アフリカゾウ

長鼻目(ゾウ)

アフリカゾウは、アフリカのサバンナで暮らすゾウです。現生の陸上動物では最も大きく、オスの肩の高さは3mを超えます。2021年には、森に住むマルミミゾウと別の種として評価されました。密猟の激しかった地域では、牙を持たないメスが半数を超えています。

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分類と学名

分類階層

  • 界:動物界 Animalia
  • 門:脊索動物門 Chordata
  • 綱:哺乳綱 Mammalia
  • 目:長鼻目 Proboscidea
  • 科:ゾウ科 Elephantidae
  • 属:アフリカゾウ属 Loxodonta
  • 種:アフリカゾウ Loxodonta africana

和名・英名

  • 和名:アフリカゾウ(別名:サバンナゾウ)
  • 英名:African bush elephant/African savanna elephant

名前の由来と別名

アフリカゾウには、サバンナゾウという別名があります。わざわざ「サバンナ」と付けるのは、アフリカに森のゾウがいるためです。コンゴ盆地の森に住むマルミミゾウは、かつてアフリカゾウの一員として扱われていました。両者を区別する必要が出てきたことで、この別名が使われます。

大きさ・分布などの基本データ

大きさ頭胴長 6〜7.5m/肩高 オス3.04〜3.36m・メス2.47〜2.73m(最大記録は肩高3.96m)
体重オス5.2〜6.9t・メス2.6〜3.5t(最大記録は推定10.4t)
分布サハラ以南のアフリカ(コンゴ盆地を除く)
生息環境サバンナ・森林。行動圏は100〜3,700平方km
食べものほぼ植物食で主に草。地域によっては600種の植物を食べた例/水は1日100〜300L
繁殖妊娠22か月/1回に1頭/出産間隔4〜9年/授乳2〜3年/初産は15〜18歳
寿命60〜80年
保全状況IUCN:EN(絶滅危惧・2021年評価)/ワシントン条約 附属書I(一部個体群は附属書II)
森にすむマルミミゾウの成獣と子
コンゴの森にすむマルミミゾウ。2021年にアフリカゾウとは別の種として評価された。Thomas Breuer, CC BY 2.5, via Wikimedia Commons

2021年に分けられた2種

190万年前に分かれた道

マルミミゾウとの分岐

アフリカに住むゾウは、長いあいだ「アフリカゾウ」1種として扱われてきました。今は、草原のアフリカゾウと森のマルミミゾウという2種に分けられています。

遺伝子を調べた研究では、2つの系統が分かれたのは少なくとも190万年前とされます。2005年の分類目録で独立種として扱われ、その後も遺伝的な証拠が積み重なりました。

分けて評価された初めての年

IUCNレッドリストが2種を別々に評価したのは、2021年3月が初めてです。それまでは「アフリカゾウ」1種として、危急(VU)に分類されていました。

分けた結果、両方とも評価が悪化します。アフリカゾウは絶滅危惧(EN)、マルミミゾウは近絶滅(CR)になりました。マルミミゾウは3世代にあたる93年で、大陸の個体数が80%以上減ったと推定されています。まとめて数えていたあいだは、森のゾウの落ちこみが草原のゾウの数に隠れていました。

長い牙を持つアフリカゾウ
牙の長いアフリカゾウ(ウガンダ)。Charles J. Sharp, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

牙のない個体の増加

密猟による淘汰

ゴロンゴーザの50年

アフリカゾウの牙は、雌雄ともに生えます。オスでは最大350cmに達し、記録に残る最長の牙は3.51m・117kgでした。牙を持たないメスが目立って増えた場所があります。

モザンビークのゴロンゴーザ国立公園では、内戦のあいだに武装勢力の密猟でゾウが約9割減りました。この公園で牙のないメスの割合は、1972年の18.5%から2000年には50.9%へと、およそ3倍になっています。タンザニアのルアハでも、メスの35%が牙を持ちません。

メスにだけ現れる理由

牙があると象牙を狙われ、生き残りにくくなります。牙のない個体のほうが子を残せた結果、その性質が広がったと考えられています。2021年に発表された研究では、この変化が数十年という短さで起きたことが示されました。

牙のなさが伝わる形は、X染色体にのった優性の性質と一致します。この型はオスの胎児にとっては致命的になるとみられ、牙のないゾウがメスに偏る理由と考えられています。ゲノムの解析では、哺乳類の歯の形成に関わる AMELX と MEP1a という遺伝子が候補に挙がっています。

ボツワナの草原を歩くアフリカゾウの子ども
ボツワナ・チョベ国立公園の子ゾウ。Diego Delso, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

名前で呼び合う声

低い声の会話

2024年の研究

アフリカゾウは、人の耳には聞き取りにくい低い声(ランブル)でやりとりします。この低い音は遠くまで伝わり、離れた相手とのやりとりに使われます。

2024年、この声に「名前」が含まれるという研究が発表されました。ケニアのアンボセリ国立公園などで1986年から2022年に録音された469回のランブルを、機械学習で解析したものです。音から受け手を当てる試みでは、27.5%を正しく言い当てました。対照として与えた音より高い数字です。

相手ごとに違う呼び方

研究では、17頭に録音を聞かせる実験も行われました。自分に向けられた声を流すと、ゾウはより早くスピーカーに近づき、より多く声を返します。ほかのゾウへ向けられた声では、反応が鈍くなりました。

イルカやオウムも仲間を呼びますが、その方法は相手の声をまねることです。アフリカゾウの呼び方は、相手の声や見た目とは関係のない音でした。人が名前を使うのと同じく、音と相手の結びつきが恣意的だとされます。

砂を浴びるアフリカゾウ
砂を浴びるアフリカゾウ。Charles J. Sharp, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

まばらな毛のはたらき

冷やすための毛

毛が薄いこと自体の理由

アフリカゾウの皮膚は灰色で、毛はまばらに生えています。体の大きな動物は熱を体内にためこみやすく、暑いサバンナでは体温を下げることが課題になります。毛皮は熱を逃がすのに不利なので、毛が薄いこと自体は理にかなっています。

放熱板としての毛

2012年の研究は、この「まばらさ」に別の意味を見つけました。まばらに立った毛が、機械の放熱板と同じように熱を逃がす、という説明です。計算と実測では、毛のおかげで放熱の効率が5%以上高まり、風の弱いときには最大で23%上がりました。

皮膚に刻まれた細かなしわも、体温の調節に関わります。しわのくぼみが水をためるため、水浴びや泥浴びのあと、体が長く冷えた状態を保てます。

水場に集まるアフリカゾウの群れ
ボツワナの水場に集まるアフリカゾウ。Diego Delso, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

個体数の推移

半世紀の減りかた

270万頭から41万頭へ

アフリカゾウの数は、記録に残る半世紀で大きく落ちました。1970年代には270万頭とされ、1980年には100万頭、1988年には62万頭と見積もられます。1995年には約28万頭が確認され、推定は58万頭でした。

2016年の大陸規模の調査では、415,428頭(誤差 ± 20,111頭)という数字が出ています。IUCNが2021年に絶滅危惧(EN)としたのも、3世代で個体数が50%以上減ったという評価にもとづきます。

南部に偏る分布

残った個体は、アフリカ全体に均等にいるわけではありません。2016年の調査では、全体の約42%にあたる293,447頭が、南部アフリカの9か国に集まっていました。

なかでもボツワナには131,626頭がいて、1か国で全体の3割ほどを占めます。

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参考

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