カリフォルニアアシカ

哺乳類

カリフォルニアアシカは北アメリカ大陸の西岸に住むアシカです。世界の水族館でもっとも普通に見られる種で、日本のアシカショーに出ているのもたいていこの種になります。

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分類と学名

分類階層

  • 界:動物界 Animalia
  • 門:脊索動物門 Chordata
  • 綱:哺乳綱 Mammalia
  • 目:食肉目 Carnivora
  • 科:アシカ科 Otariidae
  • 属:アシカ属 Zalophus
  • 種:カリフォルニアアシカ Zalophus californianus

和名・英名

  • 和名:カリフォルニアアシカ(別名 クロアシカ)
  • 英名:California sea lion

別名・学名の由来

属名の Zalophus は、ギリシア語の「za(集中的)」と「lophus(稜)」を組み合わせた語です。オスの頭の上に突き出る骨の高まりを指しています。

記載したのは、フランスの博物学者ルネ=プリムヴェール・レッソンで、1828年のことでした。同じアシカ属には、ガラパゴスアシカと、絶滅したニホンアシカが入ります。

この2種は長く本種の亜種として扱われてきました。2007年の遺伝子研究で、3つが別々の種だと確かめられています。カリフォルニアアシカとニホンアシカの系統が分かれたのは、約220万年前と考えられています。

ニホンアシカ
ニホンアシカはかつて日本の沿岸に広くいたアシカです。江戸時代には禁猟とする藩がありましたが、本格的な漁が始まってからは約40年で姿を消しました。最後の確かな記録は1974年で、環境省は今も絶滅危惧種として扱っています。分類と学名分類階層界:...

大きさ・分布などの基本データ

大きさオス 体長2.5〜2.7m・体重約350kg/メス 体長約2.1m・体重約100kg
分布アラスカ南東部からメキシコ中央部まで。カリフォルニア湾を含む北アメリカ西岸
繁殖カリフォルニア州以南の温暖な地域。5〜8月にオスが縄張りを構える
生息環境砂浜や岩の多い海岸。マリーナ・埠頭・浮標などの人工物にも上がる
食べ物タコ・イカのほか、数種の魚
天敵シャチ、ホホジロザメ
保全状況IUCN: LC(軽度懸念)

オスの頭に高まる骨の稜

岩場に並ぶカリフォルニアアシカ
Rhododendrites, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

オス350kg、メス100kg

雌雄で体の大きさも形も色も違います。オスは体長2.5〜2.7mまで育ち、体重は約350kgに達します。メスは体長2.1mほど、体重は約100kgです。小さいほうのメスでも人の身長を超え、オスはそこからさらに40〜60cm長くなります。

オスの体重には660kgに達した記録もあり、メスの6倍を超えます。体つきそのものは細身ですが、成熟したオスは首と胸と肩が太く頑丈になります。

白い毛におおわれた高いドーム

成熟したオスは頭のてっぺんが突き出し、額が高いドーム型になります。この突出部は白い毛でおおわれます。学名の Zalophus が指しているのがこの部分です。

オスにはたてがみもありますが、オタリアやトドほど発達しません。毛の色はメスと幼獣が黄褐色、成熟したオスは明るい茶色から黒色で、多くは暗い褐色です。

トド
トドは北太平洋に住むアシカ科最大の動物です。オスは体重1トンを超えることがあり、成長すると額が盛り上がって後頭部の毛がたてがみのように伸びます。分類と学名分類階層界:動物界 Animalia門:脊索動物門 Chordata綱:哺乳綱 Mam...

埠頭やマリーナにも上がってくる

水から上がろうとするカリフォルニアアシカ
Medium69 (William Crochot), CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

繁殖しない個体が人工物に集まる

上陸する場所は砂浜や岩の多い海岸です。このほか繁殖に加わらない個体は、マリーナや埠頭、さらには航行用の浮標にも集まります。

アメリカ海洋大気庁も、この種が暮らす場所として海岸や浜辺と並べて桟橋・浮標・防波堤を挙げています。人の作った構造物がそのまま休み場になっています。

川を240kmさかのぼった記録

海から離れることもあります。コロンビア川を約240kmさかのぼり、ボンネビル・ダムに現れることが知られています。一定の期間なら淡水でも生活できます。

2004年には、サンフランシスコ湾からサンワーキン川を約160kmさかのぼった内陸のマーセド郡で見つかりました。暖かい日には水に入り、夜や涼しい日には内陸や高い場所へ動きます。

タコとイカを追い、シャチとホホジロザメに狙われる

海辺のカリフォルニアアシカ
Rhododendrites, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

前のひれで水をかいて進む

食べ物はタコやイカ、そして数種の魚です。潜って追う相手は季節や場所によって変わります。

アシカ科なので、泳ぐときは前のひれで水をかいて進みます。後ろのひれは舵の役目をします。

見えるのは青緑の範囲だけ

色を見分ける力はありますが、見える光は青緑の領域に限られます。沿岸で暮らすことへの適応だと考えられています。

水中での聴覚は鋭く、0.4〜32kHzの範囲を聞き取ります。ひげは水中で触覚と振動を感じ取る器官です。ゼニガタアザラシのひげと比べると滑らかで特殊化しておらず、感じ取る力では劣るとされます。

モントレー湾ではサメに噛まれた個体も

天敵はシャチとホホジロザメです。カリフォルニア州のモントレー湾では、サメに噛まれた跡を持つ個体が見つかっています。

5〜8月、オスが縄張りを構える

寄り添って休むカリフォルニアアシカ
Rhododendrites, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

メスは縄張りの間を自由に動く

繁殖は一夫多妻の形をとります。5月から8月にかけて、オスが縄張りを確立し、交尾相手となるメスを誘い込みます。

オスに強制されることはありません。メスは複数の縄張りを行き来できます。母親は餌をとりに行く合間に、子へ乳を与えます。

受精卵の着床が3か月遅れる

メスの生殖周期は12か月です。ただし妊娠している期間そのものは9か月で、受精卵が子宮に着くまでに3か月の遅れがあります。出産は6月か7月です。

母親は出産後10日ほど子と陸にとどまって乳を与えます。そのあとは3日ほど餌を探しに出て、戻って最長1日授乳します。陸に残された子どうしは集まって遊ぶ傾向があります。

オスは子育てをしないが、泳ぐ子を守ることがある

オスの成獣に子育ての役割はありません。それでもほかのアシカ科のオスより子に関心を示し、泳いでいる子を捕食者から守ることがあります。

ピーク時には絶え間なく吠える

もっともよく使われる声は、特徴的な吠え声です。縄張りを持つオスの声がいちばん大きく、いちばん長く続きます。繁殖期のピークには絶え間なく吠え、興奮すると吠える速さが増します。

縄張りを持たないオスの吠え声は、似てはいますが低くなります。人に驚いたときには長くかすれたうなり声を出します。母子は互いを呼ぶ声も使い分けます。

1年の訓練で芸を覚え、3か月休んでも忘れない

鼻の上でボールをつり合わせるカリフォルニアアシカ
Medium69 (William Crochot), CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

報酬は魚

偶然つり合ったところから覚える

知能が高く訓練しやすいため、サーカスや水族館で古くから芸に使われてきました。芸の内容は、ボールを鼻で投げてキャッチする、はしごを上るといったものです。音楽に合わせてクラクションを鳴らすこともあります。

トレーナーが与える報酬は魚で、それが芸をする動機づけになります。ボールバランスの場合、投げられたボールが偶然鼻の上でつり合うことから、何をすればよいかを理解していきます。

1年の訓練と、3か月の記憶

観客の前に出るまでに1年の訓練を受けることもあります。記憶力は高く、3か月休んだ後でも芸を披露できるほどです。米国海軍も特定の軍事作戦のためにこの種を訓練しています。

娯楽に使うことへの異論

一部の動物愛護団体は、カリフォルニアアシカやほかの海獣を娯楽に使うことに反対しています。芸は自然な行動を誇張したものであり、動物が置かれた不自然な環境から観客の注意をそらす、というのが主張の中身です。

上野と東山は戦前から、江ノ島と鴨川はショーが続く

口を開けて吠えるカリフォルニアアシカ
Medium69 (William Crochot), CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

戦前からの飼育と、開業当初からのショー

日本にも動物園と水族館の両方に多数の展示施設があります。上野動物園や東山動物園では戦前から飼育と展示が行われてきました。

新江ノ島水族館や鴨川シーワールドでは、開業当初から「アシカショー」が目玉として続いています。動物園は生態を見せる展示にとどまることが多く、ショーを開く施設は少なくなっています。

内陸の動物園にもいる

京急油壺マリンパークは1981年、飼育と繁殖のために自然環境を再現したプール「あしか島」を設けました。ここで生まれた子は各地の水族館へ送り出されています。

海から離れた施設でも会えます。長野市城山動物園やおびひろ動物園のように、内陸で飼育展示している例があります。

数は多いのに、魚をめぐって駆除されている

2015年、幼獣1,450頭が衰弱して見つかった

2015年の1月と2月、カリフォルニア沿岸で栄養失調や病気の幼獣が1,450頭見つかりました。実際に死んだ数はもっと多いと推定されています。

アメリカ海洋大気庁は、太平洋沿岸の海水温が前例のないほど高くなったことを原因の可能性として挙げています。水温が上がったことで、幼獣の主な餌であるアンチョビ・イワシ・サバが減りました。

コロンビア川で年間の駆除数が決められている

IUCNのレッドリストでの区分は、個体数の多さから軽度懸念です。それでも人との衝突は起きています。魚を守るため、オレゴン州とワシントン州では一定数の捕獲が許可されています。

2018年11月にはオレゴン州が、ウィラメット滝の下流で年間93頭を駆除する許可を出しました。2020年8月には連邦政府がコロンビア川流域での駆除を認めました。今後5年間で最大540頭のカリフォルニアアシカと176頭のトドが対象です。マスやサケなど地元の魚を食害から守るのが目的です。

参考

画像出典

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