ホッキョクグマ

食肉目(ネコ・イヌ・クマ)

ホッキョクグマは、北極の氷の上で暮らす、世界最大のクマです。「シロクマ」とも呼ばれます。白く見える体で氷の海を歩き、アザラシを狩って生きています。地球温暖化で北極の氷が減り、絶滅が心配されている動物でもあります。

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分類と学名

分類階層

  • 界:動物界 Animalia
  • 門:脊索動物門 Chordata
  • 綱:哺乳綱 Mammalia
  • 目:食肉目(ネコ目)Carnivora
  • 科:クマ科 Ursidae
  • 属:クマ属 Ursus
  • 種:ホッキョクグマ Ursus maritimus

和名・英名

  • 和名:ホッキョクグマ(別名シロクマ)
  • 英名:Polar bear

名前の由来

学名の Ursus maritimus は、ラテン語で「海のクマ」という意味です。氷の海を泳ぎ、海の生きものを食べて暮らすことから、この名がつきました。ホッキョクグマは陸の動物ですが、その暮らしは海と深く結びついているため、海の哺乳類の仲間にも数えられます。もっとも近い親せきは、森や山にすむヒグマです。

大きさ・分布などの基本データ

大きさオス 体重 約300〜800kg・体長 2〜3m/メスはその半分ほど
分布北極圏(グリーンランド・カナダ・アラスカ・ロシア・北欧など)
生息環境北極海の氷(海氷)の上
食べもの肉食。おもにアザラシ
寿命野生で25〜30年ほど
保全状況IUCN: VU(危急)。世界に2〜3万頭ほど

世界最大のクマ

氷の上に立つホッキョクグマ
氷の上を歩く大きなホッキョクグマ(Andreas Weith, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons)

ホッキョクグマは、8種いるクマの中でいちばん大きな種です。陸にすむ肉食の動物としても、世界最大です。大きなオスは体重が800kgに達し、後ろ足で立ち上がると3mを超えます。近い親せきのヒグマよりも、ひとまわり大きく育ちます。分厚い体と大きな前足を持つ、北極でもっとも力の強い動物です。

クマ【総合】
クマは、大きな体とするどいツメを持つ、食肉目クマ科の動物です。世界に8種がいて、日本にはツキノワグマとヒグマの2種がすんでいます。多くは肉も植物も食べる雑食で、寒い地方の種は冬に冬眠します。分類と学名分類階層界:動物界 Animalia門:...

白い毛と、黒い肌

ホッキョクグマの顔。黒い鼻が目立つ
白い毛の中で、鼻や口のまわりの黒い肌が目立つ(Christopher Michel, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons)

白く見えるのはなぜか

白く見えるホッキョクグマの毛は、本当は白い色ではありません。一本ずつが透明で、中が空どうになっています。この毛が光をためこみ、雪の上では白く見えます。そして毛の下の肌は、黒い色をしています。黒い肌は太陽の光を吸収し、体を温めるのに役立ちます。

厚い脂肪と、小さな耳

体の寒さ対策は、毛だけではありません。皮ふの下には5〜10cmもの厚い脂肪の層があり、冷たい海の中でも体温をたもちます。耳が小さいのも、寒さで冷えたり、こおりついたりするのを防ぐためです。北極の厳しい寒さに、体じゅうで備えています。

氷の上のアザラシ狩り

しとめたアザラシを食べるホッキョクグマ
アザラシをしとめたホッキョクグマ(AWeith, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons)

呼吸穴での待ち伏せ

ホッキョクグマの主食は、アザラシです。アザラシは、氷にあけた穴から顔を出して呼吸します。ホッキョクグマは、その穴のそばでじっと待ち伏せ、出てきたところをしとめます。何時間も動かずに待つこともあります。するどい嗅覚を持ち、厚い雪の下や、1kmほど先にいるアザラシのにおいまでかぎ分けるといわれます。栄養のある脂肪を中心に食べ、厳しい環境を生きぬくエネルギーにします。

天敵はいない、泳ぎの名手

大人のホッキョクグマには、おそってくる天敵がいません。北極の海の、食物連鎖の頂点に立つ動物です。泳ぎもたいへん得意で、氷と氷のあいだの海を、何十kmも泳いで移動することがあります。海のクマと呼ばれるゆえんです。

雪の巣穴で生まれる赤ちゃん

子グマを連れたホッキョクグマの母子
2頭の子を連れた母グマ(AWeith, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons)

600gで生まれる

メスは冬になると、雪の中に巣穴をほり、その中で子を産みます。生まれたばかりの赤ちゃんは、体重600gほどしかありません。大きな親からは想像できないほど、小さな姿です。ふつうは2頭の子が生まれ、母親の乳を飲み、暖かい巣穴の中で冬をこします。

2年半、母のそばで

春になり外へ出た子グマは、母親のそばで2年半ほどをすごします。そのあいだに、アザラシの狩り方や氷の上での歩き方を、じっくり学びます。子育てのあいだ、母グマはほとんど休みなく子を守り続けます。

溶けゆく氷 ― 温暖化の脅威

流氷の上を移動するホッキョクグマ
流氷を渡るホッキョクグマ(Andreas Weith, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons)

氷は、なくてはならない狩り場

ホッキョクグマにとって、海の氷はなくてはならない狩り場です。氷の上でアザラシを待ち、氷を渡って移動します。ところが、地球温暖化によって北極の氷は年々減り続けています。氷がとけると、アザラシを狩る場所がなくなり、十分に食べられないまま夏をすごすことになります。

減りゆく数

えさをとれないホッキョクグマは、やせ細り、子を育てる力も弱まります。えさを求めて人の町に近づき、危険な出会いが増えることもあります。世界に残るのは2〜3万頭ほどとされ、IUCNのレッドリストでは危急種に指定されています。ホッキョクグマは、地球の環境の変化を映す動物として、世界から注目されています。

豆知識

「ホッキョクグマは左利き」という話が広まっていますが、これは俗説です。くわしく調べた研究では、右利き・左利きのかたよりは見つかっていません。また、近い親せきのヒグマとのあいだに、まれに両方の特徴を持つ子(グロラーベア)が生まれることが知られています。北極の環境が変わる中で、こうした出会いも起きています。

参考

  • Wikipedia(英語版)「Polar bear」(分類・体のつくり・食性・繁殖・保全)
  • IUCN Red List:Ursus maritimus(VU・分布と脅威)
  • Polar Bears International(生態・海氷と温暖化の影響)

画像出典

アイキャッチ画像: Arturo de Frias Marques, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons(本文中の写真は各キャプションに出典を記載)

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