タヌキ

食肉目(ネコ・イヌ・クマ)

タヌキは、日本の里山や、ときには街中にもすむイヌ科の動物です。顔つきや名前は似ていますが、アライグマの仲間ではありません。昔から「化ける」と言い伝えられ、信楽焼(しがらきやき)の置物としても親しまれてきました。

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分類と学名

分類階層

  • 界:動物界 Animalia
  • 門:脊索動物門 Chordata
  • 綱:哺乳綱 Mammalia
  • 目:食肉目(ネコ目)Carnivora
  • 科:イヌ科 Canidae
  • 属:タヌキ属 Nyctereutes
  • 種:ニホンタヌキ Nyctereutes viverrinus ほか

和名・英名

  • 和名:タヌキ(漢字で「狸」)
  • 英名:Raccoon dog(アライグマ犬の意味)

イヌのなかま

タヌキは、イヌやキツネと同じイヌ科の動物です。英語では「アライグマ犬(Raccoon dog)」と呼ばれますが、アライグマとは別の科で、近い仲間ではありません。日本にすむのはニホンタヌキで、本州などのホンドタヌキと、北海道のエゾタヌキに分けられます。中国や朝鮮半島にすむタヌキは、ヨーロッパにも持ちこまれ、野生化しています。

大きさ・分布などの基本データ

大きさ体長 約50〜60cm・体重 3〜8kg(秋には太る)
分布東アジア(日本・中国・朝鮮半島など)。ヨーロッパにも外来種として広がる
生息環境森・里山・農地・都市の緑地
食べもの雑食(果実・昆虫・小動物・魚・人の出す生ゴミなど)
寿命野生で6〜8年ほど
保全状況IUCN: LC(軽度懸念)

アライグマ・アナグマとの違い

タヌキの顔。目のまわりが黒い
目のまわりの黒い模様が、アライグマとよく似て見える(NasserHalaweh, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons)

アライグマとの違い

タヌキとアライグマは、目のまわりの黒い模様がよく似ています。しかし、見分けるポイントがあります。アライグマのしっぽには黒い横しまがありますが、タヌキのしっぽには、しま模様がありません。また、アライグマは前足が器用で、木にもよく登ります。タヌキはイヌ科らしく、走って地上を移動するのが得意です。

「同じ穴のむじな」=アナグマ

タヌキは、アナグマともよく混同されてきました。「むじな」という古い呼び名は、地方によってタヌキを指したり、アナグマを指したりします。アナグマはイタチ科で、タヌキとは別の仲間です。両者は姿が似ているうえ、アナグマの掘った巣穴をタヌキが借りて使うこともあります。ここから、仲間のように見える者どうしを指す「同じ穴のむじな」という言葉が生まれました。

なんでも食べる里山の暮らし

地面を歩くタヌキ
地面を歩いてえさをさがすタヌキ(Марина Садыкова, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons)

イヌ科いちばんの雑食

タヌキは、イヌ科のなかでもとくに雑食です。木の実・果実・昆虫・小動物・魚など、口に入るものは何でも食べます。人の暮らしのそばにも入りこみ、畑の作物や生ゴミをあさることもあります。この何でも食べる力のおかげで、里山から都市の緑地まで、はば広い場所で生きていけます。ふだんは、オスとメスがつがいで行動します。大きな声で鳴くことは少なく、仲間とは「クゥーン」といった高い声などでやり取りします。

ためフンで伝え合う

タヌキには、決まった場所にふんをする「ためフン」という習性があります。仲間が同じ場所にふんを重ね、においをかぎ合って、たがいの情報を伝えていると考えられています。森の中で見つかるふんの山は、タヌキがそこで暮らしているしるしです。

冬ごもりする、めずらしいイヌ

冬毛のふさふさしたタヌキ
寒い季節は毛が厚くなり、まるく見える(ShootGun180, CC BY 3.0, via Wikimedia Commons)

寒い地方にすむタヌキは、冬になると活動をぐっと減らし、巣穴で「冬ごもり」をします。イヌ科の動物の中で、冬ごもりをするのはタヌキだけです。冬に備えて、タヌキは秋のあいだにたくさん食べ、体に脂肪をたくわえます。秋のタヌキがまるまると太って見えるのは、このためです。とくに寒さの厳しい北海道にすむエゾタヌキは、しっかりと冬ごもりをします。厳しい時期をやりすごし、暖かくなると再び活動を始めます。

「化ける」タヌキ ― 昔話と文化

古い博物画に描かれたタヌキ
19世紀の博物画に描かれたタヌキ(Thomas Hardwicke, Public domain, via Wikimedia Commons)

昔話と、縁起物の置物

タヌキは、日本の昔話や言い伝えに、たびたび登場します。人や物に化ける「化けダヌキ」として描かれ、茶釜に化ける「分福茶釜」の話や、お腹をたたく「腹づつみ」でも知られます。映画「平成狸合戦ぽんぽこ」の題材にもなりました。店先に置かれる信楽焼のタヌキの置物は、商売繁盛をねがう縁起物として親しまれています。

「タヌキ寝入り」の由来

「タヌキ寝入り」という言葉も、タヌキから生まれました。タヌキは強くおどろくと、その場でばったり倒れ、死んだように動かなくなることがあります。本当に眠っているのではなく、おどろきのあまり体がかたまってしまう反応です。しばらくすると起き上がり、何ごともなかったように逃げていきます。

天敵と、身近な危機

草むらのニホンタヌキ
草むらにたたずむニホンタヌキ(Alpsdake, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons)

増える交通事故

タヌキの天敵は、かつてはニホンオオカミでした。しかしオオカミが絶滅した今、大人のタヌキをおそう野生動物はほとんどいません。いっぽうで、人の暮らしがもたらす危険が増えています。とくに多いのが、道路での交通事故です。夜に活動するタヌキは、車のライトにおどろいて動けなくなり、ひかれてしまうことがあります。

病気と、飼えない理由

近年は、「疥癬(かいせん)」という皮膚の病気も広がっています。小さなダニによって毛が抜け落ち、寒さに耐えられず弱ってしまう病気です。なお、タヌキは野生動物のため、許可なく捕まえたり飼ったりすることはできません。かわいらしい姿ですが、そっと見守るのがよい相手です。

参考

  • Wikipedia(英語版)「Raccoon dog」(分類・食性・冬ごもり・分布)
  • IUCN Red List:Nyctereutes viverrinusN. procyonoides(LC・分布)
  • 環境省・自治体の野生鳥獣情報(日本のタヌキと疥癬・交通事故)

画像出典

サムネイル画像: Ryzhkov Sergey, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

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