オジロワシ

オジロワシの顔。淡い頭と黄色いくちばし 猛禽類

オジロワシは、白いくさび形の尾をもつ大型のワシで、北海道では日本で数少ない繁殖するワシとして知られます。海や湖のほとりで魚を捕らえて暮らし、冬にはロシアから渡ってくる群れも加わります。名前のとおり、成鳥の白い尾が一番の目印です。

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分類と学名

分類階層

  • 界:動物界 Animalia
  • 門:脊索動物門 Chordata
  • 綱:鳥綱 Aves
  • 目:タカ目 Accipitriformes
  • 科:タカ科 Accipitridae
  • 属:オジロワシ属 Haliaeetus
  • 種:オジロワシ Haliaeetus albicilla

和名・英名

  • 和名:オジロワシ(尾白鷲)
  • 英名:White-tailed eagle

名前の由来

和名の「オジロワシ」は、「尾白鷲」と書き、成鳥の尾が白いことに由来します。英名の White-tailed eagle(白い尾のワシ)も、全く同じ特徴を指しています。オジロワシ属(ウミワシ属)に属し、アメリカのハクトウワシに最も近い仲間の一つとされます。

大きさ・分布などの基本データ

大きさ全長 約70〜98cm/翼を広げた幅 約1.8〜2.4m(メスが大きい)
体重オス 約3〜5kg/メス 約4〜7kg
分布グリーンランドからユーラシアを経て北海道まで。日本では北海道で繁殖
生息環境海岸・湖・大きな川のほとり
食べ物魚が中心。水鳥や、動物の死骸も
寿命野生でおよそ20〜25年とされる
保全状況IUCN:LC(軽度懸念)/日本:国の天然記念物・環境省レッドリスト 絶滅危惧Ⅱ類(VU)
とまるオジロワシ
梢にとまるオジロワシ。全身は褐色(撮影:Charles J. Sharp/CC BY-SA 4.0)

白い尾をもつ褐色のワシ

くさび形の白い尾

大きさとメスの優位

オジロワシは、全長70〜98センチメートル、翼を広げた幅は2メートルを超える大型のワシです。メスがオスよりひとまわり大きく、体重で7キログラムに達することもあります。世界のワシのなかでも大きな種で、オオワシに次ぐ日本で二番目に大きなワシです。全身は茶色がかった褐色で、成鳥では頭から首にかけてが淡い色になります。

目印は白いくさび形の尾

成鳥の一番の目印は、真っ白でくさび形をした短い尾です。飛んでいるとき、褐色の体と白い尾の対比がよく目立ちます。くちばしと足は黄色く、目も淡い黄色をしています。若い個体は全身が濃い褐色で、尾もまだ白くありません。成鳥のように頭が淡く、尾が白くなるまでには、五年から八年ほどかかるとされます。

オオワシとの見分け

冬の北海道では、同じオジロワシ属のオオワシと同じ海辺で見られます。オオワシは黒っぽい体に白い肩と尾があり、くちばしがとても大きく鮮やかな橙色です。一方、オジロワシは全体が地味な褐色で、白いのは尾だけです。くちばしもやや小さめです。派手なオオワシと比べると、オジロワシは落ち着いた色あいのワシといえます。

ゆったりと輪を描く飛び方

オジロワシは、幅の広い板のような翼をもち、その先が指のように分かれて見えるのが特徴です。上昇気流に乗ると、ほとんど羽ばたかずに輪を描いて滑空します。ふだんの飛び方はゆったりとしていますが、獲物や敵を追うときには力強くはばたきます。水平にのばした大きな翼と短い尾のシルエットは、大型のワシらしい風格をもっています。

甲高い鳴き声

オジロワシは繁殖期などに、「クリッ」「カッ」と聞こえる甲高い声で鳴きます。大きな体のわりに、高く乾いた声です。つがいで鳴きかわしたり、縄張りを主張したりするときに、よく声を出します。その甲高い声は、静かな水辺では遠くまでよく響きます。

雪のなかのオジロワシ
雪のなかのオジロワシ(撮影:LG Nyqvist/CC BY-SA 4.0)

日本でも繁殖するワシ

北海道で暮らす留鳥

海や湖のほとりに巣をつくる

オオワシが日本では卵を産まないのに対し、日本で子育てをするのがオジロワシです。海岸や湖、大きな川のほとりにある高い木や崖に、枝を組んだ大きな巣をつくります。多くはつがいで同じ縄張りを長く守り、毎年同じ巣に手を入れて使います。日本でひなを育てる、数少ない大型のワシの一つです。

求愛と子育て

繁殖の時期には、つがいが華やかな求愛飛行を見せます。空高くで足をつかみ合い、くるくると回りながら落ちていくこともあります。産卵は2〜3月で、通常は2個の卵です。抱卵はおよそ38日で、ヒナは70〜75日ほどで巣立ちます。巣に近づく相手には、激しく声をあげて立ち向かいます。

冬はロシアからも加わる

北海道で一年じゅう暮らす個体に加え、冬にはロシアなど北の地域から渡ってきた個体も加わります。そのため、冬の北海道はオジロワシの数が多くなる季節です。オオワシとまじって、流氷の海や凍った湖のほとりで見られることもあります。春になると、渡ってきた個体は北へ帰っていきます。

魚を捕るオジロワシ
水面で魚をつかんだオジロワシ(撮影:Christoph Müller/CC BY 4.0)

魚と水鳥をとらえる

待ち伏せの漁

魚が主な獲物

オジロワシの主な食べ物は魚です。水辺の木や岩にとまってじっと待ち、水面近くに魚が来ると、素早く舞いおりて足でつかみ取ります。水に深くもぐることはなく、浅いところの魚を狙います。冬に魚が捕りにくいときは、動物の死骸も食べて飢えをしのぎます。

水鳥やタンチョウのひなも

オジロワシが狙うのは、魚だけではありません。カモやカモメなどの水鳥も襲います。北海道では、特別天然記念物のタンチョウのひなを襲った記録もあります。大きな体と鋭いかぎ爪をもつ、水辺の頂点に立つ狩人です。手に入るものを幅広く食べることが、厳しい冬を生き抜く力になっています。

飛ぶオジロワシ
滑空するオジロワシ。頭が淡く尾が白い成鳥(撮影:Yathin S Krishnappa/CC BY-SA 3.0)

世界でよみがえったワシ

一度は消え、呼びもどされた

オジロワシは、グリーンランドからユーラシアを経て北海道まで、とても広い範囲に分布します。しかし二十世紀には、狩猟や毒物・生息地の破壊によって、ヨーロッパの多くの地域で姿を消しました。その後、保護と「再導入」の取り組みによって、イギリスやアイルランドなどで再び繁殖するようになりました。スコットランドでは、いなくなってから半世紀以上をへて、ノルウェーから運ばれた若い鳥をもとに群れがよみがえりました。今ではその姿を目当てに観光客が訪れる、地域の人気者にもなっています。世界全体では数を取りもどし、いまでは絶滅の心配は小さい鳥とされています。

集まるオジロワシ
地上で競り合うオジロワシたち(撮影:Andreas Weith/CC BY-SA 4.0)

数を守られる天然記念物

日本での保護

世界では回復したオジロワシですが、日本で繁殖する個体は今も数が少なく、大切に守られています。1970年に国の天然記念物に、1993年には国内希少野生動植物種に指定されました。環境省のレッドリストでは、絶滅危惧Ⅱ類(VU)とされています。北海道で冬を越す数は、およそ1700羽と推定されています。近年は、狩猟で残されたシカの死骸に残る鉛の弾を食べてしまう鉛中毒や、風力発電の風車への衝突が新たな脅威とされています。

再導入とは、いなくなった土地に別の場所の個体を運んで放し、ふたたび住みつかせる保護の方法です。ヨーロッパのオジロワシで成果をあげました。

獲物を守るオジロワシ
獲物を守るオジロワシの成鳥(撮影:Andreas Weith/CC BY-SA 4.0)

オジロワシの豆知識

ハクトウワシと似たもの同士

オジロワシは、アメリカの国鳥ハクトウワシと、最も近い仲間の一つとされます。ハクトウワシが「白い頭」なのに対し、オジロワシは「白い尾」です。白い場所こそ違うものの、魚を捕る海のワシという暮らし方はよく似ています。ヨーロッパでは古くから力の象徴とされ、多くの国の紋章に描かれたワシのモデルになったとも言われます。

オオワシ
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参考

  • English Wikipedia「White-tailed eagle」(大きさ・分布・再導入・保全)
  • ウィキペディア「オジロワシ」(日本の繁殖・天然記念物・食性)
  • IUCN Red List「Haliaeetus albicilla」(保全状況の評価=軽度懸念)

画像の出典

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