ニシアフリカトカゲモドキは、西アフリカの乾いた土地に住むヤモリの仲間です。人気のヒョウモントカゲモドキ(レオパ)とよく似た、太い尾と動くまぶたを持ちます。背中に白い線が入る個体が多く、湿った隠れ家を好む点が特徴です。「ニシアフ」の愛称で、ペットとしても親しまれています。
分類と学名
分類階層
- 界:動物界 Animalia
- 門:脊索動物門 Chordata
- 綱:爬虫綱 Reptilia
- 目:有鱗目 Squamata
- 科:トカゲモドキ科 Eublepharidae
- 属:アフリカトカゲモドキ属 Hemitheconyx
- 種:ニシアフリカトカゲモドキ Hemitheconyx caudicinctus
和名・英名
- 和名:ニシアフリカトカゲモドキ
- 英名:African fat-tailed gecko
名前の由来
和名は、西アフリカに住むトカゲモドキであることにちなみます。英名の「fat-tailed(太い尾)」は、脂肪をためたずんぐりした尾をあらわします。日本では「ニシアフ」と略して呼ばれることが多く、ヒョウモントカゲモドキ(レオパ)と並ぶ人気の仲間です。学名の種小名 caudicinctus は「尾に帯のある」という意味です。
大きさ・分布などの基本データ
| 大きさ | 全長 約18〜25cm(尾を含む) |
|---|---|
| 体重 | 約50〜75g |
| 分布 | 西アフリカ(セネガルからカメルーンあたりまで) |
| 生息環境 | サバンナや乾いた低木林。湿り気のある隠れ家を好む |
| 食べもの | 昆虫食(コオロギ・ミミズ・ガの幼虫など) |
| 寿命 | 飼育下で15〜20年ほど |
| 保全状況 | IUCN: 軽度懸念(LC) |
体つきと特徴

太い尾のはたらき
脂肪をためるタンク
ニシアフリカトカゲモドキの尾は、ずんぐりと太く膨らんでいます。この尾に蓄えられるのは脂肪で、餌の乏しい時期の栄養源。名前の「太い尾」も、ここに由来します。尾の太さは、その個体の栄養状態のあらわれ。健康な個体ほど尾は太く、やせると細くなります。
切れても再生する尾
敵に襲われると、尾を自分で切り離して逃げることがあります。切れた尾はしばらく動き、敵の気をそらすおとり。尾はやがて再生しますが、生えかわった尾は元の形と変わり、丸みを帯びます。ただし大切な脂肪の貯蔵庫を失うため、これは最後の手段だとされます。
動くまぶたと地上の暮らし
まぶたを持つトカゲモドキ
ヤモリの多くは、まぶたを持たない生きものです。これに対しトカゲモドキ科のニシアフリカトカゲモドキは、動く上下のまぶたを持ち、まばたきができます。瞳は細い縦長で、夜の暗さに合ったつくりです。この動くまぶたは、レオパとも共通する仲間の目印になっています。
壁を登れない足
壁や天井を歩くヤモリは、趾の裏に吸盤のような構造を持ちます。ニシアフリカトカゲモドキの趾には、この構造がありません。そのため垂直の壁を登ることができず、地面を歩いて暮らす地上性のヤモリです。趾の先の小さな爪で、でこぼこした地面をしっかりつかみます。
背中の白い線
個体で違う模様
体色は、茶色と淡い褐色の帯が交互に並ぶのが基本です。多くの個体では、背中の中央に一本の白い線が頭から尾へと走ります。この白い線は個体によってはっきりしたり、薄かったりと差があります。飼育下では、白い線を強く出した個体なども選び出されてきました。
レオパより落ち着いた色あい
ヒョウモントカゲモドキが黄色地に黒い斑点なのに対し、ニシアフは茶系の帯模様です。全体に色あいが落ち着いているのも、レオパとは異なる点です。うろこは細かい粒状で、体の表面はざらついた質感。この地味な体色は、乾いた土や落ち葉の上で身を隠すのに役立ちます。
暮らしと繁殖

湿った隠れ家を好む夜行性
ニシアフリカトカゲモドキは、夜に活動する肉食のヤモリです。日中は、シロアリの塚や岩の下など、湿り気のある暗い場所に身をひそめます。乾ききった砂漠よりも、少し湿った隠れ家を好む点が知られています。夜になるとはい出して、コオロギやミミズなどの小さな生きものを捕らえます。
卵と温度で決まる性別
繁殖の時期は、主に暖かい季節。メスは一度に2個ほどの卵を、期間をおいて何回か産みます。レオパと同じくこの仲間では、卵があたためられる温度によって、生まれる子がオスかメスかが決まると考えられています。生まれたばかりの子は、とくにくっきりとした帯模様。成長とともに、模様は少しずつ変わっていきます。
ペットとしてのニシアフ
レオパと並ぶ人気種
ニシアフリカトカゲモドキは、レオパに次ぐ人気の飼育種として知られます。動きはゆっくりで、おとなしい性質のものが多いとされます。飼育下では15〜20年ほど生きることもある、寿命の長い種です。乾いた環境を好むレオパと違い、こちらは湿り気のある隠れ家で暮らします。
たくさんのモルフ(色変わり)
飼育下では長い年月をかけて、さまざまな色や模様の個体が生み出されてきました。こうした色変わりは「モルフ」と呼ばれます。代表的なのは、体色の淡いアルビノや、白い部分が広がったホワイトアウト。模様の名にちなむオレオといった品種もあり、野生の帯模様とはずいぶん印象の異なる個体も親しまれています。
ヒョウモントカゲモドキ(レオパ)との違い
分布と好む環境
二種はよく似ていますが、住む地域が大きく異なります。レオパが中東から南アジアに住むのに対し、ニシアフは西アフリカの生きものです。レオパが乾いた土地を好むのに対し、ニシアフはより湿った隠れ家を好みます。同じトカゲモドキ科でも、暮らす環境の湿り気は対照的です。
見た目と性格
見た目では、黄色に黒斑のレオパと、茶系の帯模様のニシアフで見分けられます。背中に白い線があれば、ニシアフの可能性が高いといえます。性格の面では、ニシアフのほうがやや臆病とされることがあります。どちらも動くまぶたを持つ、同じトカゲモドキ科の仲間です。

参考
- Wikipedia(英語版)「African fat-tailed gecko」― 形態・分布・生態・飼育の各節
- IUCN レッドリスト「Hemitheconyx caudicinctus」― 分布・保全状況(軽度懸念)
- The Reptile Database「Hemitheconyx caudicinctus」― 分類・学名・分布情報


