ミーアキャット

食肉目(ネコ・イヌ・クマ)

ミーアキャットは、南アフリカの乾いた大地に群れで暮らす小さな肉食獣です。後ろ足で立って見張りをする姿で知られ、映画『ライオン・キング』のティモンのモデルにもなりました。マングースの仲間で、毒を持つサソリさえ食べてしまう、砂漠の暮らしに長けたハンターです。

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分類と学名

分類階層

  • 界:動物界 Animalia
  • 門:脊索動物門 Chordata
  • 綱:哺乳綱 Mammalia
  • 目:食肉目 Carnivora
  • 科:マングース科 Herpestidae
  • 属:スリカータ属 Suricata
  • 種:ミーアキャット Suricata suricatta

和名・英名

  • 和名:ミーアキャット
  • 英名:Meerkat(suricate)

名前の由来

「キャット」と名につきますが、ネコの仲間ではありません。食肉目マングース科に属し、学名の Suricata から「スリカータ」とも呼ばれます。英名の meerkat はアフリカーンス語に由来し、もとは別の動物を指した言葉が移り変わったものとされます。3つの亜種が知られ、ナミビアやアンゴラの個体は色合いがやや異なります。

大きさ・分布などの基本データ

大きさ頭胴長 約24〜35cm・尾長 約17〜25cm・体重 約0.6〜1kg
分布アフリカ南部(南アフリカ・ボツワナ・ナミビア・アンゴラ南西部)
生息環境年降水量600mm未満の乾いた草原・岩場(カラハリ砂漠など)
食べもの雑食寄りの肉食(昆虫・サソリ・小型爬虫類・卵・植物)
寿命野生でおよそ5〜15年(飼育下で20年をこえた例も)
保全状況IUCN: 軽度懸念(LC)

砂漠を生きる体つき

後ろ足で立って見張るミーアキャット
Basile Morin, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

立ち上がって見張る体

二本足で立つ姿勢

ミーアキャットは、後ろ足と尾で体を支え、まっすぐ立ち上がることができます。この姿勢は遠くまで見渡すのに向いていて、天敵の接近をいち早く見つけるのに役立ちます。立った高さは30cmほどで、開けた草原では小さな見張り塔のようです。太陽に体を向けて立ち、冷えた朝の体を温める姿もよく見られます。

目のまわりの黒いふち

顔でよく目立つのが、目のまわりを縁どる黒い模様です。この黒は日ざしの照り返しをやわらげ、明るい空を見上げやすくすると考えられています。大きな目は頭骨の2割をこえる広さを占め、上空の猛禽を早く見つけるのに向いています。日ざしの強い砂漠で空を警戒する暮らしに、よく合った顔のつくりです。

掘るための体

長く曲がった前足の爪

前足には、内側に曲がった長い爪が備わっています。この爪で乾いた砂を勢いよくかき出し、餌を掘り当てたり巣穴を広げたりします。地中の獲物を掘り出すのは日課で、一日の多くを土を掘って過ごします。マングース科の仲間らしく、地面の下をさぐる暮らしに適した手をしています。

砂をふせぐ耳

耳は小さく、掘るときには閉じることができます。これは、かき出した砂が耳の中に入るのを防ぐしくみです。地下に張りめぐらせた巣穴は直径5mほどに達し、出入口が15前後、深さは1.5mにおよびます。昼の暑さや夜の冷えをやわらげる、群れの避難所にもなっています。

群れと見張りの社会

子とともに見張るミーアキャットの群れ
Charles J. Sharp, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

交代で立つ見張り役

仲間が餌を探すあいだ空を見る

群れは2〜30頭ほどで暮らし、互いに助け合って生きています。仲間が地面を掘って餌を探すあいだ、一頭が高い場所に立って見張りをします。見張り役は交代制です。危険がないときは低い声を出し、「安全だ」と仲間に知らせ続けます。この声がやむと、餌を探す仲間はすぐに顔を上げて警戒します。

天敵ごとに変わる鳴き声

見張りが敵を見つけると、鋭い警報の声をあげて仲間に知らせます。その鳴き声は12通りほどに使い分けられ、空の敵と地上の敵とで種類が変わるとされます。空から猛禽が迫るとその場に伏せ、地上の敵には一斉に巣穴へ逃げ込みます。声を聞き分けた仲間が、正しい逃げ方をとれるしくみです。

助け合う子育て

子を産むのは主に一組

群れには順位があり、子を産むのは主に優位なオスとメスの一組です。優位なメスは条件がよい年には、一年に最大4回も出産します。妊娠期間はおよそ60〜70日で、一度に3〜7頭の子が生まれます。生まれた子は約100gと小さく、16日ほどで巣穴の外に姿を見せ始めます。

手伝う仲間たち

子育ては、親だけの仕事ではありません。繁殖しない下位の仲間も、子守りや授乳を引き受けます。巣穴に残って子を守る役や、乳を分け与える個体もいます。見張りや餌運びも群れ全体で分担し、子は多くの手に守られて育ちます。こうした助け合いは、天敵の多い乾いた土地で生き抜くための工夫だと考えられています。

サソリも食べる採食

砂を掘って餌を探すミーアキャット
Hans Hillewaert, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

毒に強い体

ミーアキャットは昆虫を中心に、小型の爬虫類や卵、植物まで食べます。なかでもよく知られるのが、毒を持つサソリを食べることです。ミーアキャットはサソリの毒に強く、多少刺されても平気だとされます。それでも用心のため、まず毒針をかみ取ってから食べる姿が観察されています。

子にサソリの扱いを教える

おとなは、危険なサソリの食べ方を子に教えることが知られています。はじめは毒針を取り除いたサソリを与え、成長に合わせて生きたものへと段階を上げていきます。動物が子に狩りのしかたを教える例は珍しく、研究者の注目を集めてきました。乾いた土地で毒のある獲物を安全に食べる知恵が、こうして親から子へ受けつがれます。

マングース科という素性

マングースの仲間

ミーアキャットは、ヘビと戦うことで有名なマングースと同じ科の動物です。同じ科でも、マングースの多くが単独で暮らすのに対し、ミーアキャットは大きな群れをつくります。地面を掘って餌を探す点や、細長い体つきには、マングース科らしさがよく表れています。「何科?」と問われれば、答えはネコ科でもイヌ科でもなく、マングース科です。

似た動物との違い

立ち上がる姿から、プレーリードッグと間違えられることがあります。プレーリードッグはリスの仲間の草食動物で、肉食のミーアキャットとは科も食べ物も異なります。細長い体と立ち姿は似ていても、両者は遠い間柄です。ミーアキャットのほうが顔が細く、目のまわりの黒い模様で見分けられます。

人とのかかわり

人気者になった見張りの姿

後ろ足で立つ愛きょうのある姿から、ミーアキャットは各地の動物園で人気を集めています。『ライオン・キング』のティモンや、野生の群れを追ったテレビ番組を通して、その名は広く知られるようになりました。日本でも、上野動物園をはじめ多くの施設で群れの暮らしを見ることができます。ガラス越しに立ち上がって周りをうかがう姿は、野生と変わりません。

飼うのが難しい理由

ペットとして紹介されることもありますが、ミーアキャットの飼育はやさしくありません。群れで暮らす動物のため、単独で飼うと強いストレスを抱えます。においづけに使う分泌物のにおいが強く、力もあってよく噛みます。乾いた暖かい土地の動物なので、温度の管理にも手間がかかります。

参考

  • Wikipedia(英語版)「Meerkat」― 形態・分布・食性・社会行動・繁殖の各節
  • IUCN レッドリスト「Suricata suricatta」― 分布・保全状況(軽度懸念)
  • Kalahari Meerkat Project(長期野外研究)― 見張り行動・協同繁殖・子への教育の報告

画像出典

サムネイル画像: Charles J. Sharp, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

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