ホシハジロ

鳥類

ホシハジロは雄が赤褐色の頭と赤い目を持つカモです。水面で餌を取る種類が多いカモのなかで、この鳥は主に潜って餌を取ります。数だけを見れば多いのですが、IUCNの評価は危急種です。

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分類と学名

分類階層

  • 界:動物界 Animalia
  • 門:脊索動物門 Chordata
  • 綱:鳥綱 Aves
  • 目:カモ目 Anseriformes
  • 科:カモ科 Anatidae
  • 属:ハジロ属 Aythya
  • 種:ホシハジロ Aythya ferina

和名・英名

  • 和名:ホシハジロ(星羽白)
  • 英名:Common pochard/Eurasian pochard/European pochard

潜るカモのために作られた属

学名が付いたのは1758年、リンネによるものです。その後1822年に、ドイツの動物学者ボイエが、さまざまな潜水ガモをまとめる属として Aythya を作りました。本種もそこへ移されています。

ただし Aythya が属名として定着するまでには、その後も長い時間がかかりました。

大きさ・分布などの基本データ

大きさ全長42〜49cm、翼を広げた幅(翼開張)72〜82cm
日本での時期冬鳥として越冬に飛来。北海道東部では少数が繁殖
生息環境湖沼・河川・河口・内湾
食べ物植物食の傾向が強い雑食。種子・葉・芽・地下茎のほか魚類・両生類・昆虫・甲殻類・軟体動物・ミミズの仲間
繁殖8〜10個の卵を産む。卵を温めるのは雌のみで24〜28日
保全状況IUCN: VU(危急)

ずんぐりした体つきのカモです。同じく冬に渡ってくるコガモ(34〜43cm)より、一回り大きい程度です。見た目のわりに飛ぶ力は強く、羽ばたいて直線的に飛ぶときの速さは秒速22〜24mに達します。時速に直すと約80〜86kmです。

潜って餌を取る

翼を広げるホシハジロ
Alexis Lours, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons

餌を取る主な方法は潜水です。水面より下にあるものを、潜って取りに行きます。ただしそれだけではなく、逆立ちをしたり水面のものをついばんだりもします。

夜のうちに餌を取ることが多く、昼に水面で休んでいる群れも、日が落ちれば動きだします。

食べるものは幅広い

植物質のほか、小さな魚や軟体動物も食べます。種子や葉、芽や地下茎も口にします。食べ物は両生類やその幼生から、昆虫や甲殻類、ミミズの仲間にまで及びます。

ハクチョウと一緒に餌場を使う

コハクチョウやオオハクチョウのそばで餌を取ることがよくあります。この2種は水底の泥を踏み荒らして食べ物を掘り出すため、そこから流れ出たものをホシハジロが拾います。研究では、この取り方をしたときの食べる速さは、単独で餌を取る場合の2倍に達することがあるとされます。

赤い目と青灰色の帯

水面に浮かぶホシハジロの雄
Alexis Lours, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons

雄は目と胸に色が出る

雄の目は赤色です。繁殖期には頭から首にかけての羽が赤褐色になります。胸の羽と、尾の付け根を覆う羽は黒です。

体の側面は灰色で、黒や黒褐色の細かい縞模様が入ります。遠目には白っぽく見える部分です。

雌に赤い色は出ない

水面に浮かぶホシハジロの雌
Charles J. Sharp, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

雌は頭から胸にかけての羽が褐色です。目も褐色で、雄の赤い目とはここが違います。

雌雄に共通するのは嘴(くちばし)です。黒い地に青灰色の帯模様が入ります。

似た種との見分け

オオホシハジロの雄。嘴が一様に暗い
Dick Daniels (https://carolinabirds.org/), CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

北アメリカの2種とよく似る

雄はオオホシハジロの雄とよく似ています。ただしオオホシハジロの嘴は全体が暗い色で、青灰色の帯が入りません。両種はごく近い関係にあり、2種で1つのまとまりとして扱われることもあります。

アメリカホシハジロにも似ています。こちらは目が黄色く、背の色も灰色寄りです。かつてはホシハジロの亜種とされたこともありましたが、現在のホシハジロは亜種を持たない種として扱われます。

種を決めきれない個体もいる

飼育下では、キンクロハジロや近縁の別のカモとの雑種が生まれることが知られています。野生でも雑種と疑われる個体が見つかっており、その姿は飼育下で確かめられた組み合わせとよく似ています。

数が多いのに危急種

水面を蹴って飛び立つホシハジロ
Alexis Lours, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons

評価の理由は減り方にある

IUCNはこの種を危急種としています。分布は広く、個体数も多い種です。それでも地域によっては急激に減っている証拠があります。

ヨーロッパを例にとると、その減少幅は23年間で30〜49%に達するとされます。

人の活動と外から来た捕食者

減少の主な原因は、都市化による自然環境の作り変えと、狩猟の行き過ぎです。多くの国でこの2つが挙げられています。

持ち込まれた捕食者の影響も大きく、アメリカミンクは一部の集団に壊滅的な打撃を与えました。ポーランドでは、ミンクが定着してから30年で92%減った集団が調べられています。巣を襲う相手ではハシボソガラスやチュウヒも重要です。

渡る先の国々と一緒に守る

本種はAEWAの保護対象でもあります。アフリカとユーラシアを渡る水鳥を守るための国際協定で、国をまたいで移動する鳥を1国だけでは守れないという考えに立っています。

卵とヒナ

ホシハジロの卵
Roger Culos, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

隠せる場所を選ぶ

巣づくりは雌だけで行います。植物の材料で台のような巣を組み、中央近くに綿毛のような羽を敷いた浅いくぼみを作ります。

置き場所は水際から10m以内の地上か、水の中です。水に置くときは台を水面から出します。イグサやヨシの茂みや、水面に浮かぶ水生植物の上も使います。どこに作る場合も必ず密な茂みの中に隠します。

産んでから孵るまで

卵は1日に1個ずつ産みます。8〜10個が揃ってから、初めて温め始めます。卵は緑がかった灰色で、幅の広い卵形です。平均の大きさは62×44mmです。

卵を温めるのは雌だけです。24〜28日ほどで、卵は一斉に孵化(ふか)します。雌が巣を離れるときは卵を綿毛のような羽で覆っていきます。

よその雌が産みつけていく

多くのカモと同じように、この種も他の雌から卵を押しつけられます。卵を温めている雌が産んだのではない卵が、巣に混じります。

ある地域の調査では、巣の89%までが他の雌の卵を1個以上含んでいました。産まれた卵の37%が他の雌のものだった集団もあります。

受け入れには限りがある

受け入れる側の負担はほとんどありません。巣の近くに置かれた卵は転がして自分の卵に混ぜてしまいます。

ただし他の雌の卵が6個を超えると、巣を放棄する確率が2倍になるとされます。雌が他種の巣に産むこともあり、アカハシハジロが引き受け役になる地域もあります。

独立と繁殖までの日数

ヒナは孵化から50〜55日で飛べるようになり、独立します。コガモの25〜30日と比べると、倍ほどの時間がかかります。繁殖できるようになるのは生後1〜2年です。

どこで会える

繁殖するのはヨーロッパからシベリアのバイカル湖までの地域です。冬になるとアフリカ大陸北部・中近東・インド・中国東部などへ南下します。

冬の日本での居場所

日本へは越冬のため冬に飛来します。北海道の東部では少数が繁殖しています。

湖沼や河川のほか、河口や内湾にも入ります。海水がまじる場所も使います。冬には大きな群れを作り、他の潜水ガモと混じることもよくあります。

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参考

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