ニホンウナギ

硬骨魚類

ウナギは、細長い体をした川と海を行き来する魚です。日本では蒲焼きとして親しまれ、夏の土用の丑の日に食べる習わしで知られます。海で生まれて川で育ち、産卵のために再び海へ帰る、変わった一生を送ります。その産卵の場所は長いあいだ謎に包まれ、近年ようやく明らかになってきました。

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分類と学名

分類階層

  • 界:動物界 Animalia
  • 門:脊索動物門 Chordata
  • 綱:条鰭綱 Actinopterygii
  • 目:ウナギ目 Anguilliformes
  • 科:ウナギ科 Anguillidae
  • 属:ウナギ属 Anguilla
  • 種:ニホンウナギ Anguilla japonica

和名・英名

  • 和名:ニホンウナギ
  • 英名:Japanese eel

「ウナギ」と呼ばれる魚

日本で単に「ウナギ」といえば、ふつうこのニホンウナギを指します。細長い体を持つ魚はほかにもいますが、蒲焼きにされるのはこの種です。同じ「ウナギ」の名がつくデンキウナギは、まったく別のグループの魚にあたります。ニホンウナギは、東アジアの川や海に広く分布します。

大きさ・分布などの基本データ

大きさ全長 約40〜60cm(大きいもので1mほど)
分布日本・朝鮮半島・台湾・中国・ベトナムなど東アジア
生息環境川・湖・河口(産卵は太平洋の外洋)
食べもの肉食(小魚・エビ・カニ・水生昆虫など)
寿命川でおよそ5〜10年以上
保全状況IUCN: 絶滅危惧(EN)

海と川をめぐる一生

川の底にいるニホンウナギ
Ffish.asia, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons

海で生まれ、川で育つ

マリアナ沖の産卵地

ニホンウナギは、日本から遠く離れた太平洋で産卵します。産卵の場所は、グアム島の西に広がるマリアナ諸島の沖合とされます。この産卵地は長らく謎とされ、2009年に天然の卵がはじめて採集されました。産卵は、新月のころに集中して行われると考えられています。身近な魚でありながら、その一生には今も分からないことが多く残されています。

柳の葉の形をした幼生

海で生まれたばかりの幼生は、透明で平たく、柳の葉のような姿をしています。この幼生はレプトケファルスと呼ばれ、海流に乗って東アジアへ運ばれます。その旅は数千キロにおよび、半年から一年以上かかることもあります。日本の近海に着くころには、細長い「シラスウナギ」へと姿を変えます。シラスウナギは川をさかのぼり、成長して黄ウナギと呼ばれる姿になります。

川と海を行き来する体

夜に狩る肉食魚

川に住みついたウナギは、夜になると活動する肉食の魚です。小魚やエビ、カニといった生きものを、暗がりのなかで狩ります。日中は石の下や川底の穴に潜み、じっと身を隠して過ごします。細長い体は狭いすき間にも入りやすく、岩の下は絶好の隠れ家になります。薄い皮膚からも酸素を取り込めるため、湿った地面なら短い距離を移動できるとされます。

銀ウナギになって海へ

川で五年から十年ほど育つと、ウナギは体の色を変えはじめます。腹が銀白色に光る姿になり、この状態は「銀ウナギ」と呼ばれます。産卵の旅が近づくと餌をとらなくなり、川を下って海をめざします。生まれた海まで数千キロを泳ぎ、産卵をおえて一生を閉じると考えられています。長い旅の全体は、まだ完全には解き明かされていません。

なぜ高い? 減るウナギ

ウナギの蒲焼き
Fumikas Sagisavas, CC0, via Wikimedia Commons

シラスウナギ頼みの養殖

天然の稚魚を育てる

店に並ぶウナギの多くは、養殖で育てられたものです。国内で育てるほか、中国や台湾から蒲焼きの形で輸入されるものも少なくありません。ただしその養殖は、海からやってくる天然のシラスウナギを捕まえて育てる方法が中心です。近年はシラスウナギの不漁が続き、値段は大きく上がりました。かつては手ごろだった蒲焼きも、今では高級品として扱われることが多くなっています。天然の稚魚に頼るしくみが、ウナギが高くなる大きな理由とされます。

完全養殖への挑戦

そこで進められてきたのが、卵から親までを人の手で育てる「完全養殖」です。日本では2010年に完全養殖に成功し、天然の稚魚に頼らない道が開かれました。2026年には、完全養殖のウナギが商品として売り出されるまでになっています。ただし完全養殖のウナギは、育てる費用が従来の養殖より高くつきます。だれもが手軽に買えるようになるには、まだ時間がかかると見られています。それでも、天然の稚魚をとらずに殖やせる技術は、資源を守るうえで大きな意味を持ちます。

絶滅危惧種になったウナギ

ニホンウナギは、2014年に絶滅危惧種に指定されました。とりすぎや、川の護岸により住みかが減ったことが、数を減らす原因とされます。川をさえぎるダムなどが、海と川の行き来をさまたげることも一因です。かつては身近だったウナギも、いまや守るべき魚になりつつあります。資源を保つため、稚魚をとる時期や量を制限する取り組みも進められています。

人とのかかわり

蒲焼きと土用の丑の日

ウナギは、開いて串を打ち、たれをつけて焼く蒲焼きで親しまれてきました。とくに夏の「土用の丑の日」に食べる習わしは、江戸時代に広まったと伝えられます。脂がのった身は栄養が豊かで、夏バテを防ぐ食べものとされてきました。開き方や焼き方には地域の違いがあり、関東では背から開いて蒸してから焼き、関西では腹から開いて蒸さずに焼くのが基本です。日本人にとって、ウナギは古くから親しまれてきたごちそうの一つです。

生では食べないわけ

ウナギの血には、口や目に入ると害になる成分が含まれています。この成分は熱に弱く、しっかり火を通せば無害になります。刺身ではなく、焼いたり蒸したりして食べるのはこのためです。同じ成分は、アナゴなどウナギに近い仲間の血にも見られます。長く食べられてきた魚ですが、調理には昔からの知恵が生きています。

デンキウナギ
デンキウナギは、強い電気を出すことで知られる南米の魚です。名前に「ウナギ」とつきますが、じつはウナギの仲間ではありません。最大で2mを超え、獲物を電気でしびれさせて捕らえます。その電気は最大で800ボルトを超え、動物のなかでもっとも強いとさ...

参考

  • Wikipedia(英語版)「Japanese eel」― 分類・生活史・産卵地・養殖・保全の各節
  • IUCN レッドリスト「Anguilla japonica」― 分布・保全状況(絶滅危惧EN)
  • 水産研究・教育機構ほか ウナギ完全養殖の解説― 稚魚生産と実用化の現状

画像出典

サムネイル画像: opencage, CC BY-SA 2.5, via Wikimedia Commons

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