シロフクロウ

猛禽類

シロフクロウは、雪のように白い羽をもつ、大型のフクロウです。北極圏のツンドラに住み、夏の白夜のもとでは昼間にも活動することもあります。おもにレミングという小さなネズミを食べ、冬になると南へ移動します。物語「ハリー・ポッター」に登場するヘドウィグとしても、よく知られています。

スポンサーリンク

分類と学名

シロフクロウは、フクロウ目フクロウ科に含まれる鳥です。大型のフクロウであるワシミミズクの仲間(ワシミミズク属)に入れられ、学名は Bubo scandiacus といいます。かつては、シロフクロウだけで独立した属(シロフクロウ属)にわけることもありました。その場合の学名は Nyctea scandiaca です。

分類階層

  • 界:動物界 Animalia
  • 門:脊索動物門 Chordata
  • 綱:鳥綱 Aves
  • 目:フクロウ目 Strigiformes
  • 科:フクロウ科 Strigidae
  • 種:シロフクロウ Bubo scandiacus

和名・英名

  • 和名:シロフクロウ(白梟)
  • 英名:snowy owl(雪のフクロウ)

名前の由来

「シロフクロウ」という和名は、その名のとおり、白い羽の色に由来します。英名の snowy owl も、「雪のフクロウ」という意味です。雪と氷の世界である北極に住み、白い姿がその景色に溶けこむことから、この名がつきました。

大きさ・分布などの基本データ

大きさ体長50〜60cm、翼を広げると140〜165cm(大型)
分布北極圏で繁殖し、冬は南へ移動。日本では北日本にまれ
生息環境ツンドラ・草原・湿地・岩場など、開けた場所
食べ物レミングや野ネズミなどの小動物(肉食)
特徴白い羽。フクロウでは珍しく昼にも活動する
保全状況危急(VU)=数が減りつつある

雪のように白い大型フクロウ

シロフクロウのいちばんの特徴は、白い羽です。ただし、その白さには、オスとメスで違いがあります。

オスとメスで違う羽の色

オスはほぼ真っ白

年をとったオスの羽は、ほぼ真っ白です。黒い斑点はごくわずかで、全身が雪のように白く見えます。歳を重ねるほど、白さが増していくとされます。真っ白なオスの姿は、雪原ではとても見つけにくくなります。

オスのシロフクロウ
オスのシロフクロウ。年をとると、黒い斑点が減ってほぼ真っ白になる

メスと若鳥は黒い縞

一方、メスや若い個体には、黒や褐色の細かい縞模様が入ります。顔は白いままですが、体には横じまがはっきりと見られます。この模様は、地面の枯れ草や岩のあいだにまぎれるのに役立ちます。同じシロフクロウでも、オスとメスで見た目の印象は大きく違います。

縞模様のシロフクロウ
黒い縞模様のあるシロフクロウ(メスや若鳥)。開けた地面で暮らす

大きな体と黄色い目

シロフクロウは、フクロウのなかでも大型で、体長は50cmをこえます。翼を広げると、その幅は1.5mほど。目は大きく、あざやかな黄色をしています。頭の左右にある「羽角(うかく)」という耳のような飾り羽は小さく、ふだんはほとんど目立ちません。オスとメスをくらべると、メスのほうが体が大きくなるとされます。足の指の先まで、厚い白い羽毛におおわれています。この足の羽毛はフクロウのなかでもっとも長いとされ、北極のきびしい寒さから足を守ります。

北極のツンドラでの暮らし

シロフクロウは、北極圏のツンドラという、寒く開けた土地で暮らします。木のほとんどない世界での暮らしには、この鳥ならではの特徴があります。

白夜と昼の狩り

夜がない夏

多くのフクロウは、夜に活動する夜行性です。しかし、シロフクロウが暮らす北極圏の夏は、一日じゅう太陽がしずまない「白夜」になります。夜がない季節には、夜だけを待っていては狩りができません。そのため、シロフクロウは昼間にも活動するようになったと考えられています。

昼も獲物を狙う

フクロウの仲間で、昼間に活動するものは多くありません。シロフクロウは、そのなかでは例外的に、明るい時間にも獲物を狙います。とまるのは、開けたツンドラの見晴らしのよい場所。そこから、あたりをじっと見わたします。獲物を見つけると、そっと飛び立って近づきます。

羽音をおさえて飛ぶ

多くのフクロウは、羽音をほとんど立てずに飛びます。風切り羽のふちに、音を消すこまかいぎざぎざがあるためです。シロフクロウにも、このぎざぎざはあります。ただし、ほかのフクロウほどには発達しておらず、近くではわずかに羽音が聞こえることもあるとされます。

レミングを狩る

主食は小さなネズミ

シロフクロウの主な食べ物は、レミングやヤチネズミといった小さなネズミの仲間です。ツンドラに数多く住むこれらのネズミを、シロフクロウはさかんに捕らえます。ときには、カモなどの鳥を捕らえることもあります。鋭いつめとくちばしで、獲物を仕留めます。

翼を広げるシロフクロウ
翼を大きく広げて獲物にせまるシロフクロウ

跳びはねてレミングを追う

レミングは、地面に掘ったトンネルの中を動き回ります。シロフクロウは、そのトンネルの上を跳びはねて、レミングを驚かせます。トンネルから飛び出したところを、すばやく捕らえます。地面の獲物をとるための、この鳥らしい狩り方といえます。

繁殖はレミングしだい

シロフクロウは、春になると、ツンドラの小高い場所に巣をつくります。巣には、5個から11個ほどの卵を産みます。卵を産む時期と、ひなのかえる時期は、少しずつずれています。その年に育つひなの数は、餌となるレミングの数に大きく左右されます。レミングが多い年にはたくさんのひなが育ち、少ない年には繁殖そのものをひかえることもあるとされます。餌の増減が、シロフクロウの子育てを大きく決めています。

渡りと日本での記録

シロフクロウは、冬になると、繁殖地の北極圏から南へ移動します。行き先は、ユーラシア大陸や北アメリカ大陸の、少し暖かい地域です。繁殖がうまくいって幼鳥が多く生まれた年には、多くの個体が、ふだんより南まで大移動することがあります。これは「イラプション」と呼ばれ、いつ起きるかを予想するのは難しいとされます。日本では、北海道や本州の北部で、まれに見られることがあります。ふだんは北の果てに住む鳥なので、日本で見られるのはめずらしい記録です。

人とのかかわり

シロフクロウは、その白い姿から、世界でよく知られたフクロウです。物語の題材にもなり、多くの人に親しまれています。

「ハリー・ポッター」のヘドウィグ

シロフクロウは、物語「ハリー・ポッター」に登場する、ヘドウィグとして知られています。この物語の人気をきっかけに、フクロウをペットとして飼いたがる人が増えました。ただし、フクロウは野生の猛禽(もうきん)であり、家庭で飼うのは簡単ではありません。イギリスなどでは、無理な飼育や取引が問題となり、規制が設けられています。

減りつつある数

シロフクロウは、近年、数が減りつつあると考えられています。国際的な基準では「危急(きゅう)」に分類され、絶滅がおそれられる生きものの一つとされています。地球の気候の変化が、北極で暮らすこの鳥に影響しているとみられます。雪と氷の世界の変化は、シロフクロウの暮らしにもかかわっています。

参考

  • シロフクロウ Bubo scandiacus(Wikipedia日本語版)分類・形態・生態・分布・保全
  • Snowy owl(IUCNレッドリスト)保全状況(危急・VU)
  • シロフクロウ(各図鑑)オスメスの羽・白夜と昼行性・レミング

画像の出典

  • アイキャッチ(黄色い目の顔):Diego Delso, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
  • オスの白い個体:Michael Gäbler, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
  • 縞模様の個体(野生):Rhododendrites, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
  • 翼を広げる姿:Chuck Homler / Focus On Wildlife, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
タイトルとURLをコピーしました