サケ【総合】

川をさかのぼるサケの群れ 硬骨魚類

サケは、冷たい海と川を行き来するサケ科の魚の総称です。日本ではシロザケ・ベニザケ・ギンザケなどが食卓でおなじみで、生まれた川に帰って産卵する暮らしや、産卵期に赤く色づく姿で知られます。

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分類と学名

分類階層

  • 界:動物界 Animalia
  • 門:脊索動物門 Chordata
  • 綱:条鰭綱 Actinopterygii
  • 目:サケ目 Salmoniformes
  • 科:サケ科 Salmonidae
  • 主な属:サケ属 Oncorhynchus(太平洋のサケ・マス)/サルモ属 Salmo(タイセイヨウサケなど)/イワナ属 Salvelinus(イワナなど)

和名・英名

  • 和名:サケ(サケ科の魚の総称)
  • 英名:salmon、trout(サケ・マスをまとめて指す)

「サケ」と「マス」の呼び名

日本語の「サケ」と「マス」は、生物学的にきっちり分かれた区別ではありません。同じサケ科のなかで、慣習として呼び分けられてきた名前です。この呼び名の話は後の章でくわしく取り上げます。

大きさ・分布などの基本データ

大きさ種により全長 約20cm〜1.5m(カラフトマスは小型、マスノスケは最大級)
分布北半球の冷たい海・川・湖(北太平洋と北大西洋が中心)
生息環境冷たい河川・湖と海。多くは海と川を回遊する
寿命おおむね2〜7年(種による)
主な仲間シロザケ・ベニザケ・ギンザケ・マスノスケ・カラフトマス・サクラマス・ニジマス・クニマス など

サケとはどんな魚か

冷たい水に住む回遊魚

サケの仲間は、水温の低い環境を好む魚です。北太平洋や北大西洋の冷たい海と、そこへ注ぐ川や湖に広く分布します。多くの種は海と川を行き来する回遊魚です。川で生まれ、海で大きく育ち、産卵のためにまた川へ戻ります。一方でヒメマスやイワナのように、一生を淡水で過ごす種や型もいます。

生まれた川に帰って産卵する

サケの大きな特徴が、生まれた川に戻って産卵する「母川回帰」です。海で数年を過ごした親魚は、においなどを手がかりに自分の生まれた川を探し当てるとされます。産卵期になると群れをなして川をさかのぼり、上流の砂れきの川底に卵を産みます。川をさかのぼる遡上は、多くの生き物にとって恵みの季節です。

産卵期に色づき、多くは産卵後に死ぬ

産卵期が近づくと、サケの体は婚姻色に染まります。ベニザケは全身が鮮やかな赤に、シロザケは「ブナ毛」と呼ばれるまだら模様に変わります。オスは鼻先が曲がり、背が盛り上がる種も少なくありません。太平洋に住むサケの多くは、産卵を終えると一生を終えます。産卵に力を使い切る一回繁殖が、サケの仲間に共通する暮らし方です。

いろいろなサケの仲間(種類)

ひとくちにサケといっても、体の色や大きさ、暮らし方はさまざまです。ここでは代表的な仲間を取り上げます。

食卓でおなじみの3種

日本で「鮭」といえば、ふつうシロザケを指します。切り身や塩鮭でおなじみの魚です。ベニザケは身がもっとも赤く、ギンザケは養殖や輸入で広く出回っています。

サケ(シロザケ)
川で生まれ海で育ち、生まれた川へ帰るサケ(シロザケ)。母川回帰のしくみ(においと地磁気・まだ仮説)、川と海を行き来する体、赤い身なのに白身魚に分けられる理由、鼻曲がりと一度きりの産卵まで写真つきで紹介します。
ベニザケ
産卵期に全身が真っ赤に染まるベニザケ(紅鮭)。緑の頭と紅の体、稚魚が湖で育つ生態、身がサケでいちばん赤い理由、海へ下らないヒメマスとクニマスの物語まで写真つきで紹介します。
ギンザケ
海で銀色に輝き、産卵期に体側だけが赤く染まるギンザケ。稚魚が川で1年育つ生態、シロザケ・ベニザケとの違い、そして日本の海面養殖の主力(宮城)としての顔まで、写真つきで紹介します。

田沢湖の幻のサケ

秋田県の田沢湖だけに住んでいたクニマスは、一度は絶滅したとされながら、2010年に山梨県の西湖で再発見された黒っぽいサケです。深い湖底で産卵する変わった暮らしで知られます。

クニマス
クニマスは、秋田県の田沢湖にだけ住んでいた黒いサケの仲間です。1940年ごろに絶滅したと考えられていましたが、2010年に山梨県の西湖で生き残りが見つかり、大きな話題になりました。分類と学名分類階層界:動物界 Animalia門:脊索動物門...

そのほかの主な仲間

このほかにも、サケの仲間には身近な種が多くいます。サケ属で最大となるのがマスノスケ(キングサーモン)で、全長1mを超えることもあります。小型で数が多いのはカラフトマス(ピンクサーモン)です。塩蔵や缶詰などによく使われます。ニジマスは川や湖の釣りでおなじみの魚です。海で育てた大型は「トラウトサーモン」として売られます。サクラマスはヤマメが海に下って大きくなった型で、川に残るとヤマメ、海に下るとサクラマスと呼び分けられます。

サケとマスの違い

生物学的な区別はない

「サケ」と「マス」は、生物学的に区別された名前ではありません。同じサケ科の魚を、昔からの慣習で呼び分けているだけです。英語の salmon と trout も同じようにあいまいで、種を厳密に分ける言葉ではないとされます。

海に下ればサケ、川に残ればマス

おおまかには、海へ下って大きくなる種を「サケ」、川や湖にとどまる種を「マス」と呼ぶ傾向があります。ただし例外は多く、この分け方だけでは説明できません。たとえばベニザケとヒメマスは同じ種で、海へ下るとベニザケ、湖に残るとヒメマスと呼ばれます。サクラマスとヤマメの関係も同じです。呼び名は暮らし方や地域によって変わる、ゆるやかなものだといえます。

「サーモン」と「鮭」の違い

生食の「サーモン」は養殖魚

お店で見かける「サーモン」と「鮭」も、指すものが少し違います。刺身や寿司で生食される「サーモン」は、多くが養殖のタイセイヨウサケや、ニジマスを海で育てたトラウトサーモンです。寄生虫の管理がされた環境で育てられ、生で食べられるように流通しています。

加熱して食べる天然の「鮭」

一方、日本で古くから「鮭」と呼ばれてきたのは天然のシロザケで、焼き魚や塩鮭など加熱して食べるのが基本です。天然のサケにはアニサキスなどの寄生虫がいることがあり、生食を避ける習慣が続いてきました。同じサケの仲間でも、育ち方と食べ方によって呼び名が使い分けられています。

サケの豆知識

身が赤いのは餌の色素

サケの身がオレンジ色をしているのは、餌に含まれるアスタキサンチンという赤い色素のためです。エビやカニ、動物プランクトンに多く含まれ、これを食べたサケの筋肉に色がつきます。身が白いはずの魚が赤く見えるのは、餌に由来する色というわけです。

森と川をつなぐ栄養

川へ戻ってきたサケは、産卵と子孫だけでなく、森の栄養にもなります。産卵後に死んだサケはクマやワシ、水生昆虫の餌となり、その体は分解されて森や川の養分になります。海で蓄えた栄養を上流まで運ぶ役割から、サケは生態系をつなぐ魚とも呼ばれています。

参考

  • 水産庁・国立研究開発法人 水産研究・教育機構「サケ・マス類の資源と生態」
  • FishBase(Oncorhynchus 各種の分布・形態データ)
  • 環境省レッドリスト(クニマスほかサケ科の保全状況)

画像の出典

  • アイキャッチ(川を遡上するサケ):USFWS Pacific 撮影、パブリックドメイン(Wikimedia Commons)
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