ウミガメ【総合】

爬虫類

ウミガメは、一生の多くを海で過ごす、大きなカメの仲間です。世界に7種がいて、その多くが絶滅を心配されています。目から塩の「涙」を流すことや、生まれた浜にもどって卵を産むことでも知られる、海の人気者。このページでは、ウミガメ全体のことを、種類・体のふしぎ・産卵・日本での姿までまとめて紹介します。

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分類と学名

分類階層

  • 界:動物界 Animalia
  • 門:脊索動物門 Chordata
  • 綱:爬虫綱 Reptilia
  • 目:カメ目 Testudines
  • 上科:ウミガメ上科 Chelonioidea
  • 科:ウミガメ科 Cheloniidae/オサガメ科 Dermochelyidae

和名・英名

  • 和名:ウミガメ(海亀)=ウミガメ上科の海生のカメの総称
  • 英名:Sea turtle(marine turtle)

大きさ・分布などの基本データ

大きさ甲長 約60cm〜1.8m超(最小ケンプヒメ〜最大オサガメ)
分布世界の熱帯・温帯の海(日本の南の海にも)
生息環境外洋・沿岸の海と、産卵する砂浜
食べ物種によりさまざま(海草・クラゲ・貝・カイメンなど)
寿命数十年(性成熟までに10〜20年)
保全状況7種中5種がIUCNで絶滅のおそれ/ワシントン条約で保護

ウミガメってどんな生きもの?

世界に7種・大きく2つの科に分かれる

ウミガメは、カメの仲間のうち、一生を海で暮らすように進化したグループです。現在いるのは7種で、大きく2つの科に分かれます。かたい甲羅をもつ「ウミガメ科」が6種、そして革のようにやわらかい甲羅をもつ「オサガメ科」がオサガメ1種です。このうち5種が、IUCNレッドリストで絶滅のおそれのある種とされています。

泳ぐアオウミガメ
大きなひれ状の手足と流線型の体。頭や手足を甲羅に引っこめられない(Brocken Inaglory, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

甲羅に頭を引っこめられない・恐竜時代からの生きもの

ふつうのカメと違い、ウミガメは頭や手足を甲羅の中に引っこめることができません。そのかわり、体は水の抵抗を受けにくい流線型で、手足は大きな「ひれ」のような形をしています。この体で、海を上手に泳ぎます。じつはウミガメの仲間は、恐竜がいたおよそ1億1000万年前から海にいたと考えられる、とても古い生きものです。

いろいろなウミガメ(7種)

ウミガメ科(かたい甲羅・6種)

かたい甲羅をもつなかまです。食べ物やくちばしの形が、種によって違います。

日本の砂浜で産卵する代表種。強いあごで貝や甲殻類を食べる。

アカウミガメ
アカウミガメは、赤褐色の大きな甲羅と、がっしりした大きな頭を持つウミガメです。じつは「日本の海でいちばんなじみの深いウミガメ」で、日本の砂浜は世界的にも大切な産卵地になっています。強いあごで貝やカニを砕いて食べたり、生まれた日本の浜から太平...

大型で、おとなは海草や海藻を食べる草食。名前は体の脂肪の色から。

アオウミガメ
アオウミガメは、あたたかい海にすむ大型のウミガメです。おとなになると海草を食べる、めずらしい草食のカメ。名前の「アオ」は甲羅の色ではなく、体の中にある緑色の脂肪から来ています。沖縄や小笠原の海でよく見られ、日本にもなじみの深いウミガメです。...

くちばし状の口で、サンゴ礁のカイメンを食べる。美しい甲羅が「べっ甲」に使われ乱獲された。

タイマイ
タイマイは、鷹(たか)のようにとがった口と、瓦のように重なる美しい甲羅を持つウミガメです。この甲羅は「べっ甲(鼈甲)」と呼ばれ、昔からくしやめがねの高級な材料に使われてきました。でもそのために乱獲され、いまでは世界でもっとも絶滅が心配される...

世界でいちばん小さく、もっとも希少なウミガメ。おもにメキシコ湾にすむ。

ケンプヒメウミガメ
ケンプヒメウミガメは、世界でいちばん小さく、そしていちばん絶滅が心配されているウミガメです。すみかはメキシコ湾を中心とした海だけ。しかも、たくさんのメスが昼間にいっせいに上陸して卵を産む「アリバダ」という、めずらしい産卵をすることで知られて...

多くのメスがいっせいに上陸する集団産卵「アリバダ」で知られる。

ヒメウミガメ
ヒメウミガメは、オリーブ色のハート型の甲羅を持つ、小さなウミガメです。じつは世界でいちばん数が多いウミガメで、いちばん有名なのが「アリバダ」という産卵。何万頭ものメスが、同じ浜にどっと押しよせて、いっせいに卵を産む大迫力の光景です。数は多い...

オーストラリア周辺だけにすむ。甲羅がひらたいのが名前の由来。

ヒラタウミガメ
ヒラタウミガメは、その名のとおり平べったい甲羅を持つ、ちょっとかわったウミガメです。じつはオーストラリアだけにすむ固有種で、卵を産むのもオーストラリアの浜だけ。さらに、多くのウミガメは赤ちゃんのころに遠い外洋へ旅立ちます。ところがこの種は沖...
海草を食べるアオウミガメ
海草を食べるアオウミガメ。かたい甲羅をもつウミガメ科(P.Lindgren, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

オサガメ科(革のような甲羅・1種)

ウミガメの中でもいちばん大きく、甲羅が骨の板でなく、革のようにやわらかいのが特徴です。おもにクラゲを食べ、深く長く潜ります。

体長1.8mをこえることもある最大のウミガメ。革のような甲羅とクラゲ食で知られる。

オサガメ
オサガメは、世界でいちばん大きなカメです。大きい個体は体重900kgをこえ、まるで小さなボートのよう。ほかのウミガメとちがって甲羅がかたい骨ではなく、革のようにしなやかなのも大きな特徴です。深さ1,000mをこえる深海まで潜り、大好物のクラ...

産卵と赤ちゃん — 母なる浜へ

生まれた浜にもどって卵を産む

母なる浜への「回帰」

ウミガメのメスは、産卵の季節になると、生まれた浜の近くにもどってくると考えられています。広い海を旅してきたカメが、ふるさとの浜をめざすのです。ヒメウミガメやケンプヒメウミガメでは、たくさんのメスがいっせいに産卵する「アリバダ」という現象も見られます。

夜の砂浜での産卵

産卵はたいてい夜に行われます。メスは砂浜に上陸し、後ろあしで40〜50cmほどの穴を掘って、一度に50〜350個もの卵を産みます。産み終えると砂をかけてていねいに隠し、そのまま海へ帰っていきます。

砂浜の赤ちゃんウミガメ
砂から出て海をめざす赤ちゃんガメ(ヒメウミガメ)(Steve Jurvetson, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons

温度で決まる、赤ちゃんの性別

ウミガメのおもしろいところは、赤ちゃんの性別が「卵のときの砂の温度」で決まることです。あたたかいとメス、すずしいとオスが多く生まれます。卵はおよそ50〜60日でかえり、赤ちゃんはいっせいに砂から出て、夜の海をめざします。地球温暖化で砂の温度が上がると、メスばかりが生まれてしまうのではないかと心配されています。

体のふしぎ — 「涙」と呼吸

目から塩の「涙」を流すわけ

ウミガメが涙を流している写真を見たことがあるかもしれません。あれは悲しくて泣いているのではなく、体にたまった余分な塩を出しているのです。海の水を飲んで生きるウミガメは、目の近くにある「塩類腺」という器官から、海水よりも濃い塩水を涙のように出しています。とくにクラゲを食べるオサガメは体に入る塩が多く、この涙腺がひときわ大きく発達しています。

肺で呼吸し、長いあいだ潜る

ウミガメは魚ではなく、私たちと同じ肺で呼吸する爬虫類です。そのため、ときどき水面に上がって息をします。餌をさがしているときは5〜40分ほど、眠っているときには4〜7時間も潜っていられます。ただし、漁の網などに絡まって無理に沈められると、うまく息ができずにおぼれてしまうことがあります。

甲羅の正体と、肩甲骨のひみつ

ウミガメの甲羅は、背骨とあばら骨(肋骨)が大きく広がって、皮ふの下の骨と一体になったものです。頭や手足を引っこめられないのは、このためです。さらにおどろくのが肩の骨。ふつうの動物は肩甲骨があばら骨の外側にありますが、カメの仲間だけは肩甲骨があばら骨(=甲羅)の内側にあります。甲羅にはフジツボやコバンザメがつくこともあり、魚に体を掃除してもらう姿も見られます。

地球の磁場を感じて大回遊する

ウミガメは、餌場と産卵地のあいだを、何千kmもかけて旅する大回遊で知られます。広い海でまよわず進めるのは、地球の磁場(磁気)を感じ取り、方角を知る力があるからだと考えられています。生まれた浜へ帰って産卵できるのも、この力のおかげとされています。ふだんは群れをつくらず、単独で暮らすことが多い生きものです。

日本で会えるウミガメと保全

日本の海と産卵地

日本の海にも、ウミガメはやってきます。とくにアカウミガメは、本州や屋久島などの砂浜で産卵する、日本を代表するウミガメです。アオウミガメは、沖縄や小笠原などのあたたかい海でよく見られます。屋久島や沖縄・宮古島などには、産卵や子ガメの旅立ちを見られる場所もあり、観察ツアーも行われています。水族館でも、その姿を間近に見ることができます。

絶滅危惧と、守る取り組み

ウミガメ7種のうち5種が、絶滅のおそれがあるとされています。原因は、産卵する砂浜が減ったこと・漁の網にまちがってかかること(混獲)・海に捨てられたプラスチックごみ・気候変動などです。世界ではワシントン条約などで守られ、日本各地でも産卵地の保護や、傷ついたウミガメの手当てなどが続けられています。海の環境を守ることが、そのままウミガメを守ることにつながります。

参考

  • IUCN Red List(ウミガメ各種の評価:7種中5種が絶滅危惧)
  • NOAA Fisheries「Sea Turtles」(米国の海にすむ6種はすべて絶滅危惧種法で保護・回復の取り組み)
  • Wikipedia「Sea turtle」英語版(7種・2科/甲羅に引っこめられない・約1.1億年前から/塩類腺の涙/温度依存性決定(TSD)・母浜回帰・産卵/肺呼吸と潜水)

画像出典

アイキャッチ画像: Charles J. Sharp, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

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