走りに適した、細くしなやかな体つき(Charles J. Sharp, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

時速およそ100kmで走る

チーターの全力の走りは、時速およそ100km、記録では104kmほどに達します。これは、陸上に生きる動物の中でいちばんの速さです。しかも、止まった状態から、あっという間に最高速度まで加速します。車が信号から発進するよりも、はるかにするどい加速です。

速く走るための体

しなやかな背中と長い足

チーターの体は、走ることに特化しています。細くしなやかな背中は、走るときに大きくしなり、足を前後へ大きく運びます。長い足が地面を強くけり、長い尾は、体のバランスを取ったり向きを変えたりする舵の役目をします。ほっそりとした姿は、がっしりしたライオンやヒョウとは対照的です。

引っこまない爪でグリップ

ほかのネコの爪は、ふだんは引っこんでいますが、チーターの爪は半分ほどしか引っこみません。この出たままの爪が、地面をとらえるスパイクのように働き、高速でもすべりにくくします。さらに、心臓や肺も大きくできています。広い鼻の穴とあわせて、全力疾走に必要な酸素をたくさん取りこめる仕組みです。

全力で走れるのはわずかな時間

これほど速いチーターですが、全力で走れるのはほんのわずかです。走りきれるのは数百メートル、時間にして十数秒ほどです。全力疾走のあとは体がひどく熱くなり、しばらく休んで息を整えなければなりません。そのため、遠くにいる獲物を無理に追いかけることはしません。

顔の模様と、ヒョウとの違い

目から口へのびる涙の線を持つチーターの顔
目から口もとへのびる黒い「涙の線」(William Warby, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons

目からのびる「涙の線」

チーターの顔には、目のふちから口もとへ黒い線がのびています。涙が流れたあとのように見えることから、「涙の線(ティアマーク)」と呼ばれます。この線のはたらきは、はっきり分かっていません。日ざしのまぶしさをおさえ、遠くの獲物に集中する助けになっている、と考えられています。

ヒョウとの見分け方

チーターは、よくヒョウとまちがえられますが、別の動物です。いちばん分かりやすいのは、体の模様です。チーターの模様は、丸い黒色の点がひとつずつ散らばっています。いっぽうヒョウは、花のような輪の形をした「ロゼット」という模様です。さらにチーターは体が細く、頭が小さく、目の下に涙の線があるのも特徴です。この涙の線があるかどうかを見れば、すぐに見分けられます。

昼に狩りをする

草原にたたずむチーター
おもに昼間、草原で獲物をさがす(Joachim Huber, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons

忍び寄って、一気にしとめる

多くの大型のネコが夜に狩りをするのに対し、チーターはおもに昼間に狩りをします。まず、身を低くして獲物にそっと近づきます。じゅうぶんに近づいてから、一気に走り出して追いつめます。そして獲物の足を前足で引っかけて転ばせ、のどにかみついてしとめます。速さを生かした、短くて一気の勝負です。

吠えられず、チュンチュン鳴く

チーターは、ライオンのように大きな声で吠えることができません。かわりに、鳥のさえずりのような「チュンチュン」という高い声を出します。また、ネコのように、のどをゴロゴロと鳴らすこともあります。見た目は大型のネコに近いのに、声はどこか小動物のようです。

速さと引きかえの弱さ

陸上最速のチーターですが、力の強さでは大型の肉食獣にかないません。速さのために体を細くしたぶん、あらそいには弱いのです。せっかく走ってしとめた獲物も、あとから来たライオンやハイエナに横取りされてしまうことがよくあります。争っても勝ち目がないため、チーターはおとなしく獲物をゆずります。ライオンたちが少ない昼間に狩りをするのも、こうした強い相手との出会いをさけるためだと考えられています。

ライオン
ライオンは、アフリカの草原にすむ大型のネコのなかまです。ネコの仲間でただ一種、「プライド」と呼ばれる群れをつくって暮らします。オスの立派なたてがみと堂々とした姿から、「百獣の王」と呼ばれてきました。分類と学名分類階層界:動物界 Animal...

子育てと群れ

草むらにひそむチーターの親子
母親のそばで育つ子ども(Charles J. Sharp, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

メスは単独、オスは兄弟で

寄り添う2頭のオスのチーター
オスは兄弟で連合をつくることがある(Arturo de Frias Marques, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

チーターの暮らし方は、オスとメスで違います。メスは、広い範囲を1頭で歩き回りながら、獲物をさがして暮らします。いっぽうオスは、兄弟どうしで2〜3頭の小さな群れ(連合)をつくり、力を合わせてなわばりを守ることがあります。ふだんはそれぞれが静かに暮らす、単独性の強い動物です。

3〜4匹の子を、母が1頭で育てる

チーターは、およそ3か月の妊娠期間ののち、一度に3〜4匹の子を産みます。子育ては、母親が1頭で行います。生まれたばかりの子の背中には、銀色のたてがみのような毛(マント)が生えています。これは、草むらの中で身をかくすのに役立つといわれます。それでも、子はライオンやハイエナにおそわれやすく、無事に育つのは多くありません。生きのこった子は、20か月ほどで母親からはなれていきます。

数を減らしている

チーターは、IUCNレッドリストで「危急(VU)」に指定されています。野生に残るのは、約6,500頭と考えられています。すみかである草原が農地に変わり、家畜を守ろうとする人とのあらそいや、密猟によっても数を減らしてきました。とくにアジアチーターは、かつてアジアに広く分布していましたが、今ではイランにわずか十数頭を残すのみです。絶滅がすぐそこまで近づいています。日本でも、いくつかの動物園でチーターに会えます。走る速さの裏には、こうしたきびしい暮らしがあります。

参考

  • IUCN Red List:Acinonyx jubatus(VU・個体数と脅威・分布)
  • Wikipedia(英語版)「Cheetah」(速さ・体のつくり・狩り・繁殖・分類)
  • Animal Diversity Web:Acinonyx jubatus(形態・生態・行動)

画像出典

アイキャッチ画像: Giles Laurent, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons(本文中の写真は各キャプションに出典を記載)

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