グアナコ

哺乳類

グアナコは、南アメリカの草原や高い山にすむ、ラクダの仲間です。背中にこぶはありませんが、ラクダと同じ科の動物で、家畜のラマ(リャマ)のもとになった野生の動物でもあります。やわらかい毛と長い首を持ち、標高4000mもの高い山でも元気に暮らせる、たくましい生きものです。

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分類と学名

  • 界:動物界
  • 門:脊索動物門(せきさくどうぶつもん)
  • 綱:哺乳綱(ほにゅうこう)
  • 目:鯨偶蹄目(くじらぐうていもく)
  • 科:ラクダ科
  • 属:ラマ属(Lama
  • 種:グアナコ Lama guanicoe

グアナコはラクダ科の動物です。南アメリカには、野生のラクダ科が2種います。その1つがこのグアナコで、もう1つが「ビクーニャ」です。グアナコは「何科?」と聞かれたら、答えは「ラクダ科」です。背中のこぶこそありませんが、まぎれもなくラクダの仲間なのです。「グアナコ」という名前は、南アメリカの先住民の言葉(ケチュア語)で、この動物をあらわす「ワナク」からきています。

基本データ

肩の高さ約1.0〜1.3m
体重約90〜140kg
分布南アメリカ(アンデス山脈・パタゴニアなど)
すみか草原・かんそうした高原・山地
食べもの草や木の葉(草食)
活動昼に活動。群れで暮らす
保全状況低危険種(LC/IUCN)

グアナコはウシやシカと同じように、草をかみ直して消化する動物です。体温を一定にたもつ恒温動物(こうおんどうぶつ)でもあります。

ラマ・アルパカ・ビクーニャとの違い

高原にいるビクーニャの群れ
もう1種の野生のラクダ科・ビクーニャ。グアナコより小さい(kallerna, CC BY-SA 4.0

野生が2種、家畜が2種

南アメリカのラクダ科は、ぜんぶで4種います。よくにていて見分けにくいのですが、「野生か家畜か」で分けると、すっきり整理できます。

まず野生が2種、グアナコとビクーニャです。この2種を、人が長い年月をかけて家畜にしたのが、のこりの2種です。グアナコを家畜にしたのが荷物運びの「ラマ」、ビクーニャを家畜にしたのが毛のふわふわな「アルパカ」です。つまりグアナコは、ラマの野生の祖先にあたります。

見分けの早見表

名前野生/家畜とくちょう
グアナコ野生ラマのもとになった。中くらいの大きさ
ラマ(リャマ)家畜いちばん大きい。荷物運びに使われる
ビクーニャ野生いちばん小さい。最高級のやわらかい毛
アルパカ家畜もふもふの毛。毛をとるために飼われる

ざっくり言うと、こう覚えると分かりやすくなります。野生で中くらいがグアナコ、その家畜が大きいラマ。野生で小さいのがビクーニャ、その家畜がもふもふのアルパカです。

グアナコとラマの見分け

とくにまちがえやすいのが、グアナコと、その家畜であるラマです。グアナコは野生なので、どの個体もほとんど同じ、うす茶色と白の毛をしています。いっぽうラマは、人に飼われるうちに変わりました。白・茶・黒などいろいろな毛色が生まれ、体もひとまわり大きくなっています。「毛色がそろっていて中くらいならグアナコ、大きくて毛色がさまざまならラマ」と見ると、区別しやすくなります。

どんな姿で暮らす?

グアナコの顔と長い首
長い首と、大きな目・とがった耳(Analiapalmira, CC BY-SA 4.0

やわらかい毛と長い首

グアナコの体は、うす茶色の毛でおおわれています。おなかは白く、顔は灰色っぽい色をしています。毛はとてもやわらかく、南アメリカではビクーニャの毛に次いで上等とされ、あたたかい毛布やコートに使われます。首と足が長く、遠くまで見わたしたり、高いところの葉を食べたりするのに役立ちます。

この上等な毛は、南アメリカでは古くから大切にされてきました。あたたかくて肌ざわりがよいため、毛布やコート、マフラーなどの高級な織物に使われます。ただし野生のグアナコの毛をたくさん集めるのは難しく、とても貴重です。そのため、家畜のアルパカの毛が、身近な毛織物には多く使われています。

群れで暮らす

パタゴニアの草原にいるグアナコの群れ
群れで草原を歩くグアナコ(ZedPlusIxe, CC BY-SA 4.0

グアナコは、群れをつくって暮らします。多くは、1頭のオスが数頭のメスと子どもをまとめる家族の群れです。若いオスだけが集まった群れもあります。群れの中では、見張り役が高い場所に立って、天敵が来ないか見張ります。あぶないときは「ヒヒーン」と高い声で鳴いて、仲間に知らせます。

赤ちゃん「チュレンゴ」

グアナコの赤ちゃんは「チュレンゴ」と呼ばれます。生まれた赤ちゃんは、わずか数十分ほどで自分の足で立ち上がり、すぐに歩いたり走ったりできます。天敵の多い草原では、生まれてすぐ動けることが、生きのびるための大切な力です。子どもは母親のいる群れの中で、みんなに見守られながら育ちます。

高い山に生きるからだ

草を食べるグアナコ
かんそうした草原で草を食べるグアナコ(amanderson2, CC BY 2.0

標高4000mでも平気

空気のうすい高い山

グアナコは、標高4000mもの高い山にもすんでいます。高い山の空気はうすく、酸素が少ないため、ふつうの動物は息が苦しくなってしまいます。それでもグアナコは、そんな場所を平気で走り回ります。

赤血球が人の約4倍

そのひみつは、血にあります。グアナコの血には、酸素を運ぶ赤血球が、人間のおよそ4倍もふくまれています。少ない酸素をむだなく体に取りこめるので、うすい空気の中でも元気に動けるのです。高い山で生きるために手に入れた、特別なからだです。

草を食べ、つばを飛ばす

グアナコは草食で、かたい草やとげのある植物も食べます。水の少ない場所でも、草にふくまれる水分でくらせるほど、かんそうに強い動物です。ふだんはおとなしいのですが、おこったりおどろいたりすると、口の中のものを勢いよく吐きかける「つば飛ばし」をします。ラクダの仲間がつばを飛ばすのと同じ、身を守るための行動です。

分布と保全

グアナコの分布図。南アメリカ西部と南部
グアナコのすむ地域。アンデスからパタゴニアにかけて(Wikimedia Commons, パブリックドメイン

天敵はピューマ

グアナコのおもな天敵は、南アメリカの大きなネコ・ピューマです。おそわれると、グアナコは時速55kmほどの速さで走って逃げます。首の後ろの皮は分厚くなっていて、かみつかれても大けがをしにくくなっています。速い足と丈夫な皮で、きびしい自然を生きぬいています。

数と、人とのかかわり

グアナコはIUCN(国際自然保護連合)のレッドリストで「低危険種(LC)」とされ、今のところ数は多く保たれています。とはいえ、昔は毛や肉を目当てに数を減らした時期もありました。今は保護区などで守られ、パタゴニアの草原では大きな群れも見られます。日本でも、一部の動物園でグアナコに会うことができます。

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参考文献

画像出典

アイキャッチ画像: Natalia Reyes Escobar, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons(本文中の写真は各キャプションに出典を記載)

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