カンガルー【総合】

有袋類

カンガルーは、オーストラリアに暮らす大型の有袋類です。強い後ろ足で跳んで移動し、メスは腹の袋で赤ちゃんを育てます。「カンガルー」と呼ばれるのは大きな4種で、小型の仲間はワラビーと呼ばれます。生まれたての赤ちゃんは豆粒ほどの大きさで、自力で袋によじ登ります。

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分類と学名

分類階層

  • 界:動物界 Animalia
  • 門:脊索動物門 Chordata
  • 綱:哺乳綱 Mammalia
  • 目:双前歯目 Diprotodontia
  • 科:カンガルー科 Macropodidae(有袋類)
  • おもな属:アカカンガルー属 Osphranter・オオカンガルー属 Macropus など

和名・英名

  • 和名:カンガルー(仲間の総称)
  • 英名:Kangaroo

名前の由来

英名 Kangaroo は、オーストラリア先住民グーグ・イミディル語の gangurru に由来します。これは、大きくて色の濃いカンガルーを指す言葉でした。「カンガルーとは”知らない”という意味だった」という有名な話は、後の研究で否定された俗説です。実際には、その言葉はきちんと動物を指していました。

大きさ・分布などの基本データ

大きさ大型種で体長1〜1.6m・体重最大90kg(アカカンガルー)
分布オーストラリア(近縁は一部ニューギニアにも)
生息環境乾いた草原・サバンナ・林(種による)
食べもの草食(草や葉)
移動後ろ足で跳ぶ。ひと跳びで最大8mほど
仲間カンガルー科(大型4種+ワラビーなど約50種)
寿命野生で約6年/飼育下20年以上

カンガルーとは ― 跳んで暮らす有袋類

後ろ足で跳んで移動するカンガルー
後ろ足で跳んで移動するカンガルー。尾でバランスをとる(Charles J. Sharp, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons)

後ろ足で跳ぶ

カンガルーは、後ろ足だけで跳んで進む数少ない大型哺乳類です。太い後ろ足と長い尾を持ち、尾は跳ぶときのバランスや、立つときの支えになります。跳躍にはアキレス腱のばねを使うため、速く進んでもあまり疲れません。ひと跳びで数m、速いときは時速50kmほどで移動します。前へ跳ぶのは得意ですが、後ろへ下がるのは苦手とされます。

草を食べ、群れで暮らす

食べ物は主に草で、胃で発酵させて消化します。すり減った奥歯は前へ移動して抜け、後ろから新しい歯が生えかわります。この歯の生えかわりは、ほかにはゾウとマナティーにしか見られません。昼の暑い時間は日陰で休み、朝夕に草を食べます。数頭から数十頭の群れをつくり、この群れは英語で mob(モブ)と呼ばれます。天敵は、かつては大型のワシやフクロオオカミ、今は野生化したイヌ(ディンゴ)です。

赤ちゃんと袋 ― 豆粒から育つ

袋の中の子と母親のカンガルー
袋で子を育てるカンガルーの母親。生まれたては目に見えないほど小さい(Charles J. Sharp, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons)

生まれたては豆粒ほど

カンガルーの赤ちゃんは、とても小さな状態で生まれます。妊娠期間はわずか1か月ほどで、生まれたては体長2cm前後、ライマメほどの大きさです。目は見えず毛もなく、後ろ足はまだ突起のような形です。それでも前足だけは発達していて、母親の腹の毛をかき分けます。そして3〜5分かけて、自力で袋へよじ登ります。

袋の中で育つ

袋から顔を出すカンガルーの子
大きくなり、袋から顔を出す子(Andrea.Messina93, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons)

袋にたどり着いた赤ちゃんは、4つある乳首の1つにくわえついて離れません。そのまま袋の中で約9か月を過ごし、少しずつ顔を出すようになります。母親が袋の中をなめて掃除するため、袋はいつも清潔です。袋から完全に出たあとも、しばらくは頭を突っこんで授乳を続けます。

妊娠を「止められる」しくみ

メスのカンガルーは、出産の日をのぞいて、ほぼ常に妊娠しているとされます。袋に先の赤ちゃんがいる間は、次の受精卵の成長を一時的に止めておけます。これは胚休眠(はいきゅうみん)と呼ばれるしくみ。日照りや餌の少ない時期に見られます。さらに母親は、新生児用と年長の子用で成分の違う2種類のミルクを、同時に出し分けます。

いろいろなカンガルー(種類)

野生のアカカンガルーの群れ
内陸の乾いた土地に暮らす野生のアカカンガルー(PotMart186, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons)

大きな4種

「カンガルー」と呼ばれるのは、大きな4種です。最大種はアカカンガルーで、オスは立ち上がると2mに達し、乾いた内陸に暮らします。オオカンガルー(ヒガシハイイロカンガルー)は東部に多く、もっともよく見られる種です。ほかに、ニシハイイロカンガルーと、北部に暮らすアンテロピネカンガルーがいます。アカカンガルーのオスは赤茶色ですが、メスは青みがかった灰色をしていることが多く、「ブルー・フライヤー」とも呼ばれます。いずれも草原や林で群れをつくって暮らします。

木に登る仲間・小さな仲間

カンガルー科には、約50種の小さな仲間もいます。木の上で暮らすキノボリカンガルーや、島で暮らす笑顔のような顔のクオッカも、その仲間です。大きさも暮らしぶりもさまざまで、砂漠から森まで、オーストラリア各地に広がっています。

ワラビーとの違い

ワラビー
カンガルーより小型の仲間、イワワラビー(Third Silence Nature Photography, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons)

カンガルーとワラビーは、同じカンガルー科の仲間です。両者を分けるはっきりした学問上の境目はなく、大きさで呼び分けているのが実際のところです。大きな4種をカンガルー、それより小さい多くの種をワラビーと呼びます。中間の大きさのものは、ワラルーと呼ばれることもあります。見た目もよく似ていますが、ワラビーのほうが体も後ろ足も小さめです。

人とのかかわりと豆知識

カンガルーは、コアラとならぶオーストラリアの象徴です。国の紋章に描かれ、航空会社カンタスのマークにも使われています。前へしか進めない姿から、「前進」の象徴ともいわれます。オーストラリアでは数が多く、脂肪の少ない食肉として利用されるほか、車との衝突も各地で問題になっています。オスどうしは前足で組み合い、尾で体を支えて後ろ足で蹴り合う「ボクシング」で力を競います。

参考

  • Wikipedia(英語版)「Kangaroo」― 分類・4種・跳躍・繁殖(袋・胚休眠・2種類の母乳)・人との関わりの各節
  • Wikipedia(英語版)「Red kangaroo」― 最大種アカカンガルーの大きさ・分布・雌雄の毛色
  • animal lab(中央動物専門学校)「カンガルーやコアラが有名な『有袋類』」― 有袋類・育児嚢の解説

画像出典

アイキャッチ画像:Charles J. Sharp, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons(16:9にトリミングして使用)。本文中の画像は各キャプションに出典を記載しています。

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