キツネ【総合】

哺乳類

キツネは、イヌ科に属する小型から中型の雑食の動物です。尖った鼻先と、ふさふさとした長い尾が目印。世界には約37種がいて、日本にはキタキツネやホンドギツネが住んでいます。古くから稲荷神の使いとされ、人を「化かす」動物としても語られてきました。アカギツネのほか、砂漠のフェネックや北極のホッキョクギツネなど、その姿はさまざまです。

スポンサーリンク

分類と学名

分類階層

  • 界:動物界 Animalia
  • 門:脊索動物門 Chordata
  • 綱:哺乳綱 Mammalia
  • 目:食肉目 Carnivora
  • 科:イヌ科 Canidae
  • 属:キツネ属 Vulpes ほか

和名・英名

  • 和名:キツネ(狐)
  • 英名:Fox

「キツネ」という呼び名

「キツネ」は、特定の一種を指す名ではありません。イヌ科のキツネ属(Vulpes)を中心に、姿のよく似た小型の仲間をまとめてこう呼びます。最もよく知られるのは、世界に広く分布するアカギツネです。日本に住むキツネも、このアカギツネの一種にあたります。

大きさ・分布などの基本データ

大きさ体重 約0.7〜8kg(種によって差が大きい)
分布南極を除く世界中(日本は北海道〜九州)
生息環境森林・草原・砂漠・北極圏・都市の近くまで
食べもの雑食(ネズミ・ウサギ・鳥・昆虫・果実など)
寿命野生でおよそ3〜6年
仲間の数世界に約37種(うちキツネ属が12種ほど)

キツネとは、どんな動物か

イヌ科の一員として

キツネは、イヌやオオカミと同じイヌ科の仲間です。植物も動物も食べる雑食で、とくにネズミなどの小動物をよく狩ります。鋭い聴覚で獲物の物音を聞き分け、そっと近づいて高く飛びかかるのを得意とします。雪の下に隠れたネズミも、音を頼りに探り当てます。木の実や果実も食べ、都市の近くでは残飯をあさることもあります。縦に細長い瞳孔は、夜の狩りに向いたつくりです。

ふさふさの尾と体つき

キツネの目印は、体と同じくらい長い、ふさふさの尾です。走るときのバランスをとり、寒いときには体に巻きつけて暖をとります。三角の尖った耳は、小さな物音までとらえます。鼻先は細く尖り、口もとには長いひげがのびています。爪は半分ほど引っこめられ、忍び足で獲物に近づくのに役立ちます。金色を帯びた瞳は、暗がりで光を反射して輝きます。

いろいろなキツネ(種類)

キツネの仲間は世界に広く分布し、姿も暮らしもさまざまです。ここでは、日本に住むキツネ・世界に広がるキツネ属・「キツネ」と呼ばれる別属の仲間の三つに分けて取り上げます。

日本に住むキツネ

日本で見られるキツネは、アカギツネの仲間です。北海道に住むものをキタキツネ、本州から九州に住むものをホンドギツネと呼びます。人里の近くにも現れる、もっとも身近なキツネです。キタキツネは、夏と冬で毛の色や量が大きく変わります。

キタキツネ
キタキツネは、北海道にすむアカギツネの亜種です。耳の裏と足首が黒く、ホンドギツネよりやや大きいのが特徴。エキノコックスと予防、観光地の餌付け問題など、北海道の実情を正確に図鑑としてまとめました。
ホンドギツネ
ホンドギツネは、本州・四国・九州にすむアカギツネの亜種です。北海道のキタキツネよりやや小さく、里山の暮らしと深くかかわってきました。稲荷信仰やきつねの嫁入りなど、日本文化のなかのキツネを図鑑としてまとめました。

世界に広がるキツネ属(Vulpes)

キツネ属は、北半球を中心に世界へ広く分布します。赤茶色のアカギツネは、その代表です。ほかにも、北極の雪に適応したホッキョクギツネや、チベット高原の四角い顔のチベットスナギツネがいます。中央アジアの草原に住むコサックギツネや、砂漠に住む世界最小のフェネックも仲間です。それぞれの土地の暑さや寒さに合わせて、体つきや毛が変わっています。

チベットスナギツネ
チベット高原に住むチベットスナギツネ。高地に適応したキツネ属の一種。撮影:James Eaton(CC0)
アカギツネ
アカギツネは、北半球でもっとも広く分布するイヌ科のキツネです。日本ではキタキツネとホンドギツネの二亜種に分かれます。雑食の狩り・子育て、そして北海道のエキノコックスと予防まで、正確に図鑑としてまとめました。
ホッキョクギツネ
ホッキョクギツネは、北極圏のツンドラにすむ小型のイヌ科の動物です。冬は雪にまぎれる白い毛、夏は褐色の毛に変わります。密な毛皮と丸い体で寒さに耐え、主食のレミングをとらえて暮らします。寒冷適応・食性・子育て・保全まで図鑑としてまとめました。
チベットスナギツネ
チベット高原の高地に住むチベットスナギツネ。頬の毛が横に張り出した四角い顔と、主な獲物のナキウサギ、ヒグマと歩く狩りについて紹介します。
コサックギツネ
中央アジアの草原に住むコサックギツネ。アカギツネと同じキツネ属の小型種で、巣穴を分け合って暮らし、深い雪を避けて南へ移動します。冬毛は銀灰色になります。
フェネック
フェネックは、体に対して大きすぎるほどの耳をもつ、世界でもっとも小さなキツネです。その大きな耳のはたらきや、砂漠を生き抜く体の工夫に特徴があります。ペットとしても人気ですが、飼うのは簡単ではありません。分類と学名分類階層界:動物界 Anim...

「キツネ」と呼ばれる別属の仲間

名前に「キツネ」と付いても、キツネ属とは別の系統の動物もいます。アフリカの草原で虫を主食にする、大きな耳のオオミミギツネ。北アメリカで木に登る、ハイイロギツネ。どちらも見た目はキツネによく似ていますが、系統のうえではキツネ属から離れた仲間です。

オオミミギツネ
アフリカの草原に住むオオミミギツネ。大きな耳で体温を逃がしつつ、地中のシロアリの音を聴いて食べる、虫を主食にするイヌ科です。オスがよく子育てをする点も特徴です。
ハイイロギツネ
北アメリカから中央アメリカに住むハイイロギツネ。イヌ科では珍しく木の幹を垂直に登れ、果実もよく食べる雑食のキツネです。イヌ科の中でも古い系統にあたります。

ギンギツネ(色変わり)

ギンギツネは、アカギツネの毛色が黒っぽく変わったものです。黒地に銀色の毛が混じる毛並みから、この名で呼ばれます。別の種ではなく、アカギツネの色の変わり種です。その毛皮は古くから珍重され、飼育の歴史も古い動物です。

暮らしと子育て

多くのキツネは、家族の小さな群れか、単独で暮らします。地面に掘った巣穴を、すみかや子育ての場にします。春になると、一度に4〜5頭ほどの子が生まれます。子ギツネは巣穴の近くで遊びながら、狩りの仕方を少しずつ覚えていきます。秋を迎える頃には独り立ちし、親のもとを離れるのが普通です。

人とのかかわりと伝承

稲荷神の使い

日本では、キツネは古くから稲荷神の使いとされてきました。各地の稲荷神社にキツネの像が置かれるのも、このためです。米を荒らす野ネズミを食べるキツネは、田畑を守る縁起のよい動物と見られてきました。とくに白いキツネは神聖なものとして、大切に扱われます。きつねうどんや稲荷寿司の名も、この結びつきに由来するとされます。「コンコン」という鳴き声で親しまれますが、キツネの声は実にさまざまです。

「化ける」といわれる理由

キツネは、人を「化かす」ずる賢い動物としても語りつがれてきました。昔話では、葉っぱを頭にのせて美しい女性に化ける姿が有名です。夜に見える正体不明の光は「狐火」と呼ばれ、キツネのしわざとされた時代もありました。夜に音もなく現れ、人の目を欺くように動きます。用心深く賢い振る舞いが、「化ける」という言い伝えを生んだと考えられています。もちろん、実際にキツネが人へ化けることはありません。

天敵と、現代の暮らし

かつて日本では、ニホンオオカミがキツネの天敵でした。そのオオカミが姿を消した今、大人のキツネを襲う動物はほとんどいません。近年は、街の近くに現れるキツネも各地で見られます。都市の暮らしに慣れた個体も、各地で報告されています。なお北海道のキタキツネは、エキノコックスという寄生虫を運ぶことでも知られています。

ニホンオオカミ
ニホンオオカミは、かつて本州・四国・九州の山々にすんでいた、日本固有のオオカミです。オオカミの中でもいちばん小さい仲間の一つで、1905年を最後に姿を消し、絶滅しました。「大口真神(おおぐちのまがみ)」として神さまのように敬われた、日本人に...

「化ける」動物といえば、キツネと並んでタヌキもよく知られています。同じイヌ科で姿も似ており、昔から見くらべられてきました。細い顔と長い尾のキツネに対し、タヌキは丸みのある体つきと短い足が目印になります。

タヌキ
タヌキは、日本の里山や、ときには街中にもすむイヌ科の動物です。顔つきや名前は似ていますが、アライグマの仲間ではありません。昔から「化ける」と言い伝えられ、信楽焼(しがらきやき)の置物としても親しまれてきました。分類と学名分類階層界:動物界 ...

参考

  • Wikipedia(英語版)「Fox」― 分類・形態・分布・生態・文化の各節
  • Wikipedia(英語版)「Red fox」― アカギツネの分布・亜種・生態
  • 厚生労働省ほか エキノコックス症の解説― キタキツネと感染予防

画像出典

サムネイル画像: Gregory “Slobirdr” Smith, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons

タイトルとURLをコピーしました