ペリカン

モモイロペリカンの頭 水鳥類

ペリカンは、大きなくちばしと、その下にのびる喉袋(のどぶくろ)を持つ水鳥です。世界に8種がいて、日本の動物園でよく見られるのはモモイロペリカンです。重い体を持ちながら巧みに飛び、水面で魚をすくって食べます。

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分類と学名

分類階層

  • 界:動物界 Animalia
  • 門:脊索動物門 Chordata
  • 綱:鳥綱 Aves
  • 目:ペリカン目 Pelecaniformes
  • 科:ペリカン科 Pelecanidae
  • 属:ペリカン属 Pelecanus

和名・英名

  • 和名:ペリカン(鵜鶘)
  • 英名:Pelican

「ペリカン」という呼び名

「ペリカン」は一種類だけを指す名ではなく、ペリカン科ペリカン属に含まれる8種をまとめた呼び名です。日本でおなじみのモモイロペリカンのほか、最大種のハイイロペリカン、海で飛びこみ漁をするカッショクペリカンなどがいます。南極を除く世界の各地の、水辺に暮らします。英名 Pelican は、おのを思わせる大きなくちばしにちなむギリシャ語に由来するとされます。

大きさ・分布などの基本データ

大きさ全長 約1.0〜1.8m/翼を広げると2〜3.5mほど(種によって差が大きい)
体重約4〜15kg。ハイイロペリカンは飛ぶ鳥の中でも重い部類
分布南極を除く世界各地の水辺(湖・川・海岸・干潟など)
食べ物おもに魚(体長5〜30cmほど)
仲間の数世界に8種
保全状況多くの種はIUCN:LC(軽度懸念)。ハイイロペリカンなど一部は準絶滅危惧

IUCNレッドリストとは、世界の野生生物の絶滅のおそれを評価した国際的なリストです。LC(軽度懸念)は、今のところ絶滅の危険が低いと判断された区分です。

水に浮かぶモモイロペリカン
水に浮かぶモモイロペリカン。撮影:H. Zell(CC BY-SA 3.0)

大きなくちばしと喉袋

ペリカンでまず目を引くのは、大きなくちばしです。下のくちばしには、よく伸びる皮ふの袋がぶら下がっています。これが喉袋で、魚を捉えるための大切な道具です。くちばしの色は種類によってさまざまで、黄色や桃色をおびたものが見られます。

正面から見たくちばしと喉袋
正面から見たくちばしと喉袋。撮影:Giles Laurent(CC BY-SA 4.0)

すくい網としての喉袋

ためておく袋ではない

喉袋は、魚をためておくための袋だと思われがちですが、そうではありません。水の中にくちばしを差し入れ、魚と水を一緒にすくい上げる「網」のように使います。喉袋は大きく広がり、たくさんの水をすくえます。大型の種では、一度に10リットルを超える水を受けとめられるとされています。喉袋は薄くて柔らかく、破れると漁がしにくくなるとされます。

水を抜いて飲みこむ

魚と水をすくったあとは、くちばしを少し下に向けて、袋の中の水をゆっくりと外へ出します。水が抜けて魚だけが残ると、それを飲みこみます。この一連の動きは、水の上でほんの数十秒のうちに行われます。

重い体で巧みに飛ぶ

ペリカンは、鳥の中でもかなり重い体の持ち主です。それでいて、飛ぶことにはたけています。大きな翼を広げ、はばたきと滑空を組み合わせて、長い距離を移動します。

空を飛ぶしくみ

大きな翼と軽い体

ペリカンの翼は、体のわりに大きく、風を受けて長く滑空できます。皮ふの下には空気をためる袋があり、体を軽くしたり、水に浮きやすくしたりする役目を果たすとされています。重い体でも飛べるのは、この大きな翼と、体を軽くするつくりのおかげです。日中に地面が温まって生まれる上昇気流に乗り、はばたかずに高く舞い上がることもあります。

列をつくって飛ぶ

ペリカンは、群れで飛ぶことが多い鳥です。V字や一列に並んで、はばたきをそろえて飛びます。前の鳥が起こした風を利用することで、少ない力で飛べると考えられています。水面すれすれを、列をなして進む姿もよく見られます。季節によって長い距離を渡る種もいます。

列をつくって飛ぶペリカンの群れ
列をつくって飛ぶモモイロペリカンの群れ。撮影:Charles J. Sharp(CC BY-SA 4.0)

魚をとる方法

ペリカンの食べ物は、ほとんどが魚です。魚のとり方は種類によって違い、大きく二つの方法が知られています。

二つの漁のしかた

集団で追いこむ

モモイロペリカンのような種は、群れで協力して魚をとります。何羽もが横に並び、翼で水面を叩きながら、魚を浅いところへ追いこみます。逃げ場を失った魚を、複数羽で一斉にすくい上げます。力を合わせることで、一羽では難しい漁ができるとされます。

空から飛びこむ

海に住むカッショクペリカンは、別の方法で魚をとります。空を飛びながら魚を見つけると、翼をたたんで水面へ飛びこみます。この飛びこみ漁をするのは、ペリカンの中でもカッショクペリカンなど一部の種だけです。多くのペリカンが水面ですくうのに対し、カッショクペリカンは空から突っこんで魚を捉えます。

飛びこんで漁をするカッショクペリカン
空から飛びこんで漁をするカッショクペリカン。撮影:Becky Matsubara(CC BY 2.0)

いろいろなペリカン

おもな種類

ペリカンの仲間は、世界に8種います。住む場所や大きさ、漁のしかたに違いがあります。日本の動物園でよく見られるのは、モモイロペリカンです。

モモイロペリカン薄い桃色をおびた白い体。日本の動物園でおなじみ。集団で漁をする
ハイイロペリカンペリカンで最大級。翼を広げると3mを超えることもある
カッショクペリカン茶色っぽい体。海に住み、空から飛びこんで漁をする

このほかにも、オーストラリアに住むコシグロペリカンや、南北アメリカのアメリカシロペリカンなどがいます。大陸ごとに、それぞれの水辺に適した種が暮らしています。

繁殖と子育て

ペリカンは、たくさんの個体が集まってコロニーをつくり、子を育てます。つがいは、枝や草を運んで巣を作ります。巣は、島の地面や木の上などに作られます。繁殖の時期になると、くちばしや喉袋の色が鮮やかになる種もいます。一度に産む卵は、ふつう1〜4個。ヒナは、親が飲みこんで運んできた魚を口移しでもらって育ちます。大きなくちばしの奥へ頭を入れて餌をねだる姿は、ペリカンの子育てでよく見られる光景です。少し育ったヒナは、同じ年ごろの子どうしで集まって過ごすようになります。飛べるようになるまでには、生まれてから2〜3か月ほどかかるとされています。

血で子を養うという言い伝え

昔のヨーロッパには、「ペリカンは自分の胸をくちばしで刺し、その血でヒナを育てる」という言い伝えがありました。わが子のために身をささげる鳥として、絵や紋章にもよく描かれました。もちろん、実際にペリカンが自分の血でヒナを育てることはありません。この話は、赤みをおびたくちばしを胸につける動きや、口移しで餌を与える子育ての様子から生まれたものと考えられています。

天敵と人との関わり

卵やヒナを狙う天敵

大きく育ったペリカンを襲う動物は多くありません。一方で、卵やヒナは、カモメ・キツネ・アライグマなどに狙われます。そのため、天敵の入りにくい島などに集まって巣を作り、身を守っています。数百羽が同じ場所で子育てをすることも、互いに見張る目を増やすことにつながります。

動物園の人気者

ペリカンは、その大きさとくちばしから、動物園の人気者になっています。魚をもらうときに喉袋を大きく広げる姿は、来園者を楽しませます。日本でも、各地の動物園で飼育されています。野生では、水の汚れや漁の網にからまる混獲などが、生息数を減らす原因になっています。

参考

  • IUCN Red List: Pelecanus onocrotalus(Great White Pelican)ほかペリカン各種の評価ページ
  • Cornell Lab of Ornithology「Brown Pelican」Life History
  • Britannica「Pelican」― 形態・喉袋・採食・分布
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