アロワナは、細長い体と大きなうろこを持つ淡水魚です。水面の近くをゆったりと泳ぎ、上を向いた大きな口で獲物を狙います。うろこが金属のように光り、あごには2本のひげがのびる姿から、「龍魚(りゅうぎょ)」とも呼ばれます。熱帯魚のなかでも人気が高く、大きな水そうで飼われることの多い魚です。
アロワナは、南アメリカ・東南アジア・オーストラリアなど、遠くはなれた熱帯の川に住んでいます。そのなかまは古い時代から続く古代魚で、口の中で子を育てる種類がいることでも知られます。ここでは、体のつくりや暮らし、種類や飼い方までを順に見ていきます。
分類と学名
分類階層
アロワナは、アロワナ目アロワナ科に入る魚の総称です。この科には大きく2つの属があり、南アメリカのシルバーアロワナなどが入るオステオグロッスム属と、アジアやオーストラリアの種類が入るスクレロパゲス属に分かれます。世界には6種ほどが知られています。飼育でよく見られるのは、南アメリカ産のシルバーアロワナです。
- 目:アロワナ目
- 科:アロワナ科
- 属:オステオグロッスム属(シルバー・ブラックなど)/スクレロパゲス属(アジア・オーストラリアなど)
- 代表種:シルバーアロワナ(Osteoglossum bicirrhosum)
名前と別名
「アロワナ」という名前は、南アメリカでの呼び名がもとになったといわれます。光るうろこと長い体、あごのひげが伝説の龍を思わせることから、アジアでは「龍魚」とも呼ばれます。とくに赤や金色に輝くアジアアロワナは、縁起のよい魚として古くから大切にされてきました。
大きさ・分布などの基本データ
| 大きさ | 全長 約60〜90cm(シルバーは1mをこえることもある) |
|---|---|
| 分布 | 南アメリカ・東南アジア・オーストラリアなどの熱帯の淡水 |
| 生息環境 | 流れのゆるやかな川・池・はんらん原の水辺 |
| 食べ物 | 魚・エビ・水面に落ちた虫など(肉食) |
| 特徴 | 上を向いた大きな口、あごの2本のひげ、大きなうろこ |
| 仲間 | ピラルクと同じアロワナ目の古代魚 |
水面を狙うハンター
アロワナは、水面のすぐ下を泳ぎながら獲物をさがす魚です。体のつくりも、泳ぎ方も、水面で餌をとることに向いています。
上を向いた口とひげ
水面をすくう口
アロワナの口は、下あごが前へせり出し、大きく上を向いて開きます。この形は、水面にいる獲物をすくい上げるのに向いています。開いた口が、はね橋のように大きく持ち上がるようすから、その動きにたとえられることもあります。水面に落ちた虫や、泳ぐ小魚を、下から一気にとらえます。

あごの2本のひげ
下あごの先には、2本のひげがのびています。このひげは、水面のわずかなゆれや、獲物の動きを感じとる役目を持つと考えられています。暗い水の中や、濁った水でも、ひげを使って獲物の気配をとらえます。シルバーアロワナのように、このひげが目立つ種類もいます。
水面から飛び出す
水面の上にいる獲物を狙い、水から飛び出すこともあるのです。低くのびた木の枝にとまる虫や、小さな生き物めがけて、体をおどらせて跳びかかります。その高さは体の長さの何倍にもなることがあり、勢いのよさから、飼育では水そうから飛び出す事故も起こります。この跳ぶ習性のため、アロワナを飼うときはふたが欠かせません。
龍にたとえられる姿
アロワナが「龍魚」と呼ばれるのは、その見た目が伝説の龍を思わせるからです。とくに大きく輝くうろこが、アロワナの美しさの中心になっています。

大きなうろこ
アロワナのうろこは大きく、体の表面にきれいにならびます。光が当たると、金属の板のように輝きます。アジアアロワナには、赤・金・緑など、産地によって違う色あいのものがいます。この色とつやこそ、龍のうろこにたとえられてきた魅力。
アジアアロワナと縁起
高値で取引される魚
アジアアロワナは、縁起のよい魚として、とくにアジアの地域で人気があります。美しい色の個体には高い値がつき、ときに一匹で自動車が買えるほどの値段になることもあります。金運や幸運を呼ぶ魚と信じられ、大切に飼われてきました。飼い主にとっては、観賞するだけでなく、縁起をかつぐ意味も持つ魚です。
保護のための決まり
アジアアロワナは、野生では数を減らし、絶滅のおそれがある魚とされています。そのため、国をこえた取引はきびしく制限されています。正しく売り買いできるのは、養殖で生まれて体に小さな標識を入れ、記録された個体に限られます。人気の高さが乱獲につながらないよう、こうした決まりで守られています。
古代魚の仲間
アロワナが入るアロワナ目は、大昔から続く古い魚のなかまです。大きく姿を変えずに現代まで残ってきたことから、「生きた化石」と呼ばれることがあります。
骨でできた舌
アロワナ目のなかまは、「骨のような舌を持つ魚」というグループにまとめられます。硬い舌と上あごの歯で獲物をはさんでとらえる点が、この仲間に共通する特徴です。同じアロワナ目には、アマゾンに住む世界最大級の淡水魚ピラルクもいます。大きさや姿は大きく違いますが、古い血すじを分け合う近い仲間です。

口の中で子を育てる
アロワナのなかには、口の中で卵や子を守り育てる種類がいます。魚としてはめずらしい、ていねいな子育てです。
卵を口に含む
生まれるまで守る
シルバーアロワナなどでは、オスが受精した卵を口の中に含みます。卵は口の中で守られ、外敵から安全な状態でかえります。親は子を口に含んでいるあいだ、ほとんど食事をとりません。大きな体で卵を守り抜く、根気のいる子育てです。
子はしばらく口にもどる
かえったばかりの子は、しばらくのあいだ親のそばで過ごします。危険を感じると、子はさっと親の口の中へもどって身を隠します。おなかにまだ栄養の袋をつけた子が、親の口からのぞくようすも見られます。少しずつ大きくなると、子は親の口をはなれて泳いでいきます。
いろいろな種類
シルバーとブラック
南アメリカには、シルバーアロワナとブラックアロワナが住んでいます。シルバーアロワナは銀色に輝く体を持ち、大きいものは1mをこえます。ブラックアロワナは、若いうちは黒っぽく、育つにつれて銀色に近づきます。どちらも、飼育で広く親しまれる種類。

アジアとオーストラリア
東南アジアには、赤や金に輝くアジアアロワナがいます。オーストラリアやニューギニアには、体に赤い点がならぶ種類が住んでいます。地域ごとに色あいや模様が違い、それぞれに愛好家がいます。アフリカにも近い仲間の魚がいて、アロワナのなかまは世界に広く分かれています。
飼い方
大きな水そうが必要
何を食べるか
アロワナは肉食で、小魚やエビ、専用の人工の餌などを食べます。若い魚は水面に落ちた虫もよく食べます。育つと体が大きくなるため、それに見合った量の餌が必要です。水面で餌をとる魚なので、水面に浮くタイプの餌が向いています。
ふたが欠かせない
アロワナは大きく育つため、飼うには広くて丈夫な水そうがいります。そして何より、跳ねて飛び出すのを防ぐため、ふたをしっかり閉めることが欠かせません。ふたのすき間から飛び出してしまう事故は、アロワナ飼育でよく知られています。大きさと跳ぶ力を考えると、飼うにはそれなりの設備と手間がかかる魚です。

どこで会えるか
アロワナは、熱帯の魚を集めた水族館で見ることができます。水面近くをゆったり泳ぐ長い体は、遠くからでもよく目立ちます。熱帯魚を扱うお店でも、シルバーアロワナの若い魚などが見られることがあります。水面をにらむように泳ぐ姿を見れば、これが水面のハンターだということがよく伝わります。

参考
- Wikipedia「Arowana」「Silver arowana」「Asian arowana」
- Encyclopædia Britannica「Osteoglossidae」
- IUCN Red List ほか
画像出典
- Vaikoovery, CC BY 3.0, via Wikimedia Commons
- Elma from Reykjavík, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons
- Fanghong, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
- NasserHalaweh, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
- Jarek Tuszyński, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons
- Bernard DUPONT from FRANCE, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons


