カンガルーは、オーストラリアに暮らす大型の有袋類です。強い後ろ足で跳んで移動し、メスは腹の袋で赤ちゃんを育てます。「カンガルー」と呼ばれるのは大きな4種で、小型の仲間はワラビーと呼ばれます。生まれたての赤ちゃんは豆粒ほどの大きさで、自力で袋によじ登ります。
分類と学名
分類階層
- 界:動物界 Animalia
- 門:脊索動物門 Chordata
- 綱:哺乳綱 Mammalia
- 目:双前歯目 Diprotodontia
- 科:カンガルー科 Macropodidae(有袋類)
- おもな属:アカカンガルー属 Osphranter・オオカンガルー属 Macropus など
和名・英名
- 和名:カンガルー(仲間の総称)
- 英名:Kangaroo
名前の由来
英名 Kangaroo は、オーストラリア先住民グーグ・イミディル語の gangurru に由来します。これは、大きくて色の濃いカンガルーを指す言葉でした。「カンガルーとは”知らない”という意味だった」という有名な話は、後の研究で否定された俗説です。実際には、その言葉はきちんと動物を指していました。
大きさ・分布などの基本データ
| 大きさ | 大型種で体長1〜1.6m・体重最大90kg(アカカンガルー) |
|---|---|
| 分布 | オーストラリア(近縁は一部ニューギニアにも) |
| 生息環境 | 乾いた草原・サバンナ・林(種による) |
| 食べもの | 草食(草や葉) |
| 移動 | 後ろ足で跳ぶ。ひと跳びで最大8mほど |
| 仲間 | カンガルー科(大型4種+ワラビーなど約50種) |
| 寿命 | 野生で約6年/飼育下20年以上 |
カンガルーとは ― 跳んで暮らす有袋類

後ろ足で跳ぶ
カンガルーは、後ろ足だけで跳んで進む数少ない大型哺乳類です。太い後ろ足と長い尾を持ち、尾は跳ぶときのバランスや、立つときの支えになります。跳躍にはアキレス腱のばねを使うため、速く進んでもあまり疲れません。ひと跳びで数m、速いときは時速50kmほどで移動します。前へ跳ぶのは得意ですが、後ろへ下がるのは苦手とされます。
草を食べ、群れで暮らす
食べ物は主に草で、胃で発酵させて消化します。すり減った奥歯は前へ移動して抜け、後ろから新しい歯が生えかわります。この歯の生えかわりは、ほかにはゾウとマナティーにしか見られません。昼の暑い時間は日陰で休み、朝夕に草を食べます。数頭から数十頭の群れをつくり、この群れは英語で mob(モブ)と呼ばれます。天敵は、かつては大型のワシやフクロオオカミ、今は野生化したイヌ(ディンゴ)です。
赤ちゃんと袋 ― 豆粒から育つ

生まれたては豆粒ほど
カンガルーの赤ちゃんは、とても小さな状態で生まれます。妊娠期間はわずか1か月ほどで、生まれたては体長2cm前後、ライマメほどの大きさです。目は見えず毛もなく、後ろ足はまだ突起のような形です。それでも前足だけは発達していて、母親の腹の毛をかき分けます。そして3〜5分かけて、自力で袋へよじ登ります。
袋の中で育つ

袋にたどり着いた赤ちゃんは、4つある乳首の1つにくわえついて離れません。そのまま袋の中で約9か月を過ごし、少しずつ顔を出すようになります。母親が袋の中をなめて掃除するため、袋はいつも清潔です。袋から完全に出たあとも、しばらくは頭を突っこんで授乳を続けます。
妊娠を「止められる」しくみ
メスのカンガルーは、出産の日をのぞいて、ほぼ常に妊娠しているとされます。袋に先の赤ちゃんがいる間は、次の受精卵の成長を一時的に止めておけます。これは胚休眠(はいきゅうみん)と呼ばれるしくみ。日照りや餌の少ない時期に見られます。さらに母親は、新生児用と年長の子用で成分の違う2種類のミルクを、同時に出し分けます。
いろいろなカンガルー(種類)

大きな4種
「カンガルー」と呼ばれるのは、大きな4種です。最大種はアカカンガルーで、オスは立ち上がると2mに達し、乾いた内陸に暮らします。オオカンガルー(ヒガシハイイロカンガルー)は東部に多く、もっともよく見られる種です。ほかに、ニシハイイロカンガルーと、北部に暮らすアンテロピネカンガルーがいます。アカカンガルーのオスは赤茶色ですが、メスは青みがかった灰色をしていることが多く、「ブルー・フライヤー」とも呼ばれます。いずれも草原や林で群れをつくって暮らします。
木に登る仲間・小さな仲間
カンガルー科には、約50種の小さな仲間もいます。木の上で暮らすキノボリカンガルーや、島で暮らす笑顔のような顔のクオッカも、その仲間です。大きさも暮らしぶりもさまざまで、砂漠から森まで、オーストラリア各地に広がっています。
ワラビーとの違い

カンガルーとワラビーは、同じカンガルー科の仲間です。両者を分けるはっきりした学問上の境目はなく、大きさで呼び分けているのが実際のところです。大きな4種をカンガルー、それより小さい多くの種をワラビーと呼びます。中間の大きさのものは、ワラルーと呼ばれることもあります。見た目もよく似ていますが、ワラビーのほうが体も後ろ足も小さめです。
人とのかかわりと豆知識
カンガルーは、コアラとならぶオーストラリアの象徴です。国の紋章に描かれ、航空会社カンタスのマークにも使われています。前へしか進めない姿から、「前進」の象徴ともいわれます。オーストラリアでは数が多く、脂肪の少ない食肉として利用されるほか、車との衝突も各地で問題になっています。オスどうしは前足で組み合い、尾で体を支えて後ろ足で蹴り合う「ボクシング」で力を競います。
参考
- Wikipedia(英語版)「Kangaroo」― 分類・4種・跳躍・繁殖(袋・胚休眠・2種類の母乳)・人との関わりの各節
- Wikipedia(英語版)「Red kangaroo」― 最大種アカカンガルーの大きさ・分布・雌雄の毛色
- animal lab(中央動物専門学校)「カンガルーやコアラが有名な『有袋類』」― 有袋類・育児嚢の解説
画像出典
アイキャッチ画像:Charles J. Sharp, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons(16:9にトリミングして使用)。本文中の画像は各キャプションに出典を記載しています。


