カワウソ【総合】

食肉目(ネコ・イヌ・クマ)

カワウソは、川や湖のほとりにすむ、イタチの仲間の動物です。水かきのある足でたくみに泳ぎ、器用な前足で魚や貝をとらえます。日本では、小さくて愛らしいコツメカワウソがよく知られています。

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分類と学名

分類階層

  • 界:動物界 Animalia
  • 門:脊索動物門 Chordata
  • 綱:哺乳綱 Mammalia
  • 目:食肉目 Carnivora
  • 科:イタチ科 Mustelidae
  • 亜科:カワウソ亜科 Lutrinae
  • 代表種:コツメカワウソ Aonyx cinereus

和名・英名

  • 和名:カワウソ(漢字で「獺」)
  • 英名:Otter(代表種コツメカワウソは Asian small-clawed otter)

別名・名前の由来

「カワウソ」は、一つの種ではなく、イタチ科カワウソ亜科の仲間をまとめて呼ぶ名前です。世界には13種ほどが知られています。名前は「川にすむ生きもの」という意味からきたとされます。同じカワウソの仲間でも、海にすむ最大の種がラッコです。日本でおなじみのコツメカワウソは、そのなかでもっとも小さな種です。

大きさ・分布などの基本データ

大きさ種による。コツメカワウソは体長 約50cm+尾30cm・体重 約3kg(最小)。ユーラシアカワウソは体長 約90cmに達する
分布世界の広い範囲(オーストラリア・南極をのぞく)。日本にはかつてニホンカワウソがいた
生息環境川・湖・湿地・海辺の近くなど、水辺
食べもの肉食(魚・カニ・貝・カエルなど)
寿命10〜15年ほど
保全状況コツメカワウソは IUCN: VU(危急)・CITES附属書I。種による

水辺のすぐれたハンター

魚をとらえたコツメカワウソ
器用な前足と口で魚をとらえる(Michał Rosa, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

泳ぎに特化した体

水かきと太い尾で泳ぐ

カワウソの体は、泳ぐのに向いた形をしています。足には水かきがあり、細長い流線形の体と、太い尾を舵にして水中を進みます。水にもぐるときは、鼻の穴と耳をふさいで水の侵入を防ぎます。陸ではずんぐりして見えますが、水の中では見ちがえるほどすばやく動きます。

密な毛皮で体を守る

毛皮は短い毛がぎっしり生えていて、水をはじいて体を冷えから守ります。この毛はきわめて密で、冷たい水の中でも体温をたもちます。この上質な毛皮が、のちに人による乱獲を招く原因にもなりました。

ヒゲと前足で獲物をさぐる

カワウソは、口のまわりに長いヒゲ(洞毛)を持ちます。このヒゲで水のわずかなゆれを感じ取り、にごった水の中でも魚の動きをとらえます。目は顔の前のほうについていて、水の中でも水の上でもよく見えます。さらに、器用な前足で石のすき間をさぐり、かくれたカニや貝を見つけ出します。食べものは魚・カニ・貝のほか、季節によってはヘビやカエル、水辺のネズミまでとらえます。

いろいろなカワウソ(種類)

コツメカワウソの顔と体
Gerwin Sturm, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons

カワウソの仲間は、世界に13種ほどが知られています。手のひらに乗るほど小さな種から、体長1.7mをこえる大きな種まで、大きさも暮らす場所もさまざまです。日本でおなじみの種から、海にすむ大きな仲間まで、おもなものを見ていきます。

コツメカワウソ

世界でいちばん小さなカワウソです。短い爪と、人の手のように器用な前足を持ちます。日本の水族館やカフェの人気者で、家族の群れで暮らします。

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ラッコ

海にすむ、いちばん大きなカワウソの仲間です。あお向けに浮かび、石を道具に貝を割って食べます。カワウソのなかでも、一生を海ですごす変わった暮らしをします。

ラッコ
ラッコは、北太平洋の海にすむイタチのなかまです。海面にあお向けで浮かび、おなかの上で石を使って貝を割る「道具使い」で親しまれています。動物界でいちばん密な毛皮を持ち、その毛皮をねらわれて激減した歴史でも知られます。分類と学名分類階層界:動物...

大きな仲間・世界のカワウソ

いちばん大きいのは、南アメリカのアマゾン川にすむオオカワウソで、体長は1.7mをこえます。ヨーロッパからアジアにかけて広く分布するのが、ユーラシアカワウソです。かつて日本にいたニホンカワウソも、この仲間だったと考えられています。同じ仲間でも、小さなコツメカワウソから大きなオオカワウソまで、姿はさまざまです。

遊び好きで、群れで暮らす

体を寄せ合う2頭のコツメカワウソ
家族で身を寄せ合って過ごす(Mike Prince, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons

遊びと鳴き声でつながる

カワウソは、遊び好きな動物として知られます。泥や雪の斜面をすべり台のようにすべり降りたり、小石を手の中でころがしたりする姿が観察されています。よく遊ぶのは、若い個体が泳ぎや狩りのこつを身につける練習にもなっていると考えられています。声もよく使い、コツメカワウソは12種類以上の鳴き声を使い分けます。おどろいたときには大声で鳴いて仲間を呼ぶ、とてもおしゃべりな動物です。

においでなわばりを伝える

群れで暮らす種では、家族が体を寄せ合って眠ります。また、なわばりを示すために、目立つ石や岩の上にふんを残す習性があります。このふんには強いにおいがあり、仲間どうしの情報のやり取りにも使われます。カワウソが「臭い」と言われることがあるのは、このにおいのためです。

子育てと赤ちゃん

一夫一妻で、家族みんなで育てる

コツメカワウソのつがいは、一生連れ添う一夫一妻だと考えられています。妊娠期間はおよそ2〜3か月です。子が生まれる前には、父親も母親も草やわらを集め、巣穴の中に産室をこしらえます。1回に生まれる子は1〜7匹ほどで、父母だけでなく、年上のきょうだいも子守りを手伝います。家族みんなで小さな命を育てるのが、カワウソの子育てです。

鶏卵ほどの大きさで生まれる

生まれたばかりの赤ちゃんは、体重がわずか50g前後しかありません。鶏の卵ほどの大きさで、目も閉じたままです。目が開くのは、生まれて5週間ほどたってからです。生後3か月ごろになると、母親に導かれて、はじめて浅い水に入り泳ぎの練習を始めます。カワウソは生まれつき泳ぎが得意なわけではなく、泳ぎは親から教わって覚えます。そして生後4〜5か月ほどで、独り立ちしていきます。

ラッコとの違い

水辺の岩の上を歩くコツメカワウソ
川にすむカワウソは体が小さい(George Berninger Jr., CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

ラッコも、同じイタチ科カワウソの仲間です。違いは、暮らす場所と体の大きさにあります。ラッコは海にすむ最大のカワウソの仲間で、あお向けに浮かんで、石を道具に貝を割って食べます。いっぽう、川にすむふつうのカワウソは体が小さく、水辺で暮らします。ラッコのようにあお向けで一生を海に浮かんで過ごすことはありません。

日本のカワウソは絶滅した

かつて日本の川には、ニホンカワウソがすんでいました。北海道から九州まで、全国の水辺でふつうに見られた動物です。しかし、上質な毛皮を目的に、さかんに捕らえられました。さらに、川の汚れや護岸工事ですみかを失い、数を大きく減らしました。1979年に高知県で目撃されたのを最後に、その姿は確認されていません。2012年、環境省はニホンカワウソを絶滅種に指定しました。日本の川からカワウソが消えたことは、水辺の自然が失われたことの象徴でもあります。

会える人気者、その裏側

展示施設のコツメカワウソ
D. Nikolić (dnik), CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

水族館やカフェで会える

今の日本では、全国の水族館やカワウソとふれあえるカフェなどで、コツメカワウソに会えます。サンシャイン水族館をはじめ、活発に泳ぎ回る姿が人気です。5月末には、世界のカワウソを守るための「世界カワウソの日」も定められています。

ペットとしての人気と課題

「飼えるの?」と気になる人もいますが、飼うのは簡単ではありません。鳴き声が大きく、においも強く、泳げる水場のある広い環境が必要です。さらに、かわいさから世界的にペットの需要が高まり、野生のコツメカワウソを違法に捕まえて売る動きが問題になりました。こうした事情から、2019年には国際的な商業取引が原則として禁止されています。身近で愛される動物である一方、野生では数を減らしている生きものです。

参考

  • IUCN Red List:Aonyx cinereus(コツメカワウソ・VU・生態と脅威)
  • Wikipedia(英語版)「Asian small-clawed otter」(大きさ・食性・社会・分類)
  • 環境省レッドリスト:ニホンカワウソ(絶滅の評価)
  • CITES:Aonyx cinereus の附属書I掲載(2019年)

画像出典

アイキャッチ画像: Mike Prince, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons(本文中の写真は各キャプションに出典を記載)

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