コモドオオトカゲは、世界でいちばん大きなトカゲです。全長は3mにもなり、まるで恐竜のような姿をしています。インドネシアの、ごく限られた島だけにすんでいます。「口の中の細菌で獲物を殺す」と長く言われてきましたが、近年の研究で、その見方は変わってきました。
分類と学名
分類階層
- 界:動物界 Animalia
- 門:脊索動物門 Chordata
- 綱:爬虫綱 Reptilia
- 目:有鱗目(トカゲ・ヘビのなかま)Squamata
- 科:オオトカゲ科 Varanidae
- 属:オオトカゲ属 Varanus
- 種:コモドオオトカゲ Varanus komodoensis
和名・英名
- 和名:コモドオオトカゲ
- 英名:Komodo dragon(コモドの竜。「コモドドラゴン」とも呼ばれます)
名前の由来
名前は、すみかであるインドネシアの「コモド島」からつきました。「コモドオオトカゲ」と「コモドドラゴン」は、呼び方が違うだけで同じ生きものです。英語では、その大きさと恐ろしさから「ドラゴン(竜)」と呼ばれています。トカゲやヘビと同じ、有鱗目(ゆうりんもく)の仲間です。
大きさ・分布などの基本データ
| 大きさ | 全長 最大3m・体重は大きなオスで70〜90kg(150kgに達することも。メスはより軽い) |
|---|---|
| 分布 | インドネシアのコモド島・リンチャ島・フローレス島など、数島のみ |
| 生息環境 | 島の草原・森・海岸 |
| 食べもの | 肉食(シカ・イノシシ・水牛・死肉など) |
| 体温 | まわりの温度で変わる変温動物 |
| 保全状況 | IUCN: EN(絶滅危惧)/ワシントン条約 附属書I |
世界でいちばん大きなトカゲ

全長3mの体
コモドオオトカゲは、今生きているトカゲのなかで最大です。大きなものは全長3m、体重150kgに達します。がっしりとした体と、太い尾を持ちます。おそろしげな見た目から、「生きた恐竜」と呼ばれることもあります。ただし恐竜の仲間ではなく、あくまでトカゲの一種です。
ヨロイのような皮ふと、ギザギザの歯
骨のつぶが入った、かたい皮ふ
体の表面は、かたいうろこでおおわれています。大人の皮ふの下には、小さな骨のつぶがびっしり入っています。これが、まるで鎖かたびらのヨロイのように、体を守ります。この骨のヨロイは、大人になるにつれて発達します。仲間どうしの争いから身を守るのに役立つと考えられています。
ノコギリのような歯
口の中には、ふちがギザギザした、するどい歯がならびます。この歯は、まるでノコギリのように、獲物の肉を切りさきます。歯は古くなると、新しい歯に何度も生えかわります。大きな口と鋭い歯が、狩りの大きな武器です。
咬まれたら、どうなる?

「口の細菌で殺す」という古い説
コモドオオトカゲは、長いあいだ、変わった方法で獲物をしとめると考えられてきました。口の中にすむたくさんの細菌(ばいきん)で、咬まれた獲物を病気にして殺す、という説です。一度咬みつけば、あとは獲物が弱るのを待つだけ、と語られてきました。この「口の細菌で殺す」話は、長く広く信じられてきました。
毒腺が見つかり、見方が変わった
ところが2009年ごろ、コモドオオトカゲのあごに「毒腺(どくせん)」が見つかりました。血を固まりにくくしたり、血圧を下げたりする毒を出す器官です。また、口の中の細菌を調べても、ほかの肉食動物と変わらないと分かりました。今では、獲物を弱らせるのは「細菌」ではないと考えられています。大きな歯でつけた深い傷と出血、それに毒のはたらきが合わさって、獲物を弱らせると考えられています。ただし、毒がどれくらい効いているのかは、まだ研究の途中です。
待ち伏せの狩りと、するどい嗅覚
ものかげにひそんで、丸のみにする
コモドオオトカゲは、待ち伏せの名人です。ものかげにひそみ、近づいた獲物に一気に襲いかかります。シカやイノシシ、水牛などの大きな動物もしとめます。ふだんは動きがおそそうに見えますが、短い距離なら思いのほか速く走ります。しとめた獲物は、大きなものでも骨ごと丸のみにすることがあります。
舌で、数km先のにおいをさぐる
えものを見つける手がかりは、するどい嗅覚(きゅうかく)です。二またに分かれた舌を、ちろちろと出し入れします。舌でにおいの粒を集め、口の中の器官でにおいをかぎ分けます。このはたらきで、数km先の死肉のにおいも見つけられるといわれます。
島の頂点に立つ
大人のコモドオオトカゲは、島の食物連鎖の頂点に立ちます。自然のなかで、大人をおそう天敵はほとんどいません。むしろ大きな脅威は、仲間どうしの共食いや、人の活動です。島でいちばん強い、力のある動物なのです。
メスだけで、子を産むことがある
コモドオオトカゲには、変わった繁殖のしかたがあります。メスが、オスと出会わなくても、たった1匹で卵を産んで子をかえすことがあるのです。このふえ方は「単為生殖(たんいせいしょく)」と呼ばれます。この方法で生まれてくる子は、どれもオスになります。オスのいない島にたどり着いたメスでも、自分だけで子孫を残せるのです。遠くはなれた島で暮らす動物ならではの、生きのびる知恵です。
幼体は、木の上で暮らす
生まれたばかりの子どもは、大人とは違う暮らしをします。地上には、大きな大人がたくさんいます。大人のコモドオオトカゲは、ときに小さな子どもを食べてしまいます。そのため、幼体は生まれてから数年のあいだ、木の上で過ごします。木の上なら、重い大人は登ってこられず、安全です。小さなうちは虫や小動物を食べ、体が大きくなると地上へおりてきます。一人前になるまでには、8〜11年ほどかかります。
どこで見られる? 飼えるの?

日本の動物園で会える
コモドオオトカゲは、日本の動物園でも見ることができます。2025年時点では、名古屋の東山動植物園で飼育・展示されています。大きな体でのそりと歩く姿は、迫力たっぷりです。ただし、危険な大型爬虫類のため、個人が飼うことはできません。ワシントン条約でも、いちばん厳しい附属書Iに入っています。
数を減らしている
コモドオオトカゲは、世界でも数千頭ほどしかいません。すむ島がかぎられ、えさとなる動物も減っています。IUCNは、コモドオオトカゲを絶滅危惧(EN)に分類しています。地元では、この竜を守るための国立公園がつくられています。世界最大のトカゲが、これからも島で生きていけるよう、見守られています。
参考
- Wikipedia(英語版)「Komodo dragon」(大きさ・毒・単為生殖・生態・保全)
- IUCN Red List:Varanus komodoensis(EN・分布と脅威)
- コモドオオトカゲの毒に関する研究(2009年ごろ、毒腺の発見)


