フレンチロップ

ウサギ目

フレンチロップは、大きな垂れ耳とがっしりした骨太の体つきを持つ大型のカイウサギです。体重は4.5〜7kg以上に達し、家庭で飼えるウサギとしては最大級の部類に入ります。19世紀のフランスで、フレミッシュジャイアントとイングリッシュロップを交配して作られた古参の垂れ耳品種で、以降のホーランドロップ・ミニロップ・アメリカンファジーロップの祖先系統となる存在です。

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分類と学名

分類階層

  • 界:動物界 Animalia
  • 門:脊索動物門 Chordata
  • 綱:哺乳綱 Mammalia
  • 目:ウサギ目 Lagomorpha
  • 科:ウサギ科 Leporidae
  • 属:アナウサギ属 Oryctolagus
  • 種:ヨーロッパアナウサギ Oryctolagus cuniculus
  • 品種:フレンチロップ French Lop

和名・英名

  • 和名:フレンチロップ
  • 英名:French Lop
  • 仏名:Bélier français(ベリエ・フランセ)

別名・品種名の由来

品種名の「French Lop」は原産国フランスと垂れ耳(Lop)を組み合わせた英語圏での命名です。仏語では「Bélier français(フランスの雄羊)」と呼ばれ、頭の左右へ垂れる長い耳が雄羊を連想させるところから来ています。分類学的にはヨーロッパアナウサギ(Oryctolagus cuniculus)の家畜化型の一品種で、他のカイウサギ品種と同じく生物学的には同一種の派生型です。ホーランドロップ・ミニロップ・アメリカンファジーロップなど現代の垂れ耳品種の多くはこの品種を祖先の一つに持つ古参の系統として知られます。

大きさ・特徴などの基本データ

大きさ体重 4.5〜7kg以上(ARBA基準:10.5ポンド以上)
体型コマーシャルタイプ・骨太でマッシブ
耳の長さ約20〜25cm(大きな垂れ耳)
頭部広い額と丸みのあるプロファイル・大きなクラウン
毛色ARBA公認7色群(ブロークン・チンチラ・オパール・シェード・セルフ・スティール・タイク)
原産国フランス(1850年代作出)
ARBA公認年1971年
BRC公認年1933年
寿命適切な世話でおよそ5〜8年
性格穏やか・鷹揚・人懐こい

作出の歴史

1850年代フランスで誕生

Cadillon による交配

フレンチロップの起源は1850年代のフランスで、ブリーダー M. Cadillon がフレミッシュジャイアント(体重10kg級の巨大品種)とイングリッシュロップ(英国原産の巨大垂れ耳品種)を交配して作出したと伝えられます。フレミッシュジャイアントの骨太な体格と、イングリッシュロップの垂れ耳形質を組み合わせた「大きくて垂れ耳」の品種を作る目的でした。当初は肉用品種としての需要が高かったフランスの食文化を背景に、育種目的も食用に置かれていた時代です。

1933年英国・1971年米国への公認

1930年代までにヨーロッパ全域へ広まり、1933年に英ウサギ協会(BRC)が公認しました。米国へは第二次大戦後の1965年に輸入され、1971年に米ウサギ協会(ARBA)が新品種として承認し、北米市場にも定着していきます。以降フレンチロップは世界の主要なウサギ協会が公認する古参品種の一つとして、垂れ耳品種の代表格の位置を占めるようになりました。

姿と体つき

マッシブな体格と大きな垂れ耳

約20cmの垂れ耳

垂れ耳は約20〜25cmと大型で、頭の左右から下方へ完全に垂れる大きな耳が視覚的な最大の特徴です。生後4〜10週齢の間に徐々に垂れ始め、成体になる頃には頬まで届く長さの垂れ耳が完成します。ARBA基準では耳の付け根の位置・耳先の丸みまで細かく規定されており、ショー審査で最も注目される部位となっています。

体重4.5〜7kg以上のマッシブ体格

黒色のフレンチロップ成体(コマーシャルタイプのマッシブな体格の見本)
20194HRabbitProject, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

体型はコマーシャルタイプと呼ばれる骨太でずんぐりした形で、抱きしめると小型犬並みの重さがあります。ARBA基準では最低体重が10.5ポンド(約4.8kg)に設定されており、これを下回る個体は品種標準から外れる扱いです。フレミッシュジャイアント譲りの大型骨格と、イングリッシュロップ譲りの垂れ耳のバランスが取れた体つき。この形が、現代の垂れ耳品種の育種で「原点」として参照される姿となっています。

毛色バリエーション

Sooty fawn色のフレンチロップ成体(別色の毛色バリエーション例)
Lottie, Public domain, via Wikimedia Commons

ARBAが公認する毛色は7つの色群に整理されており、ブロークン(斑)・チンチラ(銀灰)・オパール(青灰)・シェード(濃淡)・セルフ(単色)・スティール(鋼色)・タイクなど多様な色柄が含まれます。大型体格に映える濃色のセルフ(黒・青・チョコレート)が伝統的な人気で、ブロークンの派手な斑模様も近年ペット市場での需要を集めています。

後継品種の祖先

現代の垂れ耳品種の共通祖先

フレンチロップは20世紀以降に生まれた小型垂れ耳品種の共通の祖先として、家畜ウサギ品種の系統樹で重要な位置を占めます。1949年オランダ作出のホーランドロップ(体重0.9〜1.8kg)は、フレンチロップにネザーランドドワーフを交配して小型化した派生。1970年代ドイツ作出のミニロップ(体重2〜3kg)はフレンチロップを中型化した後継です。1980年代米国作出のアメリカンファジーロップは、そのホーランドロップにフレンチアンゴラを掛け合わせて長毛化した孫世代にあたります。これらの後継品種はいずれも垂れ耳と丸い頭部というフレンチロップの外観特徴を受け継いでおり、現代のペット向け垂れ耳品種の育種はすべてこの品種の系統から派生した歴史を持ちます。

性格

フレンチロップは大型品種特有の穏やかで鷹揚な性格が広く報告されており、抱きしめても暴れにくい落ち着きから米ウサギ協会の飼育ガイドでも「小さな子どもがいる家庭向き」の品種として挙げられています。骨格ががっしりしている体つきから、大型犬並みの安定感を持つ抱き心地が家族向け品種として選ばれる理由の一つです。ただしウサギの個体差は当然あり、幼少期の社会化や日々の触れ合いの頻度が成体後の懐き具合に影響する点は他品種と同じとされます。適切な世話で寿命は5〜8年で、大型品種は小型品種より短命寄りの傾向を持つ点にも留意が必要になります。

類似する大型垂れ耳品種との違い

体格と耳の長さで識別する

フレンチロップと混同されやすい品種として、イングリッシュロップ(さらに長い耳)・フレミッシュジャイアント(垂れ耳でない大型)・ミニロップ(中型化した派生)などが挙げられます。体格と耳の長さで識別されます。

品種体重耳の長さ耳の形
フレンチロップ4.5〜7kg以上約20〜25cm垂れ耳
イングリッシュロップ4.5〜6kg約53cm以上(世界最長)垂れ耳(地面まで届く)
フレミッシュジャイアント6〜10kg超約20cm直立耳
ミニロップ2〜3kg約15〜17cm垂れ耳

「大型体格+約20cmの垂れ耳」の組み合わせがフレンチロップの見分けの目印で、イングリッシュロップのような極端に長い耳とも、フレミッシュジャイアントのような直立耳とも異なる中間的なプロポーションを持ちます。血統書付き個体はARBA登録ブリーダーからの入手が確実な手段です。

日本での流通と飼育環境

大型品種としての流通

日本のペットショップでは、体重5kg超の大型垂れ耳ウサギとしてフレンチロップの流通量は少なく、小型化した派生品種(ミニロップ・ホーランドロップ)の方が圧倒的な普及度を持ちます。専門ブリーダー経由や輸入での入手が多く、価格帯は血統書付き個体で10〜20万円程度が目安として広く知られています。国内では飼育スペース・食事量の負担も大きく、大型ウサギの飼育経験者向けの位置づけで扱われている品種です。

飼育環境の目安

小型犬並みの飼育スペース

ケージのサイズは幅120cm以上が推奨で、小型犬用のサークルを転用する飼育者も見られます。適温は18〜24℃で、床材は柔らかいマット材を厚めに敷く必要があります。体重が小型品種の4〜5倍あるため、床材が薄いとソアホック(足底皮膚炎)を起こしやすい点は大型品種で特に注意が必要となる健康上の課題です。

食事量とコスト

エサはチモシー(乾草)を主体に、ペレット・少量の生野菜を組み合わせるのが一般的な食餌構成です。体重4.5kg超の個体は小型品種の3〜4倍の食事量が必要で、月々のエサ代も小型品種と比べて数倍規模に膨らみます。特にチモシーの消費量は他品種と比べて多く、大型品種の飼育コストは飼い始める前に確認しておく重要な要素として広く知られています。

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参考

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