ヒョウモントカゲモドキ

トカゲ類

ヒョウモントカゲモドキは、中東から南アジアの乾いた土地に住むヤモリの仲間です。ヒョウのような斑点と、動くまぶたを持つことで知られます。丈夫で飼いやすく、「レオパ」の愛称で世界じゅうにファンがいます。壁を登れない足や、脂肪を蓄える太い尾など、ヤモリらしくない体のつくりも見どころです。

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分類と学名

分類階層

  • 界:動物界 Animalia
  • 門:脊索動物門 Chordata
  • 綱:爬虫綱 Reptilia
  • 目:有鱗目 Squamata
  • 科:トカゲモドキ科 Eublepharidae
  • 属:アジアトカゲモドキ属 Eublepharis
  • 種:ヒョウモントカゲモドキ Eublepharis macularius

和名・英名

  • 和名:ヒョウモントカゲモドキ
  • 英名:Leopard gecko

名前の由来

「ヒョウモン」は、体を覆うヒョウ柄の黒い斑点にちなみます。「トカゲモドキ」は、ヤモリでありながらトカゲに似た見た目をもつことをあらわします。多くのヤモリと違って動くまぶたを持つため、ヤモリらしくない仲間として区別されてきました。属名の Eublepharis は「良いまぶた」という意味です。

大きさ・分布などの基本データ

大きさ全長 約18〜25cm(尾を含む。オスがやや大きい)
体重約50〜80g
分布アフガニスタン・パキスタン・イラン・インド北西部など
生息環境岩まじりの乾いた草原・砂漠のへり
食べもの昆虫食(コオロギ・ガの幼虫など)
寿命野生でおよそ5年/飼育下は10〜20年
保全状況IUCN: 軽度懸念(LC)

体のつくり ― ヤモリらしくない体

動くまぶたを持つヒョウモントカゲモドキの顔
ProtoBit, Public domain, via Wikimedia Commons

動くまぶたと目

まぶたを持つ理由

ヤモリの多くは、まぶたを持ちません。目は透明な膜で覆われ、舌でなめて汚れを落とします。これに対しヒョウモントカゲモドキは、動く上下のまぶたを持つ点が特徴です。まばたきができ、地面ですごす乾いた暮らしのなかで、砂やほこりから目を守るのに役立つと考えられています。

夜の暗さに合った目

目は夜の暗さに合ったつくりで、わずかな光でも獲物をとらえます。ひとみは明るい場所では細い縦の線に閉じ、暗くなると大きく開く仕組み。これは、夜に狩りをする動物に共通する特徴です。日中は岩の隙間や巣穴に身を潜め、暗くなってから動きだします。

壁を登れない足

吸盤のない趾

壁や天井を歩くヤモリは、趾の裏に細かな毛の並んだ吸盤のような構造を持ちます。ヒョウモントカゲモドキの趾には、この構造がありません。そのためガラスや垂直の壁を登ることができず、地面を歩いて暮らします。飼育下でつるつるした壁を登れないのも、この体のつくりによるものです。

かわりの爪

吸盤を持たないかわりに、趾の先には小さな爪があります。この爪で、岩場やざらついた地面をしっかりとつかむ仕組み。すべりやすい場所は苦手でも、でこぼこした自然の地面はよく歩きます。もともと岩まじりの土地で暮らす体に合った足です。

脂肪を蓄える太い尾

尾は栄養タンク

ヒョウモントカゲモドキの尾は、ずんぐりと太く膨らんでいます。この尾に蓄えられるのは脂肪で、ラクダのこぶのような役目をはたす貯蔵庫。餌の乏しい時期には、蓄えた脂肪を使って生きのびます。健康な個体ほど尾が太く、やせると細くなるため、体調のめやすにもなるとされます。

切れても再生する尾

敵に襲われると、尾を自分で切り離して逃げることがあります。切れた尾はしばらくくねって動き、敵の注意を引きつけるおとり。尾はやがて再生しますが、生えかわった尾は元より丸みを帯び、模様も変わります。ただし大切な脂肪の貯蔵庫を失うため、自切は最後の手段だとされます。

暮らしと繁殖

砂の上にいるヒョウモントカゲモドキ
George Chernilevsky, Public domain, via Wikimedia Commons

夜に活動する地上のハンター

ヒョウモントカゲモドキは、昆虫を主に食べる肉食のヤモリです。コオロギやガの幼虫、クモなどを待ち伏せて捕らえる狩り。獲物を見つけると、そっと近づいて一気に食いつきます。乾いた土地では餌がいつも豊富とはかぎらず、尾に蓄えた脂肪が暮らしを支えます。まれに、弱った小さなトカゲなどを口にすることもあるとされます。

脱皮をくり返して育つ

爬虫類のヒョウモントカゲモドキは、成長にあわせて古い皮を脱ぎ捨てます。これが脱皮です。近づくと体色は白っぽくくすみ、やがて皮がめくれてくるのが合図。脱いだ皮を、その場に残さず自分で食べてしまうことも多いとされます。栄養を無駄にせず、においの手がかりを敵に残さない意味があると考えられています。乾燥が強すぎると皮がうまく脱げず、指先などに残ってしまう場合もあるようです。

温度で決まる子の性別

繁殖は主に暖かい季節で、メスは一度に2個ほどの卵を、期間をおいて何回か産みます。この仲間では、卵があたためられる温度で子の性別が決まります。中くらいの温度ではオスが、低めや高めの温度ではメスが多く生まれるとされます。飼育下では、この性質を利用してオスとメスを産み分けることもあるそうです。

ペットとしてのヒョウモントカゲモドキ

色変わり(モルフ)のヒョウモントカゲモドキ
Javcobre, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

世界で人気のペットトカゲ

ヒョウモントカゲモドキは、フトアゴヒゲトカゲと並ぶ人気の爬虫類です。おとなしく丈夫で、初めて爬虫類を飼う人にも向くとされます。飼育下では10年をこえて生きることも多く、長いつきあいになります。「最初に家畜化されたトカゲ」と呼ばれることもあり、今出回る個体のほとんどは飼育下で殖やされたものです。

たくさんの色や模様(モルフ)

野生のヒョウモントカゲモドキは、黄色から褐色の地に黒い斑点が散る姿です。飼育下では長い年月をかけて品種改良が進み、さまざまな色や模様の個体が生み出されてきました。全身が白いもの、斑点のない無地のもの、体色の淡いアルビノなどが知られます。こうした色変わりは「モルフ」と呼ばれ、人気を支える大きな理由の一つです。

オスとメスの違い

ヒョウモントカゲモドキのオスとメスは、尾の付け根で見分けられます。オスは付け根に、V字に並んだ小さな穴(前肛孔)が目立ちます。そのすぐ後ろには、半陰茎の入ったふくらみが左右に見えます。メスではこれらがはっきりせず、体つきもやや小ぶり。子どものうちは判別が難しく、育つにつれて分かりやすくなります。

ニシアフリカトカゲモドキとの違い

よく似た仲間に、ニシアフリカトカゲモドキ(通称ニシアフ)がいます。名前のとおり西アフリカに住む別の種で、同じトカゲモドキ科に属します。ヒョウモントカゲモドキよりも体つきがずんぐりとして、尾が短めです。体色は落ち着いた褐色系が多く、飼育ではこの二種がよく比べられます。

参考

  • Wikipedia(英語版)「Common leopard gecko」― 形態・分布・生態・繁殖(温度依存の性決定)・飼育の各節
  • IUCN レッドリスト「Eublepharis macularius」― 分布・保全状況(軽度懸念)
  • The Reptile Database「Eublepharis macularius」― 分類・学名・分布情報

画像出典

サムネイル画像: Irhanz, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

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