グッピーは、カラフルな体で人気の小さな熱帯魚です。オスは色とりどりで、メスは大きめで地味な色をしています。卵ではなく、稚魚を直接産みます。育てやすさから、熱帯魚の入門種として親しまれています。
分類と学名
分類階層
- 界:動物界 Animalia
- 門:脊索動物門 Chordata
- 綱:条鰭綱 Actinopterygii
- 目:カダヤシ目 Cyprinodontiformes
- 科:カダヤシ科 Poeciliidae
- 種:グッピー Poecilia reticulata
和名・英名・名前の由来
「グッピー」の名は、この魚を紹介した人物ガッピー(Robert Guppy)の名にちなみます。英語では、たくさん殖えることから「ミリオンフィッシュ(百万の魚)」とも呼ばれます。この名は、1800年代に南アメリカでこの魚を見つけ、研究者に届けた人物にちなみます。もとは南アメリカの北部やカリブ海の島に住む魚で、今では世界各地で飼われています。
大きさ・分布などの基本データ
| 大きさ | オス 約1.5〜4cm/メス 約3〜7cm |
|---|---|
| 分布 | 南アメリカ北部・カリブ海の島(原産)。世界各地に移入 |
| 生息環境 | 川・池・水路など、暖かい淡水 |
| 食べ物 | 藻・小さな虫・ボウフラ・人工の餌など(雑食) |
| 寿命 | およそ2〜3年 |
| 繁殖 | 卵胎生(卵ではなく稚魚を産む) |
※ 卵胎生(らんたいせい)とは、卵を体の外に産まず、メスの体の中で卵をかえして稚魚の姿で産む生まれ方です。
オスとメスの違い
グッピーは、オスとメスで見た目が大きく違う魚です。ひと目で見分けられるほど、色や大きさに差があります。

小さくカラフルなオス
色と尾の飾り
オスは体が小さいかわりに、赤・青・黄・緑など、鮮やかな色。尾びれも大きく広がり、模様が入ります。この派手な見た目は、メスに選ばれるためのものと考えられています。より美しいオスが、メスに選ばれやすいとされています。色は、赤や橙色のつぶ・黒い模様・光を反射して青や緑に見える部分などが組み合わさっています。オスはメスの前で体を震わせ、色を誇示するように求愛します。
交接のためのひれ
オスのしりびれは、細長い棒のような形に変わっています。これは「交接脚(こうせつきゃく)」と呼ばれ、メスの体内に精子を送るための器官です。ふつうの魚のように卵に外から精子をかけるのではなく、体の中で受精させる点が、ふつうの魚と違います。
大きく地味なメス
メスはオスよりひとまわり大きく、体の色は灰色っぽく地味です。おなかの中で子を育てるため、体に余裕があるつくりになっています。子を宿したメスは、おなかが大きくふくらみます。おなかの後ろのあたりが黒っぽくなる部分は、中で子が育っているしるしです。

稚魚を産む魚
グッピーで特徴的なのは、その生まれ方です。多くの魚が卵を産むのに対し、グッピーは稚魚を直接産みます。

卵ではなく子を産む
メスのおなかで育つ
グッピーの卵は、メスのおなかの中でかえります。稚魚はしばらくおなかの中で育ち、じゅうぶんに大きくなってから、外へ産み出されます。生まれるまでの期間は、水温にもよりますが、およそ3〜4週間です。一度に産む数は、20匹から、多いときには100匹ほどにもなります。卵で産むよりも、外敵に食べられにくく、生き残りやすいとされます。メスは精子をためておけるため、一度の交尾から、何度かに分けて出産することもあります。
生まれてすぐ泳ぐ
生まれたばかりの稚魚は、体長5mmほどですが、すでに親と同じ魚の形をしています。生まれた直後から自分で泳ぎ、餌を食べられます。ただし、体が小さいうちは、親のグッピーに食べられてしまうこともあります。そのため、水草などの隠れ場所が多い環境だと、稚魚が生き残りやすくなります。飼育では、稚魚を別の水槽に移して育てることもよく行われます。
野生での暮らし
もともとのグッピーは、南アメリカの暖かい川や池に住む魚です。浅い場所で群れをつくり、水草のあいだに潜んで暮らします。体が小さいため、大きな魚や鳥に狙われやすく、隠れ場所の多い環境を好みます。よく殖える力は、こうした食べられやすい暮らしの中で、子孫を残すのに役立つとされます。
たくさんの品種
グッピーには、人の手で作り出された、数えきれないほどの品種があります。色や模様、尾びれの形の違いで、さまざまなタイプに分けられます。尾びれには、三角に大きく広がるものや細長いものなど、いろいろな形があります。色や模様の組み合わせごとに名前が付けられ、愛好家によって、今も新しい品種が作り出されています。

改良品種と野生型
飼育されているグッピーの多くは、美しい色や大きな尾をめざして、長い年月をかけて改良されてきたものです。一方、もともと自然に住む野生型のグッピーは、これほど派手ではありません。野生型のオスにも色や斑点はありますが、飼育品種にくらべると、ずっと地味な姿をしています。

飼い方と繁殖
育てやすい魚
何を食べるか
グッピーは雑食です。水草に生える藻や小さな虫、市販の人工の餌など、いろいろなものを食べます。丈夫で、水の変化にもわりと強いため、はじめて魚を飼う人にも向いた魚です。ペットショップなどで手に入りやすく、値段も手ごろです。暖かい水を好み、水温を保てば、一年じゅう元気に過ごせる魚です。おとなしい魚なので、ほかの小さな魚といっしょに飼うこともできます。ただし、ひれをかじる魚とはあまり合いません。
よく殖える
グッピーは、飼育下でもよく殖えます。オスとメスを同じ水槽に入れておくと、次々と稚魚が生まれます。「ミリオンフィッシュ」という英名も、この殖える力の強さからきています。殖えすぎると水槽が狭くなるため、数の管理が必要です。

蚊の幼虫と外来種の問題
グッピーは、水面近くに湧くボウフラ(蚊の幼虫)をよく食べます。そのため、かつては蚊の害を減らす目的で、世界のあちこちに放されました。ところが、暖かい地域では放されたグッピーが野生化しました。もともとその土地に住んでいた小さな魚と、餌や場所を奪い合うようになりました。今では、外来種として問題になっている地域もあるとされます。同じカダヤシ科のカダヤシも、蚊の防除のために日本へ持ち込まれ、在来のメダカを脅かしてきました。グッピーとカダヤシは姿も似ており、どちらも卵胎生の魚です。飼っていたグッピーを自然の川や池へ放すと、こうした問題を広げてしまいます。
参考
- IUCN Red List: Poecilia reticulata(Guppy)評価ページ
- Animal Diversity Web(ミシガン大学): Poecilia reticulata の解説
- Wikipedia(英語版)「Guppy」― 形態・繁殖・分布・移入


