ミサゴ

ミサゴ 猛禽類

ミサゴは、魚だけを狙って狩る、水辺の猛禽です。上空で羽ばたいて止まり、獲物を見つけると足から水中へ突っこんで、するどい爪で魚をつかみとります。白い頭に黒い過眼線が入るのも特徴です。タカやワシとは別の、ミサゴ科というグループに属します。英名オスプレイは、航空機の名前のもとにもなりました。

スポンサーリンク

分類と学名

分類階層

  • 界:動物界 Animalia
  • 門:脊索動物門 Chordata
  • 綱:鳥綱 Aves
  • 目:タカ目 Accipitriformes
  • 科:ミサゴ科 Pandionidae
  • 属:ミサゴ属 Pandion
  • 種:ミサゴ Pandion haliaetus

和名・英名

  • 和名:ミサゴ(鶚)
  • 英名:Osprey

名前の由来

和名の「ミサゴ」の由来には、いくつかの説があります。水を探ることや、水面に飛びこむ音からきたものだとされます。分類のうえでは、同じタカ目のなかでミサゴ科という一つの科をつくります。ミサゴ科にはミサゴ属だけが置かれ、日本を含む多くの地域では1種として扱われます(分類によっては2種とする説もあります)。タカでもワシでもハヤブサでもない、独自の立ち位置をもつ鳥だといえます。漢字では「鶚」と書き、魚をとらえることから「魚鷹(うおたか)」の別名でも呼ばれてきました。

大きさ・分布などの基本データ

大きさ全長 約54〜64cm/翼を広げた幅 約1.5〜1.8m(メスがやや大きい)
体重約1.2〜2kg
分布極地を除くほぼ世界中。日本では海岸・川・湖などに周年生息
生息環境海岸・河口・大きな川・湖・ダム湖など、水辺
食べ物ほとんどが魚(ボラ・ブラックバスなど)
寿命野生でおよそ15〜25年とされる
保全状況IUCN:LC(軽度懸念)/日本:環境省レッドリスト 準絶滅危惧(NT)
ミサゴ

白い頭に黒い過眼線

白と褐色のすらりとした体

大きさとメスの優位

ミサゴは、全長54〜64センチメートルほどの中型の猛禽です。翼を広げた幅は1.5メートルを超え、細長い翼が目立ちます。ワシやタカのなかまと同じく、メスのほうがオスよりやや大きめとされます。ほっそりとした体つきで、水辺を長い時間、羽ばたきながら飛びまわります。

白い頭と黒い過眼線

背中と翼の上面は黒っぽい褐色、腹や翼の下面は白色という配色です。頭も白く、目を通って首すじへとのびる、太い黒褐色の線(過眼線)がよく目立ちます。この白と褐色のはっきりした配色と過眼線は、ほかの猛禽との見分けの大きな手がかりになります。飛んでいるときは、細長い翼を「く」の字に曲げて水面の上を舞う姿が印象的です。

ミサゴ

トビ・ノスリとの見分け

水辺の空でよく見かけるトビとは、腹の色で見分けられます。トビは全身が褐色で、尾の先が「く」の字にへこむのが特徴です。ミサゴは腹が白く、飛ぶと翼の下面の白さがよく目立ちます。同じく人里で見るノスリも腹側が白っぽいものの、翼を「く」の字に折らず、まっすぐに広げて飛ぶ点が違います。頭の白さと目を通る黒い線がはっきりしていれば、まずミサゴと判断できます。

ミサゴ

魚だけを狙う漁の名手

空中で止まって、足から突っこむ

ホバリングして探す

ミサゴの食べ物は、そのほとんどが魚です。水面から10〜40メートルほどの高さで、羽ばたきながら空中に止まる「停空飛翔(ホバリング)」をおこないます。水中の魚をじっと探すのが、この鳥の狩りの構えです。獲物を見つけると、いったん翼をたたみ、足を前に出して一気に急降下します。狩る相手を魚にしぼった、水辺の専門の漁師だといえます。

足から水へダイブする

急降下したミサゴは、足を前に突き出したまま、水しぶきをあげて水中へ飛びこみます。体半分ほどが水につかることもあり、そのまま魚をつかんで飛び立ちます。水にもぐるときには鼻の穴を閉じることができ、水の侵入を防げるのです。大きな魚をつかんだまま、水面から飛び立つ力強い姿は、水辺の狩人ならではのものです。

すべる魚をのがさない足

反転する趾と、とげのある足の裏

ぬるぬるとすべる魚をしっかりつかむために、ミサゴの足には特別なしくみが備わっています。外側の趾(あしゆび)は前後に動かせます。二本の趾を前に、二本を後ろにまわし、魚をはさむようにつかみます。さらに足の裏には、とげのような細かい突起がびっしりと並ぶのが特徴です。この突起が引っかかりとなり、水からとび出したすべる魚も、しっかりと保持できるというわけです。

頭を前にして運ぶ

つかんだ魚を運ぶとき、ミサゴは魚の頭を前へ向けて持つことが多いとされます。空気の抵抗を減らすためと説明されることもありますが、確かなことはわかっていません。狩りをする水辺と、巣やねぐらのある場所を、大きな魚をぶら下げて行き来する姿もよく知られています。魚を狩ることに、体のつくりから運び方まで、とことん向いた鳥だといえます。

ミサゴ

世界の水辺で暮らす猛禽

世界でもっとも広く分布する猛禽の一つ

ミサゴは、南極などの一部を除く、世界のほぼ全体に分布します。猛禽のなかでは、ハヤブサに次いで分布が広い種とされます。魚のいる水辺であれば、海でも川でも湖でも暮らせます。すみかを選ばないことが、これだけ広く分布できる理由の一つと考えられています。日本でも、北海道から沖縄まで、各地の水辺で見られる鳥です。

高い場所につくる大きな巣

ミサゴは、海辺の岩・高い木・鉄塔や人工の柱の上などに、枝を組んだ大きな巣をつくります。毎年同じ巣に手を入れて使い、年々大きくなることもあります。春から夏にかけて2〜3個の卵を産み、ヒナはおよそ50日で巣立ちます。見晴らしのよい高い場所は、水辺を見わたして狩りをする鳥にとって、都合のよいすみかです。

「オスプレイ」の名の由来

航空機オスプレイとミサゴ

ミサゴの英名は「オスプレイ(osprey)」です。ヘリコプターのように垂直に飛び立ち、飛行機のように速く飛べる輸送機に、この名前が使われています。水面へ舞いおり、また力強く飛び立つミサゴの姿が、その機体のイメージと結びつけられたといわれます。アメリカ軍の輸送機V-22の愛称にも採用され、水辺を舞う鳥の名が航空機に受けつがれた一例となっています。

どこで会える・数を減らす理由

水辺での観察と、保全

ミサゴは、海岸・河口・大きな川・ダム湖などの水辺で見られます。水面の上でのホバリングや、魚をつかんで飛ぶ姿が観察されます。いっぽうで、環境省のレッドリストでは準絶滅危惧(NT)とされ、日本では数を減らしている地域もあります。海岸の開発や水の汚れ、狩り場となる水辺の減少が、その一因と考えられています。世界に目を向けると、かつては農薬のディルドリンやDDTによって大きく数を減らしました。これらの薬品は卵の殻をうすくし、繁殖を妨げたとされます。その後、使用が禁じられたことで、多くの地域で数は回復に向かいました。人工の巣台を設けて営巣を助ける取り組みも、各地でおこなわれています。

ミサゴの豆知識

ミサゴ

「ピョピョピョ」と鳴く声

ミサゴの鳴き声は、「ピョピョピョ」「ピュイピュイ」と聞こえる、高く澄んだ笛のような声です。巣の近くやなわばりに別の鳥が入ってきたとき、また繁殖期にオスとメスがやりとりするときに、続けて鳴くことが知られています。体の大きさのわりに声は細く、高い音域にかたよります。地上よりも、飛びながら発することが多いとされます。

タカでもワシでもない、ただ1科の鳥

ミサゴは、姿こそタカやワシに似ています。しかし分類のうえではミサゴ科という独立した科をつくる、少し変わった立ち位置の鳥です。魚をとらえることに特化した体のつくりは、ほかの猛禽には見られない独自のものです。古い時代から人にもよく知られ、日本では和歌に詠まれたり、家紋のもとになったりしてきました。現生の猛禽のなかでも、1科1属だけという分類は数少ない例の一つです。

関連記事

ノスリ
ノスリは、草地や農地でネズミなどを狙う、ずんぐりとした中型のタカです。トビより色が淡く、丸みのある体つきをしています。杭や電柱にとまって待ち伏せたり、空中で止まる停空飛翔から急降下したりして獲物をとらえます。かつて鷹狩に使えないタカとして「...
トビ
トビは、「ピーヒョロロ」という声で知られる、日本でもっとも身近な大型の鳥です。海辺や川、街の上空をゆったりと輪を描いて舞う姿でおなじみです。動物の死骸などを食べる、空の掃除屋として暮らしています。トンビの呼び名でも親しまれ、タカやワシと同じ...
タカ【総合】
タカは、鋭いかぎ爪とかぎ形のくちばしをもち、ほかの動物を捕らえて食べる鳥の仲間です。ワシ・タカ・ハヤブサ・ハゲワシ・コンドルなどをまとめて「猛禽類」と呼びます。このページでは、それぞれの鳥の特徴と、個別のページへの入口をまとめています。分類...

参考

  • English Wikipedia「Osprey」(分類・狩りの適応・分布・保全)
  • ウィキペディア「ミサゴ」(日本の分布・食性・狩り・保護)
  • IUCN Red List「Pandion haliaetus」(保全状況の評価=軽度懸念)

画像出典

  • アイキャッチ:Balbuzard pêcheur, Lac de Tunis — El Golli Mohamed, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
  • 頭部・過眼線:Osprey, Valley of Springs Region, Israel — MinoZig, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
  • 飛翔:OspreyNASA — NASA, Public domain, via Wikimedia Commons
  • 漁:Osprey Fish Eye — Chuck Homler / Focus On Wildlife, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
  • 巣:Osprey on nest — RoySmith, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
  • 鳴き声:Pandion haliaetus, Israel — MinoZig, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
タイトルとURLをコピーしました