タコ【総合】

イカ・タコ類(頭足類)

タコは、8本の腕を持つ、海にすむ軟体動物のなかまです。世界には約300種が知られています。身近なマダコやミズダコから、猛毒のヒョウモンダコ・擬態の名人ミミックオクトパス・深海のメンダコまで、その姿はさまざまです。体の色を変え、道具を使うほど賢い一面もあります。

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分類と学名

分類階層

  • 界:動物界 Animalia
  • 門:軟体動物門 Mollusca
  • 綱:頭足綱 Cephalopoda
  • 目:八腕形目(タコ目)Octopoda

和名・英名

  • 和名:タコ(漢字で「蛸」「章魚」)
  • 英名:Octopus(オクトパス。「8本足」の意味)

名前の由来

英語の「オクトパス(octopus)」は、ギリシャ語で「8本の足」を表す言葉から来ています。ただし、正しくは足ではなく「腕」と呼ばれます。同じ頭足類でも、イカは腕が10本あり、タコとは区別されます。タコの仲間は、八腕形目(タコ目)というグループにまとめられています。

大きさ・分布などの基本データ

大きさ 数cmの小型種〜腕を広げて3mをこえる大型種(ミズダコ)
分布 世界中の海(浅い岩場から深海まで)
生息環境 岩のすきま・砂地・サンゴ礁・深海など
食べもの 肉食(貝・カニ・エビ・魚など)
寿命 多くは1〜2年ほどと短い
仲間の数 世界に約300種

タコとは、どんな生きもの

8本の腕と、たくさんの吸盤

タコの大きな特徴は、8本の腕です。腕にはたくさんの吸盤がならび、ものに吸いついたり、味を感じたりします。タコの腕には多くの神経が通っていて、それぞれがある程度独立して動くとされます。獲物をつかまえるのも、岩の間を探るのも、この器用な腕のはたらきです。

やわらかい体と、3つの心臓

タコの体には、骨がありません。かたい殻や背骨を持たず、体はやわらかく自由に形を変えられます。そのため、体よりずっと小さなすき間にも入りこめます。また、タコには心臓が3つあり、血液は青みがかっています。これは、血の中に銅をふくむ成分があるためです。

墨と、体の色を変える力

タコは、敵におそわれると墨をはいて逃げます。墨は、目くらましやおとりのはたらきをするとされます。さらにタコは、皮ふの色や模様を、まわりに合わせてすばやく変えられます。岩やすなにまぎれて、身をかくすのが得意です。この変色は、身を守るためにも、獲物にしのび寄るためにも使われます。

おどろくほど賢い生きもの

道具を使い、問題を解く

タコは、無脊椎動物のなかでも、とくに賢いことで知られます。ビンのふたを開けて中のえさを取り出したり、迷路のような仕掛けを解いたりする姿が観察されています。ヤシの殻を運んで隠れ家にするなど、道具を使うタコもいます。大きな脳と、腕にも広がる神経が、この賢さを支えていると考えられています。

短い一生と、命がけの子育て

賢いタコですが、その一生は長くありません。多くの種は、1〜2年ほどで一生を終えます。メスは卵を産むと、その世話に専念します。卵に新しい水を送り、外敵から守りつづけるのです。その間ほとんど食事をとらず、卵がかえるころには力つきてしまいます。多くのタコにとって、子育ては一生に一度の、命がけの仕事です。

いろいろなタコ①:身近な・食用のタコ

マダコ

日本でいちばんなじみ深いタコです。たこ焼きや刺身、酢だこなど、食卓でおなじみの種です。岩場にすみ、貝やカニを食べます。かしこく、警戒心が強いことでも知られます。

マダコ
マダコは、日本でもっともなじみ深いタコです。刺身やたこ焼き、酢だこなど、食卓でおなじみの種です。岩場の巣穴にひそみ、体の色を変えて隠れる、賢く警戒心の強い生きものでもあります。3つの心臓や青い血など、タコらしさの詰まった代表的なタコです。分...

ミズダコ

世界でいちばん大きなタコです。腕を広げると3mをこえ、北の冷たい海にすみます。日本でも北日本の海で見られ、食用にもなります。大きいながらも、狭いすき間に入りこむ器用さを持ちます。

ミズダコ
ミズダコは、世界でいちばん大きなタコです。腕を広げると3〜5mに達し、北の冷たい海に暮らします。その名は、柔らかく水っぽい身にちなむそうです。日本では北海道を中心に、刺身やたこしゃぶなどで親しまれる食材でもあります。分類と学名分類階層界:動...

イイダコ

手のひらほどの小さなタコです。メスのおなかにつまった卵が、米粒(飯)のように見えることが名前の由来とされます。煮つけやおでんの具として親しまれます。

イイダコ
イイダコは、手のひらにのるほど小さなタコです。名前の「飯蛸(いいだこ)」は、メスの胴に詰まった卵が、米の飯のように見えることに由来します。波の穏やかな内湾の砂泥にすみ、貝殻を隠れ家にする習性で知られます。卵を持ったメスは「子持ちイイダコ」と...

いろいろなタコ②:毒・擬態のすごいタコ

ヒョウモンダコ

手のひらほどの小さなタコですが、強い毒を持つ危険な種です。おこると体に青い輪の模様がうかび上がります。唾液にはフグと同じテトロドトキシンがふくまれ、噛まれると命に関わることもあります。近年は日本の本州沿岸でも見られ、注意がよびかけられています。

ヒョウモンダコ
ヒョウモンダコは、手のひらにのるほど小さなタコです。しかし、フグと同じ猛毒テトロドトキシンを持つ、危険な種として知られます。刺激を受けると、体に青い輪の模様が浮かび上がります。もとは南方系のタコですが、近年は本州沿岸でも見つかり、各地で注意...

ミミックオクトパス

ほかの生きものに姿をまねる、擬態の名人です。ウミヘビやヒラメ、ミノカサゴなどに化けると言われます。体の形や動き、色を変えて、危険な生きものになりすまします。おもに東南アジアの砂地の海にすんでいます。

ミミックオクトパス
ミミックオクトパスは、ほかの生きものに姿を変える「擬態の名人」として知られるタコです。ミノカサゴやウミヘビ、ヒラメなど、15種類ほどに化けるといわれます。色を変えるだけでなく、体の形や動きまで似せる点で、ほかのタコと大きく異なります。199...

メジロダコ(ココナッツオクトパス)

ヤシ(ココナッツ)の殻を運び、隠れ家として使うことで知られます。2枚の殻を組み合わせて、中に身をひそめます。道具を使う動物の代表として、たびたび話題になります。海底の砂地を、殻をかかえて歩く姿がユニークです。

メジロダコ
メジロダコは、ヤシの殻を持ち運んで隠れ家にする、道具を使うタコです。無脊椎動物で初めて「道具を使う」と確認された、注目の種です。さらに、6本の腕を折りたたんで2本の腕だけで歩く、めずらしい二足歩行でも知られます。英語では「ココナッツオクトパ...

いろいろなタコ③:深海・外洋の変わったタコ

メンダコ

深海にすむ、平たくて丸いタコです。頭の左右にある「耳」のようなヒレと、愛らしい姿で人気があります。飼育がとてもむずかしく、水族館でもめったに会えません。

メンダコ
メンダコは、深海にすむ、平たくて丸いタコです。頭の左右にある「耳」のような部分と、愛らしい姿で人気があります。イカのなかまと思われがちですが、8本の腕を持つタコのなかまです。水族館の人気者ですが、飼うのがとてもむずかしい生きものでもあります...

ダンボオクトパス

深海にすむ、耳のような大きなヒレを持つタコです。そのヒレをはばたかせて泳ぐ姿が、ゾウの「ダンボ」に見えることが名前の由来です。メンダコと同じ、ヒレを持つ深海ダコの仲間です。

ダンボオクトパス
ダンボオクトパスは、深海にすむ、耳のような大きなヒレを持つタコです。そのヒレをはばたかせて泳ぐ姿が、ディズニー映画の子ゾウ「ダンボ」を思わせます。世界でもっとも深いところにすむタコとして知られ、水深7000m近くでも見つかっています。その見...

ムラサキダコ(ブランケットオクトパス)

外洋をただよう、変わったタコです。メスは腕の間に大きな膜(ブランケット)を広げ、その姿から名がつきました。メスとオスの大きさの差が非常に大きく、オスはごく小さいことで知られます。小さなオスなどは、カツオノエボシの毒のある触手をちぎって、武器として使うとも言われます。

ムラサキダコ
ムラサキダコは、外洋を漂って暮らす、変わったタコです。メスは腕のあいだに大きな膜を広げ、マントをまとったような姿になります。いっぽうオスは体長わずか2cmほどで、メスとのあまりに大きな差で知られます。さらに、猛毒のカツオノエボシの触手をちぎ...

タコと人とのかかわり

日本では、タコは古くから親しまれてきた食材です。たこ焼き・刺身・酢の物など、さまざまな料理に使われます。関西のたこ焼きをはじめ、地域ごとの食文化も豊かです。いっぽう水族館では、その賢さや変色を生かした展示も人気です。世界を見ると、タコを食べない国も多く、その扱いは地域によって大きく異なります。

参考

  • Wikipedia(英語版)「Octopus」(八腕形目・体のつくり・知能・繁殖)
  • Wikipedia(日本語版)「タコ」「ヒョウモンダコ」「ミズダコ」ほか各種の項目
  • 各水族館・海洋研究機関の解説(生態・飼育・種の分布)

画像出典

サムネイル画像: albert kok, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

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