マカロニペンギン

海鳥類

マカロニペンギンは、額から流れるあざやかな黄色い冠羽(かんむり羽)がトレードマークのペンギンです。名前を聞くと食べ物のマカロニを思いうかべますが、じつはまったく別の由来があります。しかも、世界でいちばん数が多いペンギンでもあるのです。

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分類と学名

分類階層

  • 界:動物界 Animalia
  • 門:脊索動物門 Chordata
  • 綱:鳥綱 Aves
  • 目:ペンギン目 Sphenisciformes
  • 科:ペンギン科 Spheniscidae
  • 属:マカロニペンギン属 Eudyptes
  • 種:マカロニペンギン Eudyptes chrysolophus

和名・英名

  • 和名:マカロニペンギン
  • 英名:Macaroni penguin

大きさ・分布などの基本データ

大きさ体長 約70cm・体重 約5.5kg(大型)
分布亜南極〜南極半島の島々(南大西洋・インド洋)
生息環境岩場の海岸・草地の斜面・まわりの海
食べ物オキアミ・小魚・イカ(海の中で捕る)
寿命野生でおよそ10〜20年
保全状況IUCN:危急(VU)

名前の由来はパスタじゃない!

マカロニペンギンの名前は、意外にも食べ物のマカロニとは関係ありません。18世紀のイギリスには、髪や服をド派手に飾り立てる、おしゃれな若者た違いました。彼らは「マカロニ」と呼ばれ、当時の流行の最先端でした。このペンギンの黄色い冠羽が、その派手な「マカロニ」の飾りにそっくりだったことから、船乗りたちがこの名をつけたのです。学名のchrysolophus(クリソロフス)も、「金色の冠羽」という意味を持っています。パスタではなく、昔の「おしゃれさん」が名前の由来でした。

額の黄色い冠羽がトレードマーク

額の中央から広がる金色の冠羽

額の中央でつながる金色の冠羽

マカロニペンギンは体長70cmほど、体重5.5kg前後の大きめのペンギンです。頭からせなかは黒く、おなかは白色です。いちばんの目印は、額の中央から目の上を通って後ろへ広がる、あざやかな黄色い冠羽です。

マカロニペンギンの群れと黄色い冠羽
額の中央でつながる金色の冠羽。大きなコロニーで暮らす(Sastognuti, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

赤い目とオレンジのくちばし

目は赤色で、くちばしの付け根にはピンクの地肌が見えます。くちばしは大きくふくらんだオレンジ色で、とても目立ちます。この立派な冠羽は、生まれてすぐの子どもにはなく、3〜4歳ごろにようやく完成します。

イワトビ・ロイヤルとの見分け方

マカロニペンギンは、同じ属のイワトビペンギンやロイヤルペンギンとよく似ています。イワトビペンギンとは、冠羽の付き方が違います。イワトビは左右の眉が離れていますが、マカロニは額の中央で冠羽がつながっているのが特徴です。ロイヤルペンギンとはとても近い仲間で、見た目はそっくり。違いは顔の色で、マカロニは顔が黒く、ロイヤルは顔が白くなっています。オスとメスはよく似ていますが、オスのほうが少し大きく、くちばしも大きめです。この体やくちばしの大きさは、オスとメスを見分ける手がかりにもなります。

世界でいちばん数が多いペンギン

数と大きさが世界一のコロニー

マカロニペンギンは、じつは世界でいちばん数が多いペンギンです。その数はおよそ1800万羽とされ、ひとつのコロニー(集団繁殖地)に10万羽が集まることもあります。これは、すべてのペンギンの中でもっとも大きく、こみあった集団です。あまりに多くが集まるため、大きなコロニーは8〜10kmもはなれた沖から、においで分かるほどだといわれます。

海をいちばん食べる大食漢

おどろくのは、その食べる量です。マカロニペンギンは、海鳥の中でいちばん多くの海の生きものを食べる種で、1年間に約900万トンものオキアミを食べていると計算されています。小さな体をたくさん集めて、南の海の生態系をささえる大切な存在です。餌をとるときには、小さな石をわざと飲みこむことも知られています。これは、深くもぐるときの重りにしたり、かたいえさをすりつぶしたりするのに役立つと考えられています。繁殖を終えると半年ほど海に出て、遠くまで旅をします。フランス領ケルゲレン諸島のマカロニペンギンには、半年で1万km以上も泳いだ記録があります。

雪の上のマカロニペンギン
南極周辺の雪の上を歩くマカロニペンギン(左)。右はヒゲペンギン(lwolfartist, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons

子育てと保全

2個の卵と、親の長い断食

繁殖は10月の終わりごろに始まり、11月に卵を産みます。2個の卵を産みますが、じつは1個目の卵は2個目よりずっと小さく、ふつうは育ちません。育つのはほとんどが大きい2個目のヒナです。卵を温めるあいだ、親鳥は海に出られず、長いあいだ何も食べずにがんばります。オスもメスも、この時期に体重の3〜4割を失うほどの断食に耐えるのです。ふ化したヒナは、まずオスが約23〜25日守り、メスが海から餌を運びます。その後ヒナは、ほかのヒナと集まった「クレイシュ」という群れをつくり、身を寄せ合って身を守ります。生後60〜70日ほどで大人の羽に生えかわり、海へと巣立っていきます。マカロニペンギンは大きなコロニーで暮らします。そのため鳴き声やおじぎのような動きを使って、たがいにあいさつしたり、なわばりを主張したりします。

数が多くても減っている危急種

これほど数の多いマカロニペンギンですが、1970年代の半ばごろから、各地で数が減り続けています。サウスジョージア島では、20年ほどで個体数がおよそ半分になりました。そのためIUCNレッドリストでは「危急(VU)」に指定されています。数が多いから安心、とはいえません。海の環境の変化や、えさをめぐる状況が、その未来に影を落としています。とくに、地球温暖化によって主食のオキアミが減ることが心配されています。世界一数の多いペンギンだからこそ、その変化に早めに気づき、見守っていくことが大切です。

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参考

  • IUCN Red List: Eudyptes chrysolophus(危急VU・約1800万羽だが減少/サウスジョージアで半減)
  • Animal Diversity Web「Eudyptes chrysolophus」(コロニーは最大250万羽・8〜10km沖からにおう/中実の骨で深く長く潜る/陸では近視だが水中の視力は抜群/2卵で1羽・オス23〜25日抱雛)
  • Wikipedia「Macaroni penguin」英語版(名前の由来=18世紀のマカロニ・ファッション/世界最多・海鳥最大の消費者900万トン/ロイヤルとの近縁・顔の色/2卵と親の断食)

画像出典

アイキャッチ画像: Godot13, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

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