モルモットは、南米生まれの草食のげっ歯類です。ペットとして親しまれ、豊かな鳴き声と人なつこい性質で知られます。「ギニアのブタ」を意味する英名をもちますが、ギニア産でもブタでもありません。
分類と学名
モルモットは、ネズミやリスと同じ齧歯類(げっしるい)で、テンジクネズミ科に含まれます。同じ科には、世界最大のげっ歯類であるカピバラもいます。
分類階層
- 界:動物界 Animalia
- 門:脊索動物門 Chordata
- 綱:哺乳綱 Mammalia
- 目:齧歯目 Rodentia
- 科:テンジクネズミ科 Caviidae
- 属:テンジクネズミ属 Cavia
- 種:モルモット Cavia porcellus
和名・英名
- 和名:モルモット(テンジクネズミ)
- 英名:Guinea pig
名前の由来
英名の Guinea pig は「ギニアのブタ」という意味ですが、モルモットはギニア産でもブタの仲間でもありません。名前の由来ははっきりせず、鳴き声や姿がブタを思わせたためともいわれます。学名の種名 porcellus も、ラテン語で「小さなブタ」を意味します。和名の「モルモット」は、別のげっ歯類マーモットと取り違えて伝わったという説があります。
大きさ・分布などの基本データ
| 大きさ | 体長 約20〜25cm |
|---|---|
| 体重 | 700〜1200gほど |
| 分布 | 家畜種(祖先は南米アンデス地方の野生種) |
| 生息環境 | 家畜として飼育(野生のモルモットはいない) |
| 食べ物 | 草・干し草・野菜(草食) |
| 寿命 | 4〜8年ほど |
| 保全状況 | 家畜種のため評価なし |
野生にいない家畜動物
モルモットは、人が飼うためにつくり出した家畜の動物です。同じ姿の野生のモルモットは、どこにもいません。

アンデスで生まれた仲間
モルモットは、南米アンデス地方で家畜になりました。その歴史は古く、5000年以上前からとされます。もとになったのは、アンデスの山に住む野生のテンジクネズミの仲間です。長い年月をかけて飼いならされ、今のモルモットになりました。アンデスの人々は、モルモットを食用にするほか、儀式にも用いてきました。インカ帝国の時代には、神への供え物や占いにも使われたと伝えられます。近い仲間のカピバラは、同じテンジクネズミ科の大型のげっ歯類です。

実験動物の代名詞
モルモットは、古くから研究や実験に使われてきました。「実験台にする」という意味で「モルモットにする」という言い方があるのは、このためです。19世紀に病気のもとが細菌だと明らかにする研究などで、モルモットは大きな役割を果たしました。パスツールやコッホといった研究者が、実験に用いたことで知られます。ただし近年は、ほかの動物に代わり、実験に使われる数は減っています。
体と暮らし
モルモットには、体のしくみや暮らし方に、ほかのげっ歯類とは違う特徴があります。とくに、食べ物と鳴き声に個性が表れます。

ビタミンCを作れない
人と同じ弱点
多くの動物は、体の中でビタミンCを作り出せます。ところがモルモットは、人と同じように、自分ではビタミンCを作れません。足りないと、歯ぐきから血が出るなど、壊血病(かいけつびょう)と呼ばれる状態になります。この点で、モルモットは人とよく似た体をもっています。
野菜や牧草でおぎなう
そのため、飼育下では、ビタミンCの多い野菜などが与えられます。一日に必要な量はわずかですが、毎日とらないと不足します。キャベツやピーマン、少量の果物などが、ビタミンCの補いに使われます。主な食べ物は牧草や干し草で、これには伸び続ける歯をすり減らす役目もあるとされます。前歯も奥歯も一生伸び続け、硬い草をかむことで歯がすり減ります。
よく鳴き、仲間と暮らす
いろいろな鳴き声
モルモットは、とてもよく鳴く動物です。「プイプイ」「キュイキュイ」と高い声で鳴くのは、餌をねだるときや、飼い主を呼ぶときによく聞かれます。のどを鳴らすような「プルプル」という低い音は、機嫌のよいときに出すとされます。歯をカチカチと鳴らすのは、怒りや警告のサインです。オスはメスに近づくとき、体を左右にゆらしながら低い音を出します。気分のよいときには、その場で飛びはねる「ポップコーン」という動きを見せることもあります。声は体のわりに大きく、部屋の外まで聞こえることもあります。こうした声や動きは、モルモットの気持ちを知る手がかりになります。
仲間と暮らす
野生のなかまは群れで暮らしており、モルモットも仲間といっしょにいると落ち着くとされます。一匹だけで飼うと落ち着かないことがあり、二匹以上で飼われることも多い動物です。スイスなどでは、一匹だけで飼うことを法律で禁じている国もあります。群れには、ゆるやかな順位もあるとされます。仲間どうしは、においや声でおたがいを知り、体をなめ合って関係を保ちます。オスどうしは、相性が悪いと争うこともあります。長いひげで、暗い場所やせまいすき間の幅を確かめます。驚いたときには、その場で動きを止めて固まることもあります。警戒心が強く、目を開けたまま休むことも多い動物です。
赤ちゃんと品種
モルモットの赤ちゃんは、ほかの多くのげっ歯類とは大きく違う姿で生まれます。品種も多く、毛の長さや色はさまざまです。

生まれてすぐ動く赤ちゃん
毛も歯もそろって生まれる
ネズミやハムスターの赤ちゃんは、毛のない裸の状態で生まれます。いっぽうモルモットの赤ちゃんは、毛が生えそろって歯もあり、目も開いた状態で生まれてきます。妊娠の期間が2か月ほどと長く、母親のおなかの中でよく育つためです。
すぐに草を食べる
生まれた赤ちゃんは、まもなく自分で歩きまわります。一度に生まれる子は1〜6匹ほどで、数日のうちに大人と同じ草も食べ始めます。母乳で育つ期間は短く、生後3週間ほどで乳離れします。このように発達した状態で生まれることを、早成性(そうせいせい)といいます。天敵の多い環境で生き延びるのに役立つと考えられています。
いろいろな品種
モルモットには、毛のようすの違うさまざまな品種があります。短い毛でなめらかな「イングリッシュ(アメリカン)」・毛がうずを巻く「アビシニアン」・長毛の「ペルビアン」や「テクセル」などが知られています。毛のほとんどない「スキニー」という品種もいます。色や模様も、一色のものから三色のものまで多彩です。同じモルモットでも、品種によって見た目の印象は大きく変わります。
ハムスターとの違いと飼い方
モルモットは、同じげっ歯類のハムスターとよく比べられます。飼うときにも、その違いは大きな意味をもちます。
ハムスターとの違い
モルモットはハムスターより体が大きく、体長は20cmを超えます。手のひらにのるハムスターに対し、モルモットは両手で抱えるほどの大きさです。ハムスターが一匹で暮らすのを好むのに対し、モルモットは仲間と群れて暮らす社会的な動物です。また、ハムスターは夜に活発なのに対し、モルモットは昼にもよく動きます。飼い方や必要な広さも、この違いによって変わってきます。

飼い方の基本
モルモットは、草食のため、牧草や野菜を中心に飼われます。体が大きく運動もするため、広いケージで飼われる動物です。社会性が高いことから、複数で飼われることもよくあります。歯が伸び続けるため、硬い牧草をかめないと歯がのび過ぎることも知られています。運動量が多く、ケージの外を動きまわることもあります。人によく慣れ、なでられることを好む個体も多い動物です。南米では、今も食用として飼われる地域があり、ペルーでは年間に数千万匹が食べられているとされます。
参考
- Guinea pig(en.wikipedia.org)分類・家畜化・ビタミンC・鳴き声・繁殖・品種・実験動物
- モルモット(ja.wikipedia.org)和名の由来・飼育・食用
- Animal Diversity Web「Cavia porcellus」大きさ・寿命・繁殖
画像出典
- アイキャッチ:Friedrich Haag, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons(Heimtier / Cavia porcellus)
- 全身・干し草の写真:Gzen92, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons(Cochon d'Inde, Cavia porcellus)
- 品種の写真:Diego Delso, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons(Cavia porcellus, Tierpark Hellabrunn)


