カラスは、全身が黒いスズメ目の鳥です。道具を使い、人の顔を覚えるほど賢いことで知られます。日本ではハシブトガラスとハシボソガラスが身近で、街でよく見かける鳥になっています。ゴミを荒らす厄介者とされる一方、神話では神の使い「八咫烏(やたがらす)」にもなってきました。
分類と学名
分類階層
- 界:動物界 Animalia
- 門:脊索動物門 Chordata
- 綱:鳥綱 Aves
- 目:スズメ目 Passeriformes
- 科:カラス科 Corvidae
- 属:カラス属 Corvus
和名・英名
- 和名:カラス(烏)
- 英名:Crow
「カラス」と呼ばれる鳥
「カラス」は、カラス科カラス属に含まれる黒い鳥をまとめた呼び名です。世界には四十種ほどが知られ、南極を除く各地に分布します。日本で身近なのは、ハシブトガラスとハシボソガラスの二種です。どちらも全身が黒いため、慣れないうちは見分けが難しいとされます。
大きさ・分布などの基本データ
| 大きさ | 全長 約33〜60cm(種によって差が大きい) |
|---|---|
| 分布 | 南極を除く世界中(日本は全国) |
| 生息環境 | 森林・農地・河川敷・都市まで |
| 食べもの | 雑食(果実・種子・昆虫・小動物・死骸・生ゴミ) |
| 寿命 | 野生でおよそ10〜20年 |
| 仲間の数 | カラス属で40種ほど |
カラスとは、どんな鳥か
とても賢い鳥
カラスは、鳥のなかでもとりわけ賢いことで知られます。体の大きさのわりに脳が大きく、道具を使う仲間もいるほどです。ニューカレドニアガラスは、小枝を加工して木の穴から虫を釣り出します。日本では、硬いクルミを道路に置き、車に踏ませて割る行動も観察されてきました。人の顔を見分け、餌を隠して後で食べる姿も知られています。なかには、雪の斜面を滑って遊ぶように見える行動まで報告されています。こうした知恵は、体に比べて大きな脳と深く結びついていると考えられています。
鳴き声で伝え合う
カラスは、たくさんの鳴き方を使い分ける鳥でもあります。仲間を集めるとき、危険を知らせるときなど、場面によって声を変えるとされます。研究では、数十種類もの鳴き分けが確かめられてきました。親が子を呼ぶ声や、敵に立ち向かうときの声も知られています。よく耳にする「カー」や「ガー」も、そのうちのほんの一部にすぎません。声の違いは、二種を聞き分ける手がかりにもなります。
黒い羽と雑食
カラスの体は黒一色に見えますが、羽には紫や青緑の光沢があります。光の当たり方によって、羽が金属のように輝いて見えるのも特徴です。目がよく、遠くにある食べものもすばやく見つけ出します。食べものはえり好みせず、果実や昆虫、小動物から死骸まで口にします。この幅広い食性こそ、さまざまな環境で生きていける強みです。人の出すゴミも、カラスにとっては豊かな餌場になっています。
ハシブトとハシボソ(見分け方)
ハシブトガラス

ハシブトガラスは、太くて曲がったくちばしを持つカラスです。額(ひたい)が段になって盛り上がり、頭が丸く見えます。もとは森に住む鳥ですが、今では都市にもよく適応しています。よく通る澄んだ「カー」という声で鳴くのが特徴です。体が大きくて力も強く、都会でもっとも目立つカラスの一つです。都会でゴミをあさるカラスの多くも、この種だとされます。
ハシボソガラス

ハシボソガラスは、名のとおり細めのくちばしを持つカラスです。額が平らで、ハシブトよりすっきりした頭の形をしています。農地や河川敷など、開けた土地を好んで住みます。鳴くときは「ガー」という濁った声で、体を前に倒すようにするのが特徴です。ハシブトとは、くちばしと額の形、そして鳴き声で見分けられます。都会ではハシブトが、郊外の田畑ではハシボソが多い傾向もあります。
そのほかのカラスの仲間
カラス属には、日本の二種のほかにも多くの仲間がいます。冬に群れで渡ってくるミヤマガラスや、体の小さなコクマルガラスも、冬の日本で見られる仲間です。北の国には、カラスのなかで最大のワタリガラスが住んでいます。道具を使うことで有名なニューカレドニアガラスも、同じ仲間の一員です。姿はよく似ていても、大きさや声、暮らす場所は種ごとにさまざまです。
黒くないカラス科の仲間

私たちがカラスと聞いて思い浮かべるのは、たいてい真っ黒な鳥の姿です。しかし、カラスを含むカラス科には、カケスやカササギなど色あざやかな仲間もいます。北アメリカに住むフロリダヤブカケスは、青い羽を持つ美しいカラス科の鳥です。日本にも、青みがかった尾のオナガや、白黒のカササギが住んでいます。同じ科でも、その姿は黒一色から鮮やかな青までさまざまです。
群れと子育て、ゴミ問題
冬のねぐらに集まる
カラスは、日中はあちこちに散らばって餌を探します。夕方になると、決まった林などの「ねぐら」に集まってきます。冬のねぐらは、数百から数千羽がひしめく大集団です。若い個体を中心とした群れで、夜を安全に過ごすためだと考えられています。同じねぐらが、何年にもわたって使われ続けることもあります。
春の子育て
繁殖の季節になると、つがいは木の枝や電柱に巣をつくります。針金のハンガーを運んで巣にすることもあり、停電の原因になる例も知られています。一度に三〜五個の卵を産み、親は協力して子を育てます。ひなを守る時期の親は気が立ちやすく、巣に近づいた人を威嚇し、まれに襲うこともあります。巣立った後も、しばらくは親とともに過ごすことが知られています。
街のゴミを荒らす
都市では、カラスがゴミ集積所をあさる姿が日常の風景になっています。袋を破って生ゴミを散らかすため、各地で対策が続けられてきました。ネットをかけたり、ふたのある容器を使ったりする工夫も広がっています。賢いカラスとの知恵くらべは、今も各地でずっと続いています。
人とのかかわりと伝承
カラスは、その賢さから神聖な鳥として敬われることもありました。日本の神話に登場する三本足の「八咫烏」は、道案内をした神の使いとして知られます。今ではサッカー日本代表のマークにも、この八咫烏が使われています。地方によっては、豊作を告げる縁起のよい鳥とされてきた例もあります。一方で、黒い姿や鳴き声から、不吉なものとして嫌われることもある鳥です。賢さと身近さゆえに、カラスは人の暮らしと深く関わってきました。
関連する生きもの


参考
- Wikipedia(英語版)「Crow」― カラス属の分類・知能・生態の各節
- Wikipedia(英語版)「Large-billed crow」― ハシブトガラスの形態・分布・都市適応
- Wikipedia(英語版)「Carrion crow」― ハシボソガラスの形態・生態・分布


