カミツキガメ

カメ類

カミツキガメは、北アメリカ原産の大型の淡水ガメです。大きな頭と長い首を持ち、鋭いくちばしで素早く噛みつくことで知られます。日本では、人に捨てられたものが野外で数を増やし、千葉県などに定着しました。特定外来生物に指定され、飼うことは法律で禁じられています。

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分類と学名

分類階層

  • 界:動物界 Animalia
  • 門:脊索動物門 Chordata
  • 綱:爬虫綱 Reptilia
  • 目:カメ目 Testudines
  • 科:カミツキガメ科 Chelydridae
  • 属:カミツキガメ属 Chelydra
  • 種:カミツキガメ Chelydra serpentina

和名・英名

  • 和名:カミツキガメ
  • 英名:Common snapping turtle

名前の由来

「カミツキガメ」の名は、その名のとおり噛みつく習性に由来します。英名の snapping も、あごを素早く閉じる動きをあらわす言葉です。学名の種小名 serpentina は「ヘビのような」という意味で、長くよく動く首をさしています。「ガメ」とついても、分類のうえではワニではなくカメのなかま、つまり爬虫類です。日本では、姿や性質のよく似たワニガメと混同されることもあります。

大きさ・分布などの基本データ

大きさ甲長 約25〜47cm・体重 約5〜16kg(オスが大きい)
分布北アメリカ(日本には外来種として定着)
生息環境池・沼・川など、流れのゆるやかな水辺
食べもの雑食(魚・カエル・水草・死骸・水鳥のひななど)
寿命野生でおよそ30〜50年(さらに長い例も)
保全状況IUCN: 軽度懸念(LC。日本では特定外来生物)

体と、強い噛みつき

長い首を伸ばすカミツキガメ
USFWS Mountain Prairie, Public domain, via Wikimedia Commons

大きな頭と長い首

首を伸ばして噛む

カミツキガメの首は長く、とてもよく動きます。頭を体の横や後ろまで回せるほどで、思わぬ方向から噛みついてきます。ふだんはゆっくりとした動きですが、噛むときの首の動きは非常に素早いものです。獲物をとらえるときにも、この長い首が大きな武器になります。うかつに手を出すと、思わぬ方向から噛みつかれる危険があります。

甲羅に隠れられない体

多くのカメは、危険を感じると手足や頭を甲羅の中に引っ込めます。ところがカミツキガメは、おなか側の甲羅が小さく、体を十分に隠せません。背中の甲羅はごつごつと硬いものの、体全体を守るには小さすぎます。守るための「盾」が使えないぶん、噛みつくことで身を守るようになりました。攻撃的に見える性質も、この体のつくりと深く結びついています。

なぜ噛みつくのか

陸では気が荒くなる

カミツキガメは、陸に上がると気が荒くなることで知られます。逃げ込む水がなく、身を隠せない陸の上では、噛むことが数少ない防御の手段になります。産卵などで陸へ出たメスに近づくのは、とくに危険とされます。おとなしそうに見えても、追いつめると激しく噛みついてきます。毎年、不用意に近づいてけがをする人も各地で出ています。

水の中ではおとなしい

一方、水の中でのカミツキガメは、むしろおとなしい性質です。人の気配を感じると、多くはそっと水底へ逃げていきます。じっと身を潜め、争いを避けようとする姿が観察されています。陸での荒々しさは、逃げ場のない状況で身を守るための行動だと考えられています。

噛む力はどれくらいか

鋭いくちばし

カミツキガメの口には歯がなく、代わりに鋭いくちばしがあります。このくちばしで、魚やカエル、水草まで幅広くくわえて食べます。硬い木の枝を噛み切れるほどの力がある、といわれることもあります。硬いものをくわえたときの力は、たしかに侮れません。

「指を切る」は本当か

カミツキガメは「指を切り落とす」と語られることがあります。しかし研究では、噛む力は人の歯とほぼ同じ程度と測られています。この種で指を切断したと確かめられた例は、これまで報告されていません。とはいえ大きな個体に噛まれれば大けがをするため、けっして油断はできません。子どもの手ほどの大きさの個体でも、指を強く挟む力は十分に持っています。

暮らしと繁殖

水中のカミツキガメ
George Chernilevsky, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons

水底に潜む雑食

カミツキガメは、池や沼の底に潜んで暮らします。落ち葉や泥に紛れ、近づいた獲物を待ち伏せて捕らえるのが得意です。食べものは幅広く、魚やカエル、水草から死骸まで口にします。ときには、水鳥のひなを襲うこともあるとされます。北の寒い地方では、冬のあいだ水底でじっと動きを止めて過ごすことも知られています。非常に長生きで、100年をこえる記録もあるとされます。

陸に上がって産卵する

繁殖の時期になると、メスは陸へ上がって産卵の場所を探します。柔らかい土に穴を掘り、一度に数十個の卵を産みます。卵は、あたためられる温度によって、生まれる子の性別が変わるとされます。やがて子ガメは自分で穴からはい出し、水辺を目指して歩き始めます。

ワニガメとの違い、そして特定外来生物

ワニガメとの見分け

草地にいるカミツキガメの全身
D. Gordon E. Robertson, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

カミツキガメとよく混同されるのが、同じ科のワニガメです。ワニガメはさらに大型で、甲羅にごつごつした突起が三列に並びます。口の中には、ミミズに似た舌があり、これを動かして魚をおびき寄せます。カミツキガメの甲羅は比較的なめらかで、待ち伏せてから首を伸ばし、獲物にさっと噛みつくのが特徴です。ワニガメもまた特定外来生物で、どちらも日本では飼うことができません。

飼ってはいけない亀

カミツキガメは、原産地の北アメリカでは食用にもされてきた動物です。日本にはペットとして輸入されましたが、飼いきれずに捨てられた個体が各地の水辺で増えていきました。2005年には特定外来生物に指定され、飼育や販売、生きたままの移動が原則として禁じられています。今では、無許可で飼うと法律で罰せられます。野外で見つかった個体は、自治体などによって捕獲され、防除の対象とされています。

参考

  • Wikipedia(英語版)「Common snapping turtle」― 形態・生態・噛む力・繁殖・外来の各節
  • 環境省 日本の外来種対策― 特定外来生物「カミツキガメ」の解説と規制
  • IUCN レッドリスト「Chelydra serpentina」― 分布・保全状況(軽度懸念)

画像出典

サムネイル画像: USFWS Mountain Prairie, Public domain, via Wikimedia Commons

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