セキセイインコは、背中や翼に波のような模様を持つ、小型のインコです。オーストラリアの内陸に大群で暮らす鳥で、人の言葉をまねる力でよく知られています。飼いやすく人にもよくなつくため、世界でもっとも親しまれてきたペットの鳥の一つです。品種改良によって、緑・青・黄・白など多彩な色の個体が生み出されてきました。
分類と学名
分類階層
- 界:動物界 Animalia
- 門:脊索動物門 Chordata
- 綱:鳥綱 Aves
- 目:オウム目 Psittaciformes
- 科:インコ科 Psittaculidae
- 属:セキセイインコ属 Melopsittacus
- 種:セキセイインコ Melopsittacus undulatus
和名・英名
- 和名:セキセイインコ(背黄青鸚哥)
- 英名:Budgerigar
名前の由来と、オウムとの違い
和名の「背黄青」は、背が黄色や青みを帯びた体の色に由来します。セキセイインコ属はこの一種だけで成り立つ、独立した属です。よく混同されるインコとオウムは、頭の冠羽で見分けられます。冠のような羽を立てるのがオウムで、それを持たないセキセイインコはインコの仲間にあたります。世界に広まったのは、1840年代にオーストラリアからイギリスへ運ばれてからのことです。
大きさ・分布などの基本データ
| 大きさ | 全長 約18cm・体重 約30〜40g |
|---|---|
| 分布 | オーストラリアの内陸(世界各地でペットとして飼育) |
| 生息環境 | 乾いた草原や低木地(野生の場合) |
| 食べもの | おもに草の種子(飼育下では種子や野菜など) |
| 寿命 | 飼育下でおよそ5〜8年(15年をこえる例も) |
| 仲間の数 | セキセイインコ属で1種のみ |
波模様の体と性別の見分け

黄緑に黒い波模様
野生の色は黄緑
野生のセキセイインコは、黄緑色の体をしています。背中から翼にかけて、黒い波のような細かい模様が広がります。学名の undulatus も、この波打つ模様に由来する言葉です。乾いた草原では、この色合いが草に溶け込み、身を隠すのに役立ちます。
顔の斑点とほお
顔は黄色く、のどのあたりに黒い点がいくつか並びます。ほおには、青むらさき色の小さな模様が入ります。この顔つきは、体の色を変えた多くの品種にも受け継がれています。目のまわりや額の色は、種類や個体で少しずつ異なるのも特徴です。幼いうちは額まで波模様がおよび、おとなになると額の模様が消えるため、おおよその年齢の手がかりにもなります。
くちばしの上で分かる性別
オスは青、メスは茶色
セキセイインコのくちばしの上には、「ろう膜」という部分があります。ここには鼻の穴があり、成鳥では色でおおよその性別が分かります。大人のオスは青っぽく、メスは白っぽい茶色になるのがふつうです。繁殖の時期が近づくと、メスのろう膜は濃い茶色に変わります。
幼いころはピンク
ひなや若い個体では、ろう膜は薄いピンクや紫がかった色をしています。この時期は、色だけで性別を見分けるのが難しいものです。育つにつれてオスとメスで色が分かれ、見分けがつくようになります。品種によっては、おとなでも色の差が出にくいものもいます。
なぜ人の言葉をまねるのか

声帯のない体でつくる声
鳴管という発声の器官
鳥には、人のような声帯がありません。かわりに、気管の奥にある「鳴管」という器官で声を出します。セキセイインコは、この鳴管を巧みに使って、さまざまな音を生み出します。左右に分かれた鳴管を別々に動かし、二つの音を同時に出せるとされます。くちびるを持たないため、舌やのどの動きで音を細かく変えています。
群れの声をまねる習性
野生のセキセイインコは、群れの仲間の鳴き声をたがいにまねし合います。この習性が、人と暮らすと人の言葉や物音をまねる力になります。人の家族を群れの仲間とみなし、その声に近づけようとするからだと考えられています。電子音や口笛のような、鳥にはない音までまねることがあります。
おしゃべりの名手
よく慣れたセキセイインコは、多くの言葉を覚えます。パックという名のオスは、1728語を話したとしてギネス世界記録に残っています。とくにオスがよくしゃべり、メスが覚える言葉は十数語ほどにとどまることが多いようです。短い歌やメロディーを口ずさむ個体もいます。言葉を場面と結びつけて使い分ける個体も報告され、その賢さがこの鳥の人気を支えてきました。人まねは、仲間とつながろうとする気持ちの表れとも言われます。
群れと繁殖

大群で移動する野生
野生のセキセイインコは、乾いた内陸で数千羽もの大群をつくります。決まった住みかは持たず、雨や種を追って広い大地を渡り歩く放浪の暮らしです。水や餌の乏しい年には、数百kmもの距離を移動することもあります。雨が降って草が実ると、その場所に集まっていっせいに繁殖します。飛びながら絶えずさえずり合うのも、群れで暮らす鳥ならではの姿です。日本でも逃げた個体がまれに見られますが、寒さに弱く、野生に定着することはほとんどありません。
樹洞での子育て
繁殖のときは、木のうろや枝の穴を巣に選びます。メスは一度に4〜6個の白い卵を産みます。抱卵はおよそ18日で、その間はメスが卵をあたため続けます。ひなは目も開かない裸の姿でかえり、親から口移しで餌をもらいます。生まれておよそ1か月で羽がそろう、巣立ちのとき。その後もしばらくは、親から餌をもらって育ちます。
水浴びで羽を整える
セキセイインコは水浴びを好み、羽についた汚れを洗い流します。浅い水に飛び込んだり、ぬれた葉に体をこすりつけたりして体をきれいにします。水浴びのあとは、くちばしで羽を一枚ずつ整えていきます。羽を清潔に保つことは、飛ぶ力や体温を守るうえで欠かせません。
羽を膨らませるのはなぜか
セキセイインコは、羽をふわりと膨らませることがあります。羽の間に空気をためて、寒さから体を守るための姿勢です。くつろいで眠るときにも、体を丸くして羽を膨らませます。ただし、元気がないのに一日中膨らんでいるときは、体調をくずしたしるしのこともあります。
ペットとしてのセキセイインコ
さまざまな色の品種
野生の色は黄緑ですが、飼育のなかで多くの品種が生み出されてきました。羽の色をつくる色素の量や組み合わせが変わると、青や黄、白などが現れるしくみです。黄色一色のルチノーや目の赤いアルビノ、まだら模様のハルクインなど、組み合わせは数百通りにもおよびます。数色が入りまじるレインボーは、とりわけあざやかな品種です。体の大きなジャンボセキセイと呼ばれる品種も、近年人気を集めています。
なつく世話と放鳥
セキセイインコは人によくなつき、名前を覚えて呼びかけに応える個体もいます。群れの鳥なので寂しさに弱く、毎日の声かけや遊びが欠かせません。かごから出して部屋で運動させる「放鳥」も、健康を保つうえで大切です。ひなから育てると手や肩にとまってなつき、頭をなでさせる個体もいます。一羽で飼うときは、飼い主が群れの仲間の代わりです。飼い主が見えなくなると、大きな声で呼ぶ「呼び鳴き」をすることもあります。
餌と健康、寿命
餌は種子が中心ですが、小松菜などの青菜も食べます。種ばかりだと栄養がかたより、脂肪肝などの病気につながります。カルシウムを補うために、ボレー粉やイカの甲を置くのがふつうです。メスは発情して卵を産みすぎると、卵が詰まって命にかかわることもあります。急に食欲が落ちたり、膨らんだまま動かなかったりするのは、体調をくずしたサインとされます。飼育下での寿命は10年以上におよび、まれに15年をこえる例も知られています。
関連ページ

参考
- Wikipedia(英語版)「Budgerigar」― 形態・ろう膜・発声・群れ・繁殖・飼育の各節
- Wikipedia(日本語版)「セキセイインコ」ほか― 品種と日本での飼育
- 鳥類の飼育・獣医の解説資料― 餌と健康・寿命・鳴管による発声


