ドワーフホト

ウサギ目

ドワーフホトは、真っ白な体に黒いアイラインだけをまとった小型のカイウサギです。目の周りを縁取るように黒い被毛のリングが入り、それ以外は完全に白い体色を持つ独特の姿が特徴です。1970年代に西ドイツで、大型のブラン・ドゥ・オト(白いオトのウサギ)を小型化する育種プロジェクトから偶発的に生まれた品種で、1983年にARBAが公認して以降ペット市場で独特の外観を持つ小型ウサギとして親しまれています。

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分類と学名

分類階層

  • 界:動物界 Animalia
  • 門:脊索動物門 Chordata
  • 綱:哺乳綱 Mammalia
  • 目:ウサギ目 Lagomorpha
  • 科:ウサギ科 Leporidae
  • 属:アナウサギ属 Oryctolagus
  • 種:ヨーロッパアナウサギ Oryctolagus cuniculus
  • 品種:ドワーフホト Dwarf Hotot

和名・英名

  • 和名:ドワーフホト
  • 英名:Dwarf Hotot、Dwarf Hotot Rabbit

別名・品種名の由来

品種名の「Hotot(オト)」は、フランス北西部ノルマンディー地方の町名「Hotot-en-Auge(オトタン・オージュ)」に由来します。1900年代初頭にこの町のブリーダー Eugénie Bernhard がホト白ウサギ(Blanc de Hotot=ホトの白ウサギ)を作出したのが起源とされます。ドワーフホトは1970年代にその大型系統を小型化して生まれた派生にあたります。分類学的にはヨーロッパアナウサギ(Oryctolagus cuniculus)の家畜化型の一品種で、他のカイウサギ品種と同じく生物学的には同一種の派生型です。

大きさ・特徴などの基本データ

大きさ体重 0.9〜1.4kg(ARBA基準:2.25〜3ポンド)
体型コンパクト・cobby(短くずんぐり)
耳の長さ約5〜7cm(短い直立耳)
頭部丸い顔・大きな目・短い口吻
被毛短毛(純白のフライバック)
毛色白のみ(ARBA公認は白+黒アイラインのみ・チョコレートは英国BRC公認)
特徴的形質目の周りを縁取る黒い被毛のリング(アイライン)
原産国西ドイツ(1970年代作出)
ARBA公認年1983年
寿命適切な世話でおよそ7〜10年
性格活発で好奇心旺盛・人懐こい

作出の歴史

ホトウサギを小型化する計画

1970年代西ドイツで着手

ドワーフホトの起源は1970年代の西ドイツで、ブラン・ドゥ・オト(体重3.6〜5kgの大型白ウサギ)を小型化する育種プロジェクトから始まりました。育種家はブラン・ドゥ・オトにネザーランドドワーフとダッチウサギを掛け合わせ、小型化しながらも「白+黒アイライン」の外観形質を維持する系統の固定を目指しました。同時期に東西ドイツで独立に類似のプロジェクトが進行しており、統合後にドワーフホトとして系統化されていきます。

1983年ARBA公認

1970年代末に米国へ輸入され、育種家 Elizabeth Forstinger による選抜育種を経て1983年に米ウサギ協会(ARBA)が新品種として公認しました。「Eyes of the Fancy(愛好家の目)」の愛称で呼ばれ、公認以降の北米ペット市場で他の白ウサギとは違う独特の外観を持つ品種として広まっていきます。

姿と外観

目を縁取る黒いアイライン

幅3〜6mmの黒い被毛リング

赤背景に浮かぶドワーフホト成体(白い体と黒いアイラインの強コントラスト)
H 151196, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

最大の特徴は目の周りを縁取る黒い被毛のリング(アイライン)で、幅は約3〜6mmと個体差があります。ARBA品種基準ではこのリングが「途切れなく目の周りを完全に一周する」ことが理想と規定されており、リングの一部が薄い・途切れている個体はショー審査で減点対象になります。目自体はブラウンの明色で、白い被毛と黒いリングのコントラストの中にくっきり浮かぶ配置に整えられています。

体は完全な白

ケージ越しに顔をのぞかせるドワーフホト(アイラインとブラウンの瞳の配置)
Benny Mazur, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons

アイライン以外の体は完全な白(ホワイト)で、耳・脚・尾も同じく白の被毛で覆われます。ARBA公認カラーは事実上「白+黒アイライン」の1色のみで、他のカイウサギ品種のような多色バリエーションを持たない稀有な存在です。英国のBRCでは近年チョコレート色のアイライン(青系のリング)も公認されており、この2色が世界の主要な公認色として広く知られています。

cobby型の小型体格

5ヶ月齢のドワーフホト(cobby型の小型体格が分かる全身姿)
Peri0529, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

体型はネザーランドドワーフから受け継いだcobby(短くずんぐり)の形で、体重0.9〜1.4kgと小型サイズを維持します。耳は5〜7cmと短くまっすぐ立ち、頭部が体に対して大きく見える幼形の造りは同じ小型ドワーフ系のネザーランドドワーフに似ています。ただし気性はネザーランドドワーフより落ち着いた個体が多く、扱いやすい小型ウサギとして評価される存在です。

アイライン遺伝子と難しい育種

ドワーフホトの独特のアイラインは「マドンナ遺伝子(Vienna gene、V遺伝子)」に関連する複雑な遺伝子群で決まっており、完全なアイラインを持つ個体を安定的に生み出すのは育種の難所とされます。ホモ接合体の交配だけでは意図しない広範囲の白斑や、目の周り以外の場所への黒い被毛の発現が起こり、代を重ねるごとに理想的なアイラインを維持するには系統的な選抜が欠かせません。この育種の難しさから、ARBA登録の血統書付き個体は他の小型品種と比べて希少で、価格も高めに設定される傾向がみられます。

性格

ドワーフホトは活発で好奇心旺盛な性格が広く報告されており、ネザーランドドワーフと同じくドワーフ系特有の元気な気性を見せます。人懐こく好奇心の強い個体が多いという観察は北米の飼育者コミュニティで広く共有され、体格の小ささから集合住宅でも飼いやすい小型ウサギとして人気の位置を占めています。ただしウサギの個体差は当然あり、幼少期の社会化や日々の触れ合いの頻度が成体後の懐き具合に影響する点は他品種と同じとされます。適切な世話で寿命は7〜10年と長く、家族の一員として長く付き合える相手になります。

類似する小型・白系品種との違い

アイラインと体格で識別する

ドワーフホトと混同されやすい品種として、ブラン・ドゥ・オト(大型・アイラインあり)・ホワイトネザーランドドワーフ(小型・アイラインなし)・ヒマラヤン(体白+耳鼻脚黒)などが挙げられます。アイラインの有無と体格で識別されます。

品種体重アイライン他の特徴
ドワーフホト0.9〜1.4kgあり(黒)完全に白い体
ブラン・ドゥ・オト3.6〜5kgあり(黒)大型の親品種
ホワイトネザーランドドワーフ0.5〜1.1kgなしルビーアイ or ブルーアイ
ヒマラヤン1.1〜2kgなし耳・鼻・脚が黒(ポイント色)

目の周りに幅3〜6mmの黒いリングがくっきり入るのがドワーフホトの見分けの決め手で、他の白系品種とはアイラインの有無で一瞬で識別できます。血統書付き個体はARBA登録ブリーダーからの入手が確実な手段です。

日本での流通と飼育環境

ペットショップでの位置

日本市場でのドワーフホトの流通量はネザーランドドワーフやホーランドロップと比べるとかなり少なく、白+黒アイラインの独特の外観を求める層に向けたニッチな存在として扱われています。アイライン形質を安定的に発現させる育種の難しさから、血統書付き個体は5〜10万円の価格帯が目安で、専門ブリーダー経由での入手が一般的とされます。国内での流通が限定的な分、SNSでの写真映えの良さは他品種と一線を画す独自の魅力として広く認識されています。

飼育環境の目安

ケージのサイズは幅60〜80cmが標準で、適温は18〜24℃です。他の小型ウサギ品種とほぼ同じ環境で飼育できます。エサはチモシー(乾草)を主体に、ペレット・少量の生野菜を組み合わせるのが一般的な食餌構成です。白い被毛は汚れが目立ちやすいため、床材の清潔さと飲水器の位置による顎周りの湿り気の管理が長毛品種以上に注意される点となっています。

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