アデリーペンギン

海鳥類

アデリーペンギンは、南極大陸のまわりに広くすむ、中くらいの大きさのペンギンです。目のまわりの白い輪がトレードマーク。つぶらな瞳のかわいい見た目とはうらはらに、小石をぬすんだり、はげしくけんかをしたりします。意外とやんちゃな一面でも知られる、南極の人気者です。

スポンサーリンク

分類と学名

分類階層

  • 界:動物界 Animalia
  • 門:脊索動物門 Chordata
  • 綱:鳥綱 Aves
  • 目:ペンギン目 Sphenisciformes
  • 科:ペンギン科 Spheniscidae
  • 属:アデリーペンギン属 Pygoscelis
  • 種:アデリーペンギン Pygoscelis adeliae

和名・英名

  • 和名:アデリーペンギン
  • 英名:Adélie penguin

名前の由来

「アデリー」という名前は、南極の「アデリーランド」という土地にちなみます。この土地は、19世紀のフランスの探検家デュルヴィルが、自分の妻「アデール」の名をつけたものです。1840年、この探検隊がはじめてこのペンギンを見つけました。奥さんの名前が、めぐりめぐってペンギンの名前になった、ロマンのある由来です。

大きさ・分布などの基本データ

大きさ体長 約70cm・体重 約3.5〜6kg(中型)
分布南極大陸の沿岸とまわりの島々
生息環境南極の海氷・岩場の海岸と、まわりの海
食べ物南極オキアミ・小魚・イカ(海の中で捕る)
寿命野生でおよそ15〜20年
保全状況IUCN:軽度懸念(LC)

目の白い輪がトレードマーク

白い目の輪と黒白の体

アデリーペンギンは体長70cmほど、体重3.5〜6kgの中くらいのペンギンです。頭から背中は黒く、おなかは白い、ペンギンらしい配色です。いちばんの目印は、目のまわりをぐるりと囲む白い輪。この輪のおかげで、つぶらな瞳がとても愛らしく見えます。くちばしは短めで黒く、つけ根まで羽におおわれているのも特徴です。南極の寒さに耐えるため、羽はびっしりと生えそろい、皮膚の下には厚い脂肪をたくわえています。

アデリーペンギンの正面
白い目の輪がよくわかる正面の姿(ravas51, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons

そっくりな3種の見分け方

アデリーペンギンは、同じアデリーペンギン属のヒゲペンギン・ジェンツーペンギンとよく似ています。見分けるコツは顔のもようです。アデリーは目のまわりの白い輪、ヒゲはあごの下の黒い帯、ジェンツーは頭のてっぺんの白い帯が目印になります。顔を見れば、どの種かがわかります。

「性格が悪い」ってほんと?

小石をめぐる争いと「石どろぼう」

巣は小石を積み上げて作る

アデリーペンギンは、岩場に小石を積み上げて巣を作ります。小石で卵を地面から少し持ち上げ、冷えや水たまりから守るのです。ところが南極では、この小石が貴重な資源。そのため、となりの巣からこっそり石をぬすむ「石どろぼう」がよく見られます。石をめぐってくちばしやつばさではげしくけんかをすることもあり、「性格が悪い」と言われるゆえんになっています。

アデリーペンギンのコロニー
氷の上に集まるコロニー(ravas51, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons

石は「けんかの種」であり「愛の贈り物」

とはいえ、いい話もあります。オスがメスに、気に入った石をプレゼントして求婚するのです。求愛のときは、少しはなれた場所から胸をそらし、くちばしを上げて全身で大きく見せる「敬礼」のようなしぐさも見せます。小石は、けんかの種にも愛の贈り物にもなる、アデリーにとって特別なものなのです。

「突き落とす」といううわさの真相

「アデリーペンギンは、仲間を海に突き落として安全をたしかめる」といううわさを聞いたことがあるかもしれません。でも、これは少し大げさに伝わったお話です。ほんとうは、海の中に天敵のヒョウアザラシがいないか心配で、みんな飛び込むのをためらっているのです。おしくらまんじゅうのように押し合ううちに、最初の1羽が飛び込むと、あとはいっせいに続きます。この「最初に飛び込む勇気ある1羽」から、「ファーストペンギン」という言葉も生まれました。今では、リスクをおそれず最初に挑戦する人をあらわす言葉として、ビジネスの世界などでも使われています。

南極での暮らしと子育て

南極本土で繁殖する代表種

アデリーペンギンは、南極大陸の沿岸に広く分布し、南極そのもので繁殖する数少ないペンギンの一つです。夏に氷がとけて地面が出るあいだに、岩場でいっせいに繁殖します。大きなコロニーでは、十数万羽が集まることもあります。氷の上を移動するときは、おなかをつけてすべる「トボガン」で、上手に長い距離を進みます。

氷の上を歩くアデリーペンギン
氷の上を歩くアデリーペンギン(Jason Auch, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons

石の巣で2個の卵を育てる

繁殖はオスとメスのペアで行い、ふつう2個の卵を産みます。両親が交代で卵を温め、かわるがわる海へ餌をとりに行きます。生まれたひなは茶色い綿毛におおわれ、しばらく親に守られたあと、「クレイシュ」というひなの集まりをつくって育ちます。夏の終わりには羽が生えかわり、初めての海へと巣立っていきます。

食べもの・天敵と保全

食べものと天敵

アデリーペンギンの主な食べものは、南極の海にすむオキアミです。小魚やイカも食べ、水深50〜100mほどまでもぐって捕まえます。海ではヒョウアザラシ、陸では卵やひなをねらうトウゾクカモメが天敵です。アデリーペンギンは南極の短い夏にすべてをかけるため、餌場の海と繁殖地のあいだを、休みなく往復します。オキアミの多い海が近くにあるかどうかが、子育ての成功を大きく左右します。

気候変動の「ものさし」と、会える場所

アデリーペンギンは、海氷にたよって生きています。そのため、その数は地球温暖化の影響を映す「ものさし」として注目されています。海氷が減っている西南極ではコロニーが減る一方、東南極では増えている場所もあり、地域によって違いが見られます。全体としては数が多く、IUCNレッドリストでは「軽度懸念(LC)」とされています。日本では、名古屋港水族館で会うことができ、南極のペンギンを間近で観察できる貴重な場所になっています。

ペンギン【総合】
ペンギンは、空を飛ぶのをやめ、海の中を「飛ぶ」ように泳ぐことを選んだ鳥です。すべて南半球にすみ、南極から赤道のガラパゴス諸島まで、世界に18種ほどがいます。黒と白の「タキシード」すがたと、よちよち歩き、けんめいな子育てで親しまれています。分...
ヒゲペンギン
ヒゲペンギンは、あごの下を横切る細い黒い帯が目印のペンギンです。この帯がヘルメットのあごひものように見えることから、この名前がつきました。見た目はかわいらしいのですが、実はペンギンの中でいちばん気が強い、けんかっ早い種としても知られています...

参考

  • IUCN Red List: Pygoscelis adeliae(軽度懸念LC)
  • Animal Diversity Web「Pygoscelis adeliae」(求愛の”敬礼”ディスプレイ・鳴き声と前年の巣での再会・2卵とクレイシュ・性成熟3〜6歳)
  • Wikipedia「Adélie penguin」英語版(名前の由来=アデール/石の巣・西南極減/東南極増の気候変動指標)

画像出典

アイキャッチ画像: Reinhard Jahn, CC BY-SA 2.0 DE, via Wikimedia Commons

タイトルとURLをコピーしました