コウモリ【総合】

翼手目(コウモリ)

コウモリは、空を自由に飛べる唯一の哺乳類です。手の指を長く伸ばし、その間に張った膜を翼にして飛びます。多くは夜に活動し、超音波を使って暗闇のなかを飛び回ります。世界には約1400種がいて、果実を食べる大きな種から、家のすき間に住む小さな種までさまざまです。

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分類と学名

分類階層

  • 界:動物界 Animalia
  • 門:脊索動物門 Chordata
  • 綱:哺乳綱 Mammalia
  • 目:翼手目(コウモリ目) Chiroptera

和名・英名

  • 和名:コウモリ(蝙蝠)
  • 英名:Bat

名前の由来と、その多さ

コウモリの仲間は「翼手目」にまとめられ、学名の Chiroptera は「手の翼」を意味します。手が翼に変わったという、体のつくりをそのまま表した名前です。コウモリの仲間は約1400種を数え、ネズミなどの齧歯類に次いで、哺乳類のなかで2番目に種類が多いグループです。全哺乳類のおよそ5種に1種がコウモリで、その種類の多さは際立っています。

大きさ・分布などの基本データ

大きさ最小は体長3cm・約2g、最大は翼を広げて1.6mほど(種による差が大きい)
分布極地や一部の島を除く世界中(熱帯に種類が多い)
生息環境森林・洞窟・市街地など(種によりさまざま)
食べもの昆虫・果実・花の蜜など(一部に魚食や吸血)
寿命小型でも10年以上、種によっては30年をこえる
仲間の数翼手目で約1400種

コウモリとは、どんな動物か

木にぶら下がるオオコウモリの群れ
Charles J. Sharp, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

唯一、空を飛ぶ哺乳類

コウモリは鳥に間違えられがちですが、羽毛も卵もなく、子を産んで乳で育てる哺乳類です。翼は羽ではなく、長く伸びた5本の指のあいだに、薄い膜が張ったつくりをしています。この膜は前足から後ろ足、尾のあたりまで続き、飛膜と呼ばれます。指を器用に動かして膜の形を変えられるため、鳥にはできない細かい方向転換もこなします。ムササビのように滑空する哺乳類はいますが、羽ばたいて飛び続けられるのはコウモリだけです。

超音波で暗闇を「見る」

多くのコウモリは、超音波を出して、その反響で周りを知る力を持ちます。口や鼻から人には聞こえない高い音を発し、はね返ってきた音で獲物や障害物の位置をつかみます。このしくみはエコーロケーション(反響定位)と呼ばれます。真っ暗な洞窟や夜空でも、細い虫を追って正確に飛べるのは、この能力のおかげです。いっぽうで、狙われるガのなかには、この超音波を感じ取って逃げる力を身につけたものもいます。追うコウモリと逃げる獲物のあいだで、長い進化のせめぎ合いが続いてきました。

逆さまにぶら下がる暮らし

コウモリは、後ろ足のかぎ爪で天井や枝にぶら下がって休みます。足の腱には力を入れなくても爪が閉じたままになるしくみがあり、眠っていても落ちません。逆さまの姿勢からそのまま飛び立てるため、身軽に空へ移れます。多くは夜行性で、昼は洞窟や木のうろ、屋根裏などに隠れて過ごします。大きな洞窟では、数十万から数百万匹が天井を埋めつくすほどです。冬の寒い地域に住む種は、体温を大きく下げて冬眠し、春まで眠って過ごします。

子は乳で育つ

コウモリは哺乳類なので、卵ではなく子を産み、母乳で育てます。多くの種は1年に1回、1〜2頭の子を産むのがふつうです。生まれた子は母親の体につかまって乳を飲み、しばらく運んでもらいます。同じころに出産したメスが集まり、大きな群れで子を育てる種も知られています。飛べるようになるまで、子は数週間ほど母親のもとで守られます。

いろいろなコウモリ(種類)

枝にとまるオオコウモリ
Jakub Hałun, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons

果実を食べるオオコウモリ

大きなコウモリの仲間は、オオコウモリと呼ばれ、フルーツバットとも言われます。大きな目でものを見て、果実や花の蜜を食べる種が多いグループです。超音波にあまり頼らず、視覚とにおいで餌を探します。花粉を運び、種を遠くへ散らす役目も担い、森の実りを支えています。翼を広げると1.5mをこえる大型の種も知られています。日本でも、沖縄や小笠原の島々に、クビワオオコウモリなどが住んでいます。

超音波で虫をとるココウモリ

コウモリの大部分は、ココウモリと呼ばれる小型の仲間です。超音波を巧みに使い、飛びながら昆虫をつぎつぎと捕らえます。一晩で数百から数千の虫を食べる個体もいて、害虫をおさえる働きをします。日本で見られるコウモリの多くも、このココウモリの仲間です。洞窟をねぐらにするキクガシラコウモリのように、鼻の形が変わった種も含まれます。

家に住むアブラコウモリ

日本の市街地でもっとも身近なのが、アブラコウモリです。イエコウモリとも呼ばれ、人の建物のすき間や屋根裏をねぐらにします。体長5cmほどと小さく、夕方に街の上を飛び回って虫を食べます。人の暮らしのそばで生きる、日本で唯一のコウモリとして知られています。初夏に1〜3頭の子を産み、都市の環境にうまく適応してきました。

血を吸うチスイコウモリ

コウモリと聞いて血を吸う姿を思い浮かべる人もいますが、それはごく一部です。血を吸うのは中南米に住むチスイコウモリの仲間だけで、わずか3種にすぎません。しかもおもな相手は家畜で、人の血を狙うわけではありません。大多数のコウモリは、虫や果実を食べる無害な生きものです。

人とのかかわり

害虫を食べる益と、家へのすみ着き

コウモリは大量の虫を食べるため、農業や暮らしを助ける益獣でもあります。蚊やガのように人を悩ませる虫を減らす働きもあります。一方で、アブラコウモリが家に入り込み、フンやにおいで困らせることもあります。ぶら下がった真下にフンがたまり、掃除や対策が必要になる例も少なくありません。ただしコウモリは鳥獣保護法で守られており、勝手に捕まえたり殺したりはできません。

感染症の誤解と、縁起もの

コウモリは、狂犬病などのウイルスを持つ宿主として知られ、素手でさわらないよう注意が呼びかけられています。多くのウイルスに感染しても発症しにくい、特別な体のしくみを持つと考えられています。ただ、そっとしておけば過度におそれる相手ではありません。中国では「蝠」の字が幸福の「福」と同じ音のため、コウモリは縁起のよい生きものとされてきました。西洋では闇や不吉と結びつけられ、東西で正反対のイメージを持たれてきた動物です。

参考

  • Wikipedia(英語版)「Bat」― 分類・翼の構造・エコーロケーション・食性・人との関わりの各節
  • Wikipedia(日本語版)「アブラコウモリ」ほか― 日本の都市に住む種の生態
  • 各自治体・環境省 資料― コウモリと鳥獣保護法・住宅での対策

画像出典

サムネイル画像: Charles J. Sharp, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

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